A Solitary Battle High Speed Stage第13話


8つのカラリパヤットのポーズもいよいよこれでラスト。最後はライオンのポーズであり、

まさに百獣の王と呼ぶべきライオンの迫力を表した物になっている。

このライオンのポーズは戦いのポーズでもあるのだが、素手の戦いよりは武器術の

レクチャーを受ける上で非常に重要なポーズになる。と言うのもカラリパヤットの

武器術はこのライオンのポーズを基にした構えが非常に多い為に、ライオンのポーズを

マスターする事で武器の構えのポーズも様になるし武器をしっかりと構えて相手を

迎え撃つ事が出来る様になる。


ライオンのポーズのやり方はいたってシンプル。まずは最初のガードのポーズから始まり、

どちらかの足をまずは90度外側に向ける。次にもう一方の足をイノシシのポーズ等とは違って

ワンステップよりももう少しだけ前に踏み出すが、馬のポーズ程の歩幅の広さは必要ない。

がに股よりももう少しだけ広めにとって、股関節だけを目一杯広げる感じで、膝をそこから曲げて

どっしりと安定するポーズを意識してみるとやりやすくなる。この時に前に出している方の足は

まっすぐで、もう一方の曲げている足を視界から外さない位の広さに足の歩幅を保っておくのが

ポイントだ。


そうして足をどっしりと安定させる事が出来たら今度は上半身のポーズを作る。

前に踏み出している方の足と同じ方向で……つまり右足が前に踏み出すポーズであれば右腕を、

左足が前なら左腕を前に出して行き、腕は軽く曲げて指も軽く曲げる。

何かを引っかく様なイメージを頭の中で作っておくとイメージしやすいかもしれない。

腕はただ単に前に出せば良いので、顔の前に持って来る必要は無い。

そしてもう一方の反対側の腕は後ろなのだが、この腕は少し曲げて手を脇腹の横に持って来る。

同じく指も軽く曲げておきながら、目線をまっすぐにして身体を前に出し、背中をほんの少しだけ

反らせばライオンのポーズの出来上がりだ。


このライオンのポーズは股関節を開いてどっしりと安定させなければいけないので、必然的に股関節の

柔らかさがアップする。それから足を曲げて安定させているので太ももの筋肉とふくらはぎの筋肉の

強化にも効果があるし、身体を前に出して背中を反らせるので背中のストレッチにも役に立つ。

そして何より、ライオンのポーズは木製のロングスティックの構えのポーズを始めとして木製の

ショートスティックの構え、鉄製の槍の構え、剣と盾の構えと言う様に足を踏ん張って低い重心で

武器を構える事の基礎中の基礎のポーズになるのだ。逆に言えば、このライオンのポーズがしっかり

出来ていなければ武器をしっかりと構える事が出来ないので、カラリパヤットの最初の

トレーニングメニューとして型の練習が設定されている理由がここにあると言う訳なのだ。


やはりニールも師匠からはライオンのポーズをマスターするまで武器には進めないと言われていたので、

それはもう必死になってこのポーズで重心の低さと安定感を身につけるトレーニングをしていた。

それに伴ってこのライオンのポーズのトレーニングの効果が現れる様になると、何だか役者の仕事の

歩くフォームやガソリンスタンドの仕事の時に疲れていても体全体が安定しているので安心感を

ニールの心にもたらしてくれていた事が彼の記憶に残っているエピソードの1つだ。

勿論武器以外にも、素手の格闘術の構えの時にもしっかり安定した身体を作る事で相手に威圧感を

与える事になるし、何よりなかなか倒れてくれ無さそうと言うイメージを植えつけられるだけでも

相手にとっては気後れする事になるので、心理戦と言うポイントでも優位に立つ事が出来る。


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