A Solitary Battle High Speed Stage第11話
6つ目のポーズはイノシシ(ワイルドボア)のポーズだ。非常に独特な動き方をする
このポーズであるが、使い所としては相手に肘打ちをするのに使う物である。
それも、ただ単にムエタイ等の様な肘を繰り出すのとはまた違った物になり、肘を前に
突き出して下から上へとえぐる様な肘打ちを繰り出す。そしてこの突き出した肘が何処に
当たるのかと言えば、対峙している相手の股間、もしくはみぞおちと言った急所マルマを
攻撃する事が出来る。ポーズはシンプルな動きであるが、熟練したカラリパヤットマイスターの
イノシシのポーズはそれは速い物であり、実際にニールが今やっているイノシシのポーズは
最初の構えからおよそ1秒で肘を前に突き出す位のスピードが可能になっている。
では、そのポーズは一体どの様にやれば良いのかと言う事についてなのだが、最初に手で耳を
ガードをするのは基本的にどのポーズでも一緒だ。そこからイノシシのポーズでは、右肘を
前に出したいなら左足をまず前に出し、左肘で攻撃したいなら逆の足を前に出す。
前に足を出す時は大きくステップを踏み出しがちだが、ここでは1歩だけ前に足を出す感じの
小さいステップを踏む様にしよう。
次に前に出した方の足と「同じ方の手」を逆の肩に当てて、フリーな逆の手を後ろにスイング
させながら身体を反らす。ここは象のポーズの背中の反らし方と同じで、手の動きだけが異なる。
そのスイングさせた手を頭の上に持って来て、そこから持って来たその手の甲を耳に当てる位の
気持ちの距離まで横顔に近づけつつ、前に出している足を次のポーズがしやすい様に外側に
少しだけ向ける。そこまで出来たら象のポーズの時と同じ様に頭から上半身を丸めつつ同時に
膝を曲げ、顔の横に持って来た腕の肘を突き出しつつ、後ろに置きっ放しだった足を自分の前に
「まっすぐ」移動させて前に踏み出す。この時にさっき前に出していた足を少し外側に曲げておく事で、
この後ろから前に足を持って来た時に股関節が自然と開きやすくなって足の踏ん張りが利く様になると
言う寸法だ。
肩に置きっ放しだったもう一方の手は、肘を前に突き出した腕の内側に自然と入る様になっているので
そこで上腕二頭筋の部分に添えても良いし、自分の方に向いているもう一方の手の指を掴んでも良い。
それよりもここで重要になるのは、この肘を前に突き出した時に肩が横を向いてしまって自然と身体全体も
横向きになってしまうので、肩の向きを意識してまっすぐ前をなるべく向く様にする。
前の相手を狙っている筈なのに横に肘を突き出したって攻撃が当たる筈が無いからだ。
そしてここから起き上がる時は象のポーズの時と同じで、両腕をクロスさせて再び耳に手を当ててガードの
ポーズを取り、ゆっくりと頭は下げずに腰から起き上がる。そこから再びイノシシのポーズのトレーニングを
連続して出来る事もあるし、肘打ちした相手に立ち上がりつつ詰め寄って膝蹴りをかます事も出来る。
つまり、最初の手の動きで相手の攻撃をブロックしつつ下に避け、そこからカウンターアタックで肘打ちを
相手のみぞおちや股間と言う様な急所に叩き込む事が出来る、防御もしくは回避と攻撃がセットになった
一石二鳥のポーズだ。ストレッチとしての効果も勿論あり、背中を反らす事で腰と背中と胸のストレッチ、
そこから肘打ちを前に突き出す事で足を踏ん張るので足のストレッチと筋力アップ、それから脇腹も
突っ張るのでそこのストレッチにも効果がある。
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