A Solitary Battle Another World Fight Stories Final stage第63話


自信たっぷりにそう言われて、15人はお互いに顔を見合わせる。

「……信じて良いのかよ?」

『信じるか信じないかは御前達次第だ。だけどこの状況だから早くしないともっと

被害が拡大する。行くのか行かないのかさっさと決めろよ』

アルジェントの質問には若干イライラしている様な口調で答えたドラゴン。

行くのか行かないのかは15人を代表してエイヴィリンが決める。

「分かった。集落まで連れて行ってくれ!!」

『準備は大丈夫か?』

「……大丈夫だな?」

後ろの14人を振り向けば、それぞれがOKと言う声や表情をエイヴィリンに聞かせたり

見せたりしたのでエイヴィリンもOKである。

「大丈夫だ。行こう!」


ワイバーン達はすでに町の外で待っていると言うので、途中で襲い掛かって来た獣人達を

それぞれが倒しながら一同は町の外に向かって突っ走る。

15人もいっぺんにドラゴンは載せられないので、こうして外まで向かうしか無かった。

(……確かに、思った程でも無いな)

1人をキックで倒したアイベルクが、その獣人の弱さに納得して頷く。

他の14人も同じ感想を抱くのにそうそう時間は掛からなかったが、レナード、リオス、アイヴォスの

ヴィサドールチームの3人はそれぞれ疑問も同時に抱えていた。

(ドラゴンは目立つが、一体何処で休んでいたんだ?)

(ワイバーンは確かこの町で預けた筈。なのにどうやってワイバーンを町の外まで連れ出したんだろう?)

(……ドラゴンは一体何処でどうやって偵察をしたんだ? あれだけの巨体は目立つだろうに……不思議だ)


ドラゴンに対しての疑問と不信感も渦巻きながら、やっとの事でようやく15人は町の外へと出る。

そこには確かに、地球人達が乗って来たワイバーンが大人しく待っていた。

なのでさっさと再び15人はそれぞれのワイバーンとドラゴンに乗り込み、再び空に舞う。

しかし、そのスピードはさっきよりもゆっくりだ。

『あの獣人が何を企んでいるか分からない以上、何か罠を仕掛けている可能性もあるからな』

精一杯急ぎつつ、だけど罠の可能性も考える。

そしてドラゴンだけでは無く、集落に近づくに連れてこの世界の人間であるセバクター、フォン、アンリ、

クリスピンもそれぞれ強大な魔力を感じ取った。


「……凄い数だな」

「やっぱり御前もそう思うか。一国の大軍って言うレベルじゃ無いが、獣人がここまで徒党を

組んでいるのは珍しいと俺は思う」

「北の方ではなかなか獣人自体を見掛けないからな。どれ位の数がいるのか俺には予想もつかん」

「確かに我がルリスウェンよりも北のリーフォセリアの人間ならそう思うだろう。

だが、私も同じ気持ちだ。獣人族め……何を企んでいる?」

違う国の人間ではあるものの、ここは協力して手を組んで獣人族の企みを探る事にはお互いに

何も言わずとも同意していた。

それは地球人も同じである。違う国の人間同士だが、地球代表の11人としてこの世界に

やって来てしまった以上はここで手を結ぶしか無い。


そんな気持ちを胸にしつつようやく集落のすぐ近くまで辿り着いたのだが、そこには完全武装の

獣人達1500人以上が待ち構えていた。

1500人以上と言うのはあくまでもドラゴンの予想にしか過ぎない人数ではあるものの、

集落周辺の地上の獣人部隊の端からは集落内部が見えない位の人数である事に変わりは無かった。

「集落にはどうしても行かせたくないらしいな」

エイヴィリンがドラゴンの背中からそう呟く通り、集落周辺の森の闇の中から飛んで来た矢が

ドラゴンやワイバーンを狙う。

このまま上空からのアプローチでは、集落に近づく前に矢の餌食にされてしまいそうだ。

一体何処からこれだけの獣人達を集めたのか不思議だったが、それでも何としても集落に入って

ガレディを見つけなければならない。


なのでドラゴンとワイバーンに乗った一行は集落のガード突破作戦を開始する。

『ぬうううぅぅぅ……ぐがぁっ!!』

大きな叫び声を上げたドラゴンは、口から炎のブレスを吐いた。

このブレスはどうやら魔術の類では無いらしく、地球人達にもその熱気がしっかりと伝わって来る。

地上に目をやれば、そのブレスから逃れようと獣人達の影が割れるのが炎のオレンジ色の

照明で空の15人にも分かった。

ドラゴン相手に寄せ集めでも何とかなるのかも知れないが、でもやっぱり統率力が

取れていない「数の多さだけ」の集団ではどうしようも無いらしい。


なのでその数の多さだけが取り柄な獣人達をまず圧倒的な力で威嚇しながら、

ワイバーンの部隊が何とか着陸を試みる。

飛んで来る矢はドラゴンの炎のブレスで燃やすか、その巨体に見合わないスピーディーな動きで回避するかだ。

一方のワイバーンはドラゴンよりもボディがコンパクトなので、矢の回避も楽だし的を絞らせない様にするのも楽だ。

とは言えどもワイバーン自体にはその牙を使った噛み付き、それから翼をはためかせて

風を起こす位しか攻撃方法が無いのでどうしても接近戦に持ち込まなければいけないのが欠点だった。


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