A Solitary Battle Another World Fight Stories Final stage第35話


「ふむ、と言う事はそのジグソーパズルの様にまだはまっていない部分があると言う事か」

「ああ。良く見てみるとほら……こことかこっちも明らかに大きく欠けてる。しかもここまで

文字が来ているのに不自然な途切れ方をしているって事は、明らかにこの先の部分に

まだ文字が描かれていたとしか考えられない」

冷静な口調で説明するエイヴィリンだが、肝心のそのピースは見つかっていないらしい。

「誰かが意図的に持ち去ったとか?」

「いや、それは無い。ここは危険だから結局このままにしておいたんだ。それに結局この奇妙な

部分が見つかった後にアイクアル王国の調査団にもう1度来て貰って、国から直々に

ここはこのままにしておく様にとの通達が出た」

「そうか、だから穴が埋められずにそのままなんだな」

長い期間埋めもせずに開けっ放しだったらしいので不思議だなと思っていた地球人の2人だが、

国から通達が出たのであれば埋める訳にもいかないよなと納得した。


だが、その時あの最初に出会った獣人がエイヴィリンとウォルシャンに質問する。

「そう言えば御前達はこの世界の文字も読めるんだったな?」

「ああ、そうだが」

「それだったらその文字も読めるんじゃ無いのか?」

そう聞かれ、エイヴィリンとウォルシャンは再びジグソーパズルに目をやる。

そのジグソーパズルに描かれている文字は所々掠れたり欠けたりしてしまっているものの、何とか読める

部分もあるので欠けている部分を自分達なりの解釈で繋げてウォルシャンが読んでみる事に。

「ええと……ヘルヴァナールの遺跡には装備を入れておき、エンヴィルーク・アンフェレイア側の遺跡には

ピースを入れておく……そして強力な結界を施し、そして世界……ここで終わってるぞ」

ウォルシャンがそのジグソーパズルになっている石版を読み終えると、周りの獣人達の空気が変わった。


「ヘルヴァナール……何だそれは?」

「聞いた事あるか?」

「俺は無い。お前は?」

「私も無いわね」

何やらざわめき出した獣人達の様子に、エイヴィリンとウォルシャンは顔を見合わせてヒソヒソと小声で会話する。

「何か俺、まずい事言ったかな?」

「別に平気だと思うぞ。ただそれを読み上げただけだろ?」

ウォルシャンを元気付けるエイヴィリンだが、未だに獣人達のざわめきは止まる気配を見せないので

冷静なエイヴィリンも段々と不安になって来る。


そして、そのざわめきを横目に村長の白ライオンが2人に近づいて来た。

「ヘルヴァナールと描いてあるらしいな、これは?」

「あ、ああ……そう描いてあるけど、それがどうかしたのか?」

「これはもしかしたら、御前達に色々と手伝って貰わなければならない事が出来た様だ」

「は?」

いきなり何を言い出すのかと思えば、自分達に協力して欲しいと来た。

「……何を手伝えと?」

「何となく予想はつくけど、一応聞くか」

そう、本当に何と無くだが予想はつく。

だけどそれは聞きたい様で聞きたくない様な、変な感じの話でもあるのは間違い無い。


そんな2人の様子に構わず、白ライオンの村長はこの2人に対してこんな事を願い出る。

「大体御前達の予想通りだと思うが、この文面の通りだ。ヘルヴァナールとか言う謎の単語も出て来た事だし、

アイクアル王国の調査団でもまだこの文面が全て解読出来ていないのに御前達はそれをスラスラと

全て読んでしまったからな。エンヴィルーク・アンフェレイア側の遺跡には私達もいくらか心当たりがあるんだ。

だからそこの調査をお願いしたい。調査のバックアップはさせて貰うぞ」

「……やっぱりか」

どうせ言いたいのはそんな事だろうと思っていたのが当たっていたとしても、実際にこうして当たってしまうと

何だかやる気が失せてしまうのは何故なのだろうか。

人間の感情は不思議なものだなーと思いながらも、その次に出てきた最初の獣人のセリフでエイヴィリンと

ウォルシャンは少しだけやる気が出る事になる。

「御前達は地球とか言う世界に帰りたいんだろう? だったらその地球に関する手掛かりに

なるかも知れないぞ、これは。だって御前達にはこの文字が解読出来たんだろう?」


そう言われてみるとそれもそうかも知れない。

何だか上手く丸め込まれつつある様な気がする2人だが、今の所地球に帰る手掛かりは何も見つかっていない。

だったらこの石版らしきジグソーパズルの残りのピースを、この世界にあると言う遺跡から集めてそれを

はめ込んでみれば何かが分かるかも知れない。

「あーもう……分かったよ。その代わり俺達はまだこの集落以外にこの世界を見るのはこれから先が

初めてなんだから、その辺りのバックアップはしっかりしてくれよな」

「当然だ」

色々この世界の事を教えて貰って感謝しているとは言えども、いきなり世界各地にあるであろう

遺跡を回ってピースを集めろと言うのは無茶苦茶な話だ。

だからその辺りのサポートはしっかりやって貰うと言う事を獣人達の集落と約束し、ひとまずはカシュラーゼを

除いた他の国々の遺跡調査でこの世界を回る事になるのであった。


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