A Solitary Battle Another World Fight Stories Final stage第25話


カシュラーゼには近付かない、と言う事を1番に考えてこの世界では行動する様に決めた後は、

他の国についても概要を教えて貰って世界の説明は終了。

いよいよこの世界独自のシステムである「魔術」や「魔道具」についての説明が獣人達からなされる。

「さっきも少しだけ説明したが、例えば私であればこの胸のこれみたいに魔道具を持っている者も居る。

特にその魔道具の形は決まっていないから、例えば腕輪として身に着けたり耳にピアスとして

取り付けたりとその形は様々だ」

「アクセサリーとしても使えそうだな。それで、肝心のその効果は一体どう言うものなんだ?」

若干急かす様な口調でウォルシャンがそう聞いてみると、白ライオンの村長は魔道具をペンダントを

首から外して2人の前に掲げる。

「身体能力を上げる事が出来る画期的な発明品だ。言っておくがこれもカシュラーゼが作り出した物でな。

この世界の生物達は必ず魔力があるとさっき話したが、それと魔術が必ず使えるかと言うのはまるで

別の話になって来る。魔術の勉強が嫌いだとか、元々魔力の量が他よりも低すぎて使えない生物も居る。

そんな生物達が自分自身の魔術や魔力に頼らずとも、この魔道具を身に着ける事によって身体能力を上げられるんだ」


魔道具からは魔力が体内に向かって流れ込む構造になっているらしく、その笛多分の魔力が身体の

魔力と反応して身体能力をアップさせてくれるのだそうだ。

「頭は良くならないのか?」

「残念だがそこは個人の資質による。頭の良さと元々持っている魔力だけは関係が無いからな」

「ああ、そう……」

要は身体に流れる血液とはまた別にもう1つ、血管……と言うよりは魔力の管が多く流れている様な

ものなのか、と地球人の2人は解釈した。

「でもさっきあんたが言ってたセリフによると、この魔道具って言うのはこの世界に存在する全ての生物が持っている訳じゃ無いのか?」

魔道具を持っている者「も」居ると言うその村長のセリフにエイヴィリンは引っ掛かりを覚えていたので

そうした質問が出てきたのだが、その質問に対しての村長の答えはYESだった。

「ああ。元々魔力が沢山ある様な生物なら魔道具を着ける理由も無いし、野生の生物であれば魔道具の

存在すら知らなかったりするからな。とは言え……この集落の獣人達は殆どみんな魔道具を身に着けているぞ?」


その村長の言葉に反応するかの様に、エイヴィリンとウォルシャンの周りに控えていた獣人が一斉にそれぞれの魔道具を見せる。

腕輪として手首に取り付けている者、ピアスとして耳に着けている者、足輪として大き目の魔道具を着けている者も居るし、

村長と同じく胸にペンダントとして首からぶら下げている者も居る。

「ははぁ、やはり人それぞれ着けている物が違うんだな。でもこれってあれか? 着ける位置によって効果が違ったりするのか?」

「着けている位置によって魔道具の効果は違うが、それでも多少の違いしか無い。例えば走るスピードが遅いから脚力を

強化したいのであればそっちのその男みたいに足首に着けるし、全身をバランスよく強化したいのであればそっちの彼や

私みたいに首からこうしてぶら下げるし、耳に着けているそっちの彼女は聴力をアップさせる効果があったりするんだ」

「と言う事は、その自分のウィークポイントを道具によって強化いるんだな」


なかなかしっかり考えて作られているらしい、魔道具と言うこのアクセサリー。

だが、またここでエイヴィリンは村長のセリフに引っ掛かりを覚えたので再度質問してみる。

「その取り付けた位置の違いで多少異なるって言うけど、それってつまり他の部分にも効果があるって事なのか?

体内の魔力全体を強化するんだろ?」

村長はまたYESの回答で首を縦に振る。

「ああそうだ。魔道具の全体的な効果としてはまず反射神経が良くなる。それから体力も上がるから激しい運動をしたり

負荷の高い作業をしても疲れ難くなる。あ、でも精神面での疲れに関しては頭の良し悪しと同じく個人的なものに

なるからそこは関係無いぞ」


そこでセリフを切ってさっきと同じくまたお茶を飲み、別の効果についても説明する村長。

「それと……例えば戦場で武器を持って戦う時に、その武器に流れる魔力に反応して持ち主の腕以上の

実力を引き出す事も出来るんだ」

武器の魔力と反応する、と言う話でウォルシャンが質問する。

それって例えば銃による命中率がアップしたり、ナイフで戦う時に今までよりも素早い取り回しが出来るみたいなものなのか?」

「まさにその通りだ。御前達の世界ではどうか知らないが、この世界の武器や防具は武器を作り出す時に魔力をその武器と

防具の中に流し込む。そうする事によって生物の体内の魔力と反応して、攻撃力や防御力を高める事が出来るんだ。

魔力が高い生物であればある程その効果が高いのは言うまでも無いな」

「正直、その辺りに関してはこの世界独自の話だけど地球よりもテクノロジーが進んでいるかも知れないな」

違う世界で生きていれば当然常識も違う。そしてテクノロジーも違うと言う事をこの武器と防具の会話で地球人の2人は感じ取った。


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