A Solitary Battle Another World Fight Stories Final stage第13話
現在バウンティハンターのそんな2人は東京の街を満喫する為、成田空港から
まずはウォルシャンのスケジュール通り浅草へと向かった。
「おおー、これが浅草の雷門か! でっけーな!!」
「写真撮ってくれないか?」
「ああ良いぞ。それじゃその辺りに立って……」
パシャっとカメラで記念撮影。ついでに自撮り用のスティックカメラでエイヴィリンとウォルシャンがツーショット。
お土産には雷おこしや芋羊羹を買って、日本の風情を一通り感じてから次の場所へ。
次にやって来たのは新鮮な魚介類が運び込まれている築地市場。
ここではマグロの解体ショーがある為、その迫力をエイヴィリンとウォルシャンは体験しに来たのだが……。
「……何だ、こんなもんかよ」
「人間を解体するのとは訳が違うぞ」
「まぁ、分かってるけどさ」
エイヴィリンにとっては過去に「人間を解体」して来た事が何十回もある為か、マグロの解体ショーを
見ても特に凄いとは思わなかった様である。
人肉を食べた事もある、とエイヴィリンは語っているがこの解体ショーの後に食べた刺身や寿司等は
生の魚ゆえにあまりお気に召さなかったらしい。
イギリス人のウォルシャンは逆に美味かったらしいので、やはり味覚は人それぞれである。
何せ2人とも初めての日本旅行なのだから、お互いに分からない事が色々あって当然と言えば当然である。
アメリカを拠点にヨーロッパやメキシコ、アフリカ等に行って色々と「仕事」をこなして来たエイヴィリンも、
近場の他国への日帰り、もしくは1泊旅行が趣味であったウォルシャンも日本……いや、アジア圏に
来たのは実はこれが初めてだ。
カンフーと太極拳の使い手である2人は、その関係でアジア系の人物と今までの人生で全く関わりが
無かった訳では無いのだが、それでもアジアと言うフィールドは見るもの聞くもの全てが2人とも斬新な体験である。
その後も東京の名所である東京スカイツリーに上ってみたり、東京タワーに上ってみたりもする。
「OTAKU」や「MOE」と呼ばれるサブカルチャーの名所である秋葉原でグッズを買ってみたり、
若者の街として有名な渋谷のスクランブル交差点を生で見てみたり。
初日なのでそこまで貪欲に東京全てを見回ってみようとまでは思っていなかったのだが、
色々と観光スポットがあると聞いて見回ってしまった。
だがあくまでもまだ少ししか各所を見られていないのも事実なので、これから先のスケジュールで今度は
東京各所をもっとじっくりと見回ってみるつもりである。
いわば「下見」を終えた2人は、日も暮れてすっかり夜になった頃ようやく赤坂のホテルにチェックイン。
「ふぅ〜っ!! やーっとホテルに着いたぜ!!」
「土産も結構買い込んだけど、ホテルにこれ置いといても平気らしいぞ」
「そうなのか?」
ドサッとベッドに倒れ込んだエイヴィリンにウォルシャンがそう言うと、ビックリした目つきでエイヴィリンが反応した。
まさかこのまま部屋に置いといても大丈夫なのか、とビックリするエイヴィリン。
アメリカでホテルの掃除担当の人間が、部屋に置いてある客の荷物を掃除の時に漁って
窃盗事件を働く……と言う事があり得るだけに、なるべく荷物は持ち込まないのが当たり前だった
エイヴィリンにとって、ウォルシャンからのその話は意外だった。
「日本は治安が良いと世界的にも有名だからな。逆の立場で言えば平和ボケしてるって言うかのかな。
それでもどうしても心配なら、ベッドの下に隠しておくとか出来る限りの事をしておけば良いと思うが」
「なら財布とかは持ち歩こう」
そう言えばホテルの利用案内にもそんな注意書きが書いてあったな、とその注意書きをもう1度確認して、
財布やスマートフォン等を自分のズボンのポケットに仕舞い込んで残りの土産は
ベッドの下に入れておく……筈だったのだが。
「……うおっと!?」
いきなり妙な悲鳴らしき声を上げるエイヴィリン。
「……どうした?」
そのエイヴィリンの声に反応したウォルシャンが声を掛けてみるが、エイヴィリンはベッドの下を覗き込んだ
姿勢のままで固まってしまっている。
「おい、どうしたんだ?」
「何か今、このベッドの下で光ったんだが……」
「えっ?」
何かが光ったとあれば、もしかしたら爆弾か何かの不審物が仕掛けられている可能性もある。
「とにかくここは慎重にな」
「ああ、分かってる」
ウォルシャンの呼び掛けで冷静さを取り戻したエイヴィリンは一旦ベッドから離れ、別の方向からもう1度ベッドを
覗き込んでみる。ウォルシャンもウォルシャンで、今しがたエイヴィリンがベッドの下を覗き込んでいた方向から
同じ様にベッドの下を覗き込んでみる。
このベッドの下に一体何があるのだろうか?
元軍人と元殺し屋とは言う経歴から、危険を察知する能力に関してはお互いにその辺りの一般人よりは
遥かに持ち合わせていると自負しているしお互いに認めてもいる。
だからその能力を信じてベッドの下を2人が覗き込んでみた瞬間!!
「うわっ!?」
「くっ……!?」
突然ベッドの下からまばゆい光が溢れ出し、2人の身体を飲み込んで行く。
その謎の光に包まれた2人の身体は、そのまま光とともに部屋から跡形も無く消え去ってしまったのだった。
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