A Solitary Battle Another World Fight Stories 8th stage第41話
サーヴォスからワイバーンの町ガラデンに向かって、あの魔力を持たない人間を追い掛ける
カシュラーゼ王国騎士団の団長ライマンドは、馬を全速力で駆けさせてやって来た。
「よーし、それじゃこの町で情報収集だ。あの男に関しての情報があれば何でも手に入れろ。
どんな小さな事でも構わない。もしあいつの行方を知ってるのに吐かないと思う奴が居たら俺の所に連れて来い。
俺が何としてでも吐かせてやるし、刃向かう様だったら公務執行妨害で逮捕してしまえ!!」
もはやこうなってしまったらなりふり構ってなんかいられない。
サーヴォスからあの男が行く事が出来そうな町を絞り込んでみれば、2日掛けてあのサーヴォスまで歩いて来たと
言う事と1か所に留まっていたらまずいと言う気持ちを考えてみてこのガラデンの町に絞り込んでみた。
他にも何か所か行けそうな町や村はあるのだが、そこから1番近い町となればここ位しか無かったし情報を集めるなら
この町にある図書館でこの世界の情報を色々と集められるだろうとライマンドは踏んだ。
だからこっちに自分が率いて来た40人の軍勢を全て回して来たので、一種の賭けをライマンドはした訳である。
これであの男の足取りが掴めなければ非常にこれからの追跡は厳しいものになる。
(全国の騎士団の支部に連絡を回しているとは言え、相手が1人だとなかなか見つけ難いんだよな……)
魔力を持っていない人間とは言え、人混みに紛れ込んでしまえばその人混みから発せられる多くの魔力が合わさって
その男が魔力を持っていなくても分からなくなってしまう。
例えば1対1の状況でなら、今まで聞き込みして来た人間達がその男と出会った時に「その男に魔力が無かった」と
言えるのだが、これが2人や3人と言った人間達のグループと接触した場合には「その魔力を持たない男に接触された」人間が
自分達のグループに居る他の人間、つまりグループの連れや仲間や家族と言った人間の魔力を感じる事が出来るので、
少し時間をおかなければその男に魔力を感じないとは分からない。
ライマンドやドミンゴが「あの男が魔力を持たない人間」だと分かったのは、あの城の敷地内に倒れていたあの男を保護した
兵士からその報告があったからだ。
とにかく今は情報収集だと思い、ライマンドは部下の40人と共に町の至る所で悪人まがいの恫喝スレスレの聞き込みを
時には駆使しつつあの男の情報を集めて行く。
普段から強引な言動が多い騎士団員を嫌っている人間も多いのだが、それでも嘘を言うのであれば公務執行妨害で
処罰の対象になってしまう上に、ドミンゴ率いる魔術師達が携帯している嘘発見器を用いてその証言に嘘が
無いかどうかを確認する。
(あの時は俺も焦っていたからな……くそっ!!)
サーヴォスの町であの男を見かけたと言う飲食店のマスターに対して嘘発見器を使わなかったのは、その前にそのマスターと
あの男が話していたのを目撃した事を話していた人物の話を聞いた事で、ライマンドの中に焦りが生じたからであった。
騎士団長の称号をまだ20代と言う若さで手に入れたライマンドではあるが、やはりその若さ故の失敗が焦りからの
確認不足として出てしまった結果である。
歩くよりは確実にスピードが早いものの、それでもこの町からまたあのサーヴォスの町に戻って事実確認なんて事はやっていられない。
既に時刻は夕方で陽も落ちて来る。
夜になるに従って魔物が活発に動く時間帯になるので、部下をサーヴォスの町に向かわせて魔物に襲われて結局事実確認が
出来ませんでしたと……なればそれこそ大失態になってしまう。
そうならない為にも聞き込みを部下も総動員して町の至る所でしてみたら、宿屋の主人からその男が昨日
泊って行ったとの情報があった。
その情報を元にして宿屋周辺で聞き込みをすると、今度は屋台のオーナーから食事を摂った後に図書館方面へと
歩いて行ったとの情報が手に入る。
だったら図書館に向かったかも知れないと思い、すでに閉館時間を少し過ぎていたものの騎士団の権限を利用して
強制捜索に踏み込むライマンドとその部下達。
「ここの何処かに居るかも知れない。徹底的に探しておけ!!」
図書館を重要書物が貯蔵されている場所や館長室まで徹底的に部下達に調べさせている間、この図書館の司書の女から
ライマンドは気になる目撃情報を手に入れた。
「ええ、その人なら本をあちらのテーブルで読んでいましたよ」
ここにあの男がやって来て、しかも本を読んでいたと言う事はこの図書館で何か調べ物をしていたに違いない。
もしそれが、今この王国が密かに進めている計画に関する事だとするのなら。
そうだとしたらこの王国の立場が非常に悪くなってしまう事はライマンドにもはっきり見えているだけで無く、
最終的には王国の滅亡に繋がってしまう。
そうなってしまったら自分も同じく終わりなので、その男の事を更に聞き出そうとしたライマンドに衝撃の事実が
この後司書から伝えられる!!
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