A Solitary Battle Another World Fight Stories 7th stage第51話


左から躍り掛かって来た女のカットラスをローリングで前方に回避し、立ち上がると同時に振り返りつつ

アルジェントは左回し蹴りで女の側頭部を蹴り飛ばす。

その蹴り飛ばした勢いで真後ろを向けば槍を突き出そうとする男の姿が見えたので、身体を捻って

その槍を回避しつつ手で槍を弾いて男の腰目掛けて低い姿勢でタックル。

男を押し倒して顔面をメチャクチャに殴りつけていると、前から新たな敵が複数人でやって来るのが目に入った。

(くっそお、まだ居やがる!!)

一旦ここは退避するべきだと思い、アルジェントは立ち上がって背中を向けて全力で逃げる。

そんな彼の側頭部を矢が掠めて冷や汗が流れた。

「うっ!?」

弓を持っている人間が居るとすれば、もしかするとあの時武器の実験で見かけた銃を持っている人間が

居てもおかしくは無い筈だとアルジェントは判断した。


そのアルジェントが今の危機的状況に陥り始めたのは5分前まで時間が巻き戻る。

公都の中を歩き回ってさっさと町の外に出ようとしていたのだが、今日はあいにく何かのパレードがあると言う事で

メインストリートが人でごった返していた為にやむなく裏路地を通る事になってしまった。

幾ら人混みの中に身を隠せると言っても、それ以前にその人混みを通り抜けられない様では移動もままならないので

裏路地を通るしか無い。

そしてその裏路地に入ってさっさと公都を出て行こうとしたのだが、そんな彼の目の前に2人の男女が現れた。

女の方はだらりと下げたその腕にカットラスを持っており、男の方は取り回しのしやすそうな短めの槍を持っている。

「……何だ、お前等」

狭い裏路地を完全に塞がれ、明らかなる殺意を向けて来るその2人に対してアルジェントはそう問い掛けてみるものの

答えは無言のままだった。


その様子を見て、アルジェントの脳裏に1つの思い出が浮かび上がる。

(まさか、こいつ等……!?)

これもまた大公が言っていた事。

『いや、そこが騎士団長と繋がって来る。騎士団長はその野盗集団と影で繋がりを持っているんじゃ無いかと噂されているのだ』

その大公のセリフが頭の中にフラッシュバックして来たアルジェントは、道を塞いでいたさっきの2人と今現在後ろから

自分を追いかけて来ている連中が『それ』だと直感した。

まだ確定した訳では無いが、理由も無しにこうして狙われる可能性が分からない。

もしかしたらただの金目当てのゴロツキの類かも知れないが、今はそんな事を考えている暇は無くとにかく逃げるのみだ。

メインストリートに逃げる事は出来ない。

パレードとやらのせいでメインストリートが塞がれているからこそこうして路地裏に入ったと言うのに、そこに戻るなんて大バカだ。

なので路地裏から路地裏へと逃げていると、目の前に屋外階段が設置してある3階建ての建物が見えて来た。

(……!)

その階段を上ってアルジェントは屋上へと向かうが、次の瞬間彼はとんでもないものを目撃する。


「……はぁ!?」

何と、下で自分を追いかけて来ている連中が何も道具を使わずに空中に浮かび上がっているでは無いか。

そしてその連中は迷わず屋上に着地する。

恐らくはこれも魔術のテクノロジーで生み出された浮遊方法なのだろうか、と驚きと恐怖とそして少しのワクワク感を胸に抱きつつ、

アルジェントは屋上に着地した連中の1人が武器を構えきる前にダッシュからの前蹴り。

その前蹴りでぶっ飛んだ男には目もくれず、斜め左前から小さいハンマーを振り被って来た優男の腕を左手で押さえ込みつつ

右腕で彼の身体を抱え込んで、3階から下へと躊躇無く投げ落とす。

「でやああ!!」

声がする方向に振り向けば1人の女がナイフを振って来たので、全力の反射神経でギリギリで屈んで回避しつつ

女の胸に左ミドルキック。

怯んだ女の右太ももを右足で蹴って、更に体勢を崩した女の顔面を右足で蹴ってノックアウト。


それでも休む暇も無く、今度はロングソードを構えて角刈り頭の男が向かって来たのでアルジェントはその男の突き攻撃を

男の腕の外側に回避しつつ、彼の襟首を掴んで膝蹴り2発。

そこで足音のする方に目を向ければ、最初に前蹴りでぶっ飛ばした男が愛用の大きなハンマーを振り被って来たので

アルジェントは膝蹴りをかました角刈り頭の男の身体を突き飛ばしてハンマー男にぶつける。

「ぐへ!」

「あが!」

ぶつけた角刈り頭の男が跳ね返された所で彼の膝の裏に左足でキックを入れて体勢を崩させ、キックの勢いで

ハンマー男の胸にも左足でミドルキック。

アルジェントは丁度2人の間に割って入る様な格好になった。

「でや、へや、はぃい!」

ハンマー男へのミドルキックの反動を使って角刈り頭の男の胸にキック、その反動でハンマー男の胸に今度は前蹴り、

右の軸足を回してクルッとターンしつつ左足で角刈り男の頭目掛けて強烈な回し蹴り、そしてその回し蹴りをした左足を着地させて、

それを軸足に最後にハンマー男の側頭部に右後ろ回し蹴りで2人纏めてノックアウトした。


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