A Solitary Battle Another World Fight Stories 6th stage第52話
セバクターのいきなりの行動にとっさの反撃をしたアイベルクは、そのいきなりの行動をした本人に
そう言われて覚悟を決める。
「ああそれで良い。しかしこちらも手は抜かないからな。勝ち負けは関係無いが、存分にやらせて貰おう!」
そのセリフを言い切ると同時に、ハイキックでセバクターの頭を狙うがそれをセバクターは右腕を上げて
ロングソードの柄を使ってガード。
そのガードした体勢からアイベルクを左足の前蹴りで蹴り飛ばし、アイベルクの身体が自分から離れた所で
横にロングソードを薙ぎ払うつもりだった。
だが前蹴りを食らわされたアイベルクはこれまたとっさの判断で足に力を込め、後ろへとバックステップで
次に向かって来たロングソードを回避。
セバクターは自分を仕留めようと向かって来るので、アイベルクは何とか懐に潜り込み自分の間合いに持ち込みたい所だが、
武器を相手が持っている場合はこのリーチの差が怖いのである。
まさに手も足も出ない状況でやられてしまう事もあるからだ。
だが、テコンドーばかりがアイベルクの戦う術では無い。
ロングソードを再び横に薙ぎ払い、そのまま横に1回転して回転斬りを繰り出すセバクターのそのロングソードを
振り抜いた所でアイベルクは一気にセバクターに接近。
助走をつける形で踏み切り、そのまま下半身へのタックルでセバクターを地面に倒してマウントポジションを取った。
「ぐっ……」
抑え込まれたセバクターは何とか脱出しようともがくものの、アイベルクはまず自分にとって不利な要素であるロングソードを
持っているセバクターの右腕を、マウントポジションを取ったままグーで全力で殴りつける。
「ぐお!?」
殴られた衝撃でロングソードの柄から手が離れたのを見て、今度は柔らかい股関節を使ってその体勢から左足を
ロングソードの方に伸ばして蹴り飛ばす事に成功。
最後にアイベルクがセバクターの首に手をかけた所で手合わせは終了した。
「良し、ロングソードの場合は大体分かった。しかしあのメイベルと言う女は大斧を使っていた。また対処法が
変わって来るだろうから、すまないが次は斧で私に向かって来てくれないか?」
マウントポジションを解除して立ち上がったアイベルクは、次にあのメイベルの様な長い獲物を持っている相手と
遭遇した場合をシミュレーションしたいと言う事でセバクターに願い出る。
だが、セバクターは違う武器の提案をする。
「それならハルバードの方が良いんじゃ無いか? 斧と槍がいっぺんに対処出来るぞ?」
「ああ、それもそうか。ならハルバードで次は頼む」
セバクターの提案にアイベルクは納得し、今度はハルバードを持っているセバクターと第2ラウンドがスタート。
……の前に、セバクターから質問があった。
「あの女と確か貴様は戦ったんだったな。どんな戦い方だったか覚えているか?」
「戦い方……」
と言われてもあの時は自分も必死だったので、アイベルクは相手の戦い方を観察する余裕が無かった事を正直に伝える。
「すまない、そこまでの余裕は無かった。1回目は腕が縛られた状態だったし、2回目は後ろから殴られて気絶したんだ」
相手の出方や戦力差を見られる程の余裕があるのは、それこそ相手と自分の間にそれだけの実力差がある場合か
今の様に単なる手合わせの時位のものである。
相手が殺しにかかって来ている状況で、その相手の癖や武器の扱い方をじっくり見る事が出来る余裕はあの時の
アイベルクには無かったのだった。
「そうか。ならば俺個人の戦い方で良いか?」
「それで構わん」
メイベルも同じ様な武器を持っていたから、実際にこうして手合わせをするのは何よりも濃密なシミュレーションに
なるのは間違い無かった。
「ふっ!!」
息を吐いてセバクターは再び間合いを詰める。
若い身体だけあってなかなかのスピードだが、アイベルクに見切れないスピードと言う訳でも無かったので素早く距離を取る。
その距離を取るアイベルクに向かって突き出される槍の部分を身体をひねって回避し、足を狙って繰り出された
突き攻撃はジャンプでしっかりと避ける。
今度は斧の部分でなぎ払いをかけて来るセバクターだが、アイベルクはあえて避けずに懐に飛び込みつつ右腕でガード。
あの謎の現象が起こっては困るのですぐに腕をハルバードから離し、その右腕で更にセバクターの方に飛び込みつつ
全力のラリアットでアイベルクはセバクターを押し倒す。
2度も倒されて同じ手でやられる訳には行かないセバクターは、マウントポジションを取られる前にゴロゴロと地面を転がって
アイベルクから離れつつ立ち上がろうとしたのだが、そこにアイベルクの足が襲い掛かる。
その地面に横たわった状態から繰り出された下段回し蹴りはセバクターの顔面にヒット。
「ぐあ!」
更に鎧を身につけていない腹の部分を上手く狙って、アイベルクは手の力でゴロリと前方に身体を回転させつつかかと落としを食らわせた。
「ぐふぅ……」
ハルバードの場合のシミュレーションもこれにて終了し、良い運動にもなったアイベルクは部屋に戻る事にした。
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