A Solitary Battle Another World Fight Stories 6th stage第38話


規模が大きいと分かれば早急に他の国にも協力要請を申し出るべきだろうと思ったセバクターは、

シーディトとカヴィルドにその役を任せて彼等2人を牢獄から退出させた。

そして残ったセバクターとルディスとライウンの3人でいよいよ鳥人に最後の質問をするのだが、

これが今までで1番重要な質問になるだろうと3人は思っている。

「それじゃあ最後の質問だ。魔力を持たない人間の部屋に貴様は乱入したそうだが、

その魔力を持たない人間の行方を教えて貰おうか」

「あ、あいつの事?」

自分がやられてしまった時の記憶がフラッシュバックして、鳥人は苦々しい顔つきになる。

「あの野郎か……結構強かったけど、俺はあそこでやられてそのままだよ。後の事は何も知らねえな」

それだけ言って口をつぐんだ鳥人だが、まだ何か隠しているだろうと悟ったルディスが全力で

鳥人の股間を蹴り上げる。

「うごっ!?」

「まだ何か隠してるでしょ? 早く言わないと今度は大事な所を潰しても良いんだよ?」


そう言いながらもう1度思いっ切りその股間を蹴り上げてやれば、白目を剥きそうになりながら鳥人は観念した。

「う、うう、ううわわわ分かったよ! 俺はあの男を捕まえに行けって姉御から命令されたんだよ! 姉御を

逃がす事が出来た時に!!」

「何だって!?」

捕まえるとは一体どう言うつもりなのか。

城の中をくまなく探しても見つからない理由は、まさか……とセバクターの首筋に冷や汗が流れる。

そんな冷や汗をかくセバクターの前で、鳥人は衝撃的な事実を話し始めた。

「あ、あの男にやられちまった姉御は凄く恨みを抱いてる様だったから、俺が姉御を牢屋から出した時に

あの男を捕まえに行けって命令された。だから俺は捕まえに行った。だけど失敗して俺は負けた。それだけだ。

その後の足取りは俺知らねえよ……本当だ!!」

「目的も知らないのか? あの魔力が無い人間を捕まえた上で、一体何をさせるのか……」


セバクターの質問に鳥人は首を横に振る。

「そこまでは聞いちゃいねえ。俺は捕まえに行けって言われただけだし。も、もう勘弁してくれえええ……」

ついには泣き出してしまった鳥人の男を3人は見降ろしつつ、このままでは問題が山積みだと言う事を確信した。

出来る事から始めて行きたいが、まず最優先にやらなければいけない事を決めておかなければならない。

「まずいな、通りで俺が城中を探し回ってもあの男が見つからなかった訳だ」

「も、もし仮にあのアイベルクって男が攫われちゃったとしたなら、それって何か目的があっての事だよね?」

「俺に聞かれても困る。今はとにかく盗賊団とあの男の行方を追いかける部隊を編成するぞ!!」

迅速な行動が必要なのは間違い無い。

だけど何処に向かったかのアテが無ければ探しようが無いので、まだ泣いている鳥人に向かってライウンが

彼の胸ぐらを掴み上げる。

「ちょっち答えてくんねぇか。お前さん達のアジトの本部みたいな所があるんだろ?」


良い子ちゃんだから教えてくれや。それ位下っ端のお前さんでも知ってんだろ……と口は笑っているものの目は

全く笑っていないライウンの質問に、鳥人はガクガクと壊れたおもちゃの如く首を縦に振った。

「お、俺達のアジトはリーフォセリア王国の王都の近くだよ。俺は1回だけ行った事があるから間違い無いさ」

「素直に最初っからそう吐けばいいんじゃーん。よっしゃ、お2人さんも今の話聞いてただろ。リーフォセリアだってよ」

「分かった。ならばそこに向かわせる部隊を編成しよう」

最後にルディスが鳥人の男に手枷と足枷をはめてからロープで拘束し、他の騎士団員による見張りもしっかり立たせる

厳重警戒体制でこの罪人を見守らせるスタイルを確立させてから3人も動き出した。

もし本当にアイベルクをさらってしまったのだとすれば、アイベルクの行方もそうなのだがそれよりも盗賊団がアイベルクを

さらって一体何をしようとしているのかが気になる。

鳥人の男はさらう目的を知らなかったので、ここからは3人の仮定の話でしか無くなってしまうが。


「魔力が無い事と何かさらった事に関係があるかも知れないな」

「そうなると魔力が無い事を利用出来るだけの何かがある可能性が高いんじゃないか?」

「ううむ……やっぱり僕には分かんねぇーなぁ。でもでもそれはこれから探して真相を掴むしか無いっしょ」

「真相……」

それを掴む為にはアイベルクがさらわれたと言う事を明確にしなければいけない。

もしかしたらあの鳥人の言う通りにさらわれてしまったのかも知れないが、この城の内部は調べても中庭等はまだ

調べていない段階なのでもしかしたらその辺りから忘れた頃に姿を現わすかも知れないのだから。

「まずはリーフォセリアに向かう部隊を出すぞ。シーディトとカヴィルドも俺の執務室に呼んで来てくれ」

「分かった」

執務室での打ち合わせも手短に済ませなければならないだろう。

早くしなければアイベルクだけでは無く、あの盗賊団も何処に行ってしまったのかがどんどん時間が経つにつれて

分からなくなってしまうのは否定出来なかった。


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