A Solitary Battle Another World Fight Stories 5th stage第36話


鎮座している機械はどれも小型の物ばかり。

早速何かが見つからないかと探し始めたグレリスだったが、アニータがその時何かに気が付く。

「ねぇ、この場所って結構新しくないかしら?」

「……そーいや、そーだな。この機械自体は明らかに朽ち果ててる様な状態だけど、埃とか土とかあんまり

ついていないからここにこの機械が運び込まれたのかな?」

そばの機械のボタンを押してみたりしても何も反応が無い。そもそもパーツ自体が欠損している状況なのが

一目で分かる位の有り様なので、最初から反応する事をグレリスは期待していなかった。

その後も朽ち果てているパーツや機械を調べて行くものの、地球に帰れそうなヒントは見当たりそうに無かった。

そこで、せっかくだからと連れて来た2人にグレリスはインタビューを試みる。

「さーて、今度は別の事聞くぜ? ここは一体何なんだ? お前達は知ってんだろ? この場所とかこの機械とかの事をよ?」

連行して来る間も一向に沈黙を貫いていたこの男2人に、どうやって口を割らせるかどうかと言うのをグレリスは

考えながら問いかけてみる。だけどやっぱり彼等は黙秘を貫くつもりの様だ。


だんだんグレリスもそんな2人にイライラして来た。

「……おい、俺が何時までも黙ってると思ったら大間違いだぜ?」

そう言いつつ、地面に落ちているパーツの欠片……先が鋭く尖っている鉄の破片を手に取って背の高い男の顔面に

突き付けるグレリス。これでは第三者から見るとどちらが悪者なのか分からない状況である。

すると、ようやく斧使いの男が口を開いた。

「ギルドの連中がこんな脅迫して良いのかよ」

「ならお前はそのギルドから来た奴等に襲い掛かっても良いってか?」

「ぐっ……」

「先に手を出したのはお前達の方だろうが。先に手を出してんだから不利になるよな、確実によ」

グレリスから一瞬で大きなカウンターを貰い、黙り込んでしまったその斧使いの男の横から背の高い男が口を挟んで来た。

そして、それはグレリスにとってもアニータにとっても予想外のセリフだったのである。


「……分かった、話しても良いけど……俺達を騎士団に引き渡さないって言う条件だったら話してやるよ」

「はぁ!?」

そんな素っ頓狂な声が出てしまう程にビックリし、すぐに首を横に振って肩をすくめるグレリス。

「何言ってやがる。そんな事言って、後で仲間集めて俺達にリベンジかましに来るって魂胆だろ?」

そうはいかねえよと男に対して即刻NGを出すグレリスであるが、今度はアニータが口を挟んで来た。

「本当に私達を狙わないって約束してくれるのかしら?」

「ちょ、おいおい何言ってんだアニータまで。こんな奴等の事信じる気なのかよ?」

グレリスのその本心からの疑問に、アニータは首を縦に振って答える。

「元々、私達の受けた依頼はここの鉱山の調査だけなのよ。それにもしかしたら貴方が望んでいる様な情報だって手に入る

かもしれないわ。もし次にまたこうして私達の前に現れる様な事があれば、その時に改めて騎士団に引き渡せば良いでしょ?」


そのセリフに、今度はグレリスがさっきの斧使いの男と同じく口籠る結果となった。

「いや、うーん……まぁそう言われればそうかも知れねえけどよぉ?」

「それで、話を聞くのか聞かないのかどうするのよ?」

聞きたいのはそれだけだとばかりに返事を求めるアニータに対して、グレリスは苦渋の決断を下した。

「……分かった、2度と俺の前に姿を見せんじゃねえぞ。それから情報がデマだった場合もその時は本気で騎士団に引き渡すからな」

渋々と言った様子ではあるものの、男2人を見逃す代わりに情報提供をして貰う約束をするグレリス。

その返事に斧使いの男はニヤッと笑みを浮かべた。

「へっ、話が分かるじゃねえか。俺達は数日前から、この場所にこの妙な物体を運ぶ様に指示されたのさ」

「指示って……誰にだよ?」

その指示を出している人間が分かれば、地球に帰るに当たって大きな進展になるのは間違い無さそうだ。


だけどそうそう簡単に事は進んでくれないらしい。

「それがさ、俺もこいつもその辺りに関しては良く分かんないんだ」

「分かんないって……誰かの命を受けてこの妙な物体をここまで運んで来たんでしょ?」

「そうだよ。正確に言えば、俺達にその運ぶ様に指示を出して来た人間は分かる。確かこの近くの町に居るって話だった。

だけどどうもその人間の上にまた指示を出している奴が居るらしくて、その上にも更に居る……みたいな話もあったな」

「と言う事は、最終的に大元の指示を出している人間の正体を掴ませない様に何重にも依頼しているって訳かもね」

ここまで運ぶのを手伝わされただけと言う話で、このグループ自体が考えた作業では無いらしい。

「それじゃあ、その指示を出して来た人間の所に行きたい。どんな奴だ?」

「えーっと、そいつならこの近くの町の……」

グレリスは何としてでも地球に帰る為に、その町に居ると言う人物の情報を聞き始めた。


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