A Solitary Battle Another World Fight Stories 4th stage第2話


こうして、プロレスのリングから下りたレナードは18歳の高校卒業後に軍人になる事を選んだ。

体力面に関してはプロレスで培った経験があるので、士官学校の入学試験で課されていた体力テストに

関しては総合成績で7番手で突破。 この時点でまだまだ上には上が居る、と悟ったレナードは頭脳面でも

総合10番手の成績で通過。 上の下レベルと言った所で入学を許可されたレナードは、それから周りの

レベルに取り残されない様に必死に食らい付いて行く。

大学のカリキュラムも圧縮されてはいるものの、そのカリキュラムが学校生活の中で

兼ね備えていると言う事は普通の大学よりもはるかに厳しくそして慌ただしいと言う事でもある。

そんな士官学校を卒業するまで3年の月日を要し、21歳で卒業後は1年間の

部隊勤務の後に少尉に任官されて勤務。

そこから更に上のクラスの将校となるべく、士官学校卒業者で少尉になって1年の月日が経った者しか

入学出来ない上級学校の帝国軍学校へと23歳で入学。

軍学校在学中に自動的に少尉から中尉に昇進するのがカリキュラムだったので、当然それについて行けなければ落とされる。


ここでそうした2年間のカリキュラムが帝国軍では組まれており、卒業時には自動的に大尉に昇進出来るシステムとなっている。

なので、レナードが卒業した25歳の時にはすでに大尉に昇進していたのだった。

こうして若き将校になる為にいわゆるエリートコースを歩んで来たレナードではあるものの、実はこの時には実戦の経験が殆ど無かった。

むしろ将校として人を動かす為の勉強やシミュレーションばかりしていた為、実際に戦場に出る……と言う事はまず無かったレナード。

勿論それはレナード自身も分かっている事。

幾らデスクの上で理論を展開した所で、実際に現場の中で経験してみなければ分からない事だって色々存在する。

なのでレナードは前線での部隊勤務を志望していた。

前線での部隊指揮を実際にしてみる事で、何かが見えて来るかも知れないと思ったからだ。

(指揮を執り、実際に部下となる兵士達を動かして経験を積む。そうする事で、私はもっと軍の事を知る事が出来る筈だ)


その思いで配属の選考結果を待っていたレナードの元に届いた通知は……。

「後方支援部隊!?」

希望が通らないのは軍人だけでは無く、人生の中では良くある事だ。

特に、軍と言う閉鎖的な場所では内部の人間と多く関わるのが当たり前の為に余計に配属先は重要になって来る。

その配属先でせっかくの経験を活かせなければお払い箱にされてしまうのが軍でも民間企業でも当たり前の話だった。

それでも、レナードは少しは期待していた為に落ち込む事に変わりは無かった。

後方支援部隊と言う事はつまり前線からの状況を伝えられたらそれを把握し、必要な物資や人員の確保に精を出す部隊だ。

平時であればその物資の補給をしたり、前線の部隊で使用されて壊れた武器の手配要請に応えたりするのが主な任務だと言う。

つまり、書類仕事がメインの地味ではあるが重要な部署だ。

経理とかの仕事はまた別の部署になるのでレナードは関係無いが、もう決まってしまったのだから今更ウダウダ言っても

仕方が無いだろうと強引に自分を納得させる。


こうして、将校の立場としてのレナードの勤務が始まった。

最初の内は色々とミスをしたりするのは当たり前の事だったが、要領が良いレナードは1度犯したミスはしないと自分で決めている。

それもレナード自身の真面目な性格があってこその話であり、しっかりと軍務に取り組むその姿勢から徐々に上官や

同期の軍人達からの信頼を得ていく。 後方支援の部隊とは言えども立派な軍の業務であるが故に、経験を重ねるにつれて

色々と任せられる仕事が多くなって来るのも民間企業に勤めるのと変わらないな、と民間企業に勤める友人から聞かされていた話と

照らし合わせながらレナードは思っていた。

しかし、レナードは心の中ではやはり自分のプロレスの経験を活かした前線での仕事に立ちたいと思っているし、実際に将校として

部下を指示する立場でもあるので自分の実力が何処まで通用するのか試してみたいと言うチャレンジ精神もあった。

だが、よっぽどの人材不足でもない限りは将校が前線に出て戦う事など有り得ないのが現代の話。

(下士官の方に行けば良かったのかな……)


そう思って後悔したとしても、人生にリセットボタンは無いのだから今更どうもこうも言えない。

今はこの仕事を一生懸命こなすしか無いのだと思う毎日。

そんなレナードはその悶々とした思考を振り払うかの様に、業務が終わった後には自らトレーニングルームに赴いて筋力トレーニングと

格闘トレーニングを欠かす事は無かった。

他にも同じ様に思っている軍の同僚は居るらしく、その同僚達と一緒にトレーニングをさせて貰った事もある。

それでも、後方支援部隊所属と言う事で前線を想定したトレーニングはなかなかさせて貰えない。

(もし、私が前線に勤務になったら……?)

その時は前線で指揮を執る必要があるだろうと感じ、自分で教本を読んで何通りもの戦略をシミュレーションするのも忘れなかった。


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