A Solitary Battle Another World Fight Stories 3nd stage第57話
その指示を皮切りにして、フランコと副リーダーの女以外の4人がそれぞれの武器を持って襲い掛かって来た。
ロングソードが武器の男、ウォーハンマーの大男、大型のナイフを持っている女、ロングボウ使いの女。
近距離が3人に遠距離が1人と言う構図だ。
4人の手によって窪みのある場所から追いやられる状態になってしまったジェイヴァスだが、全く勝ち目が無い訳では無い。
要は囲まれない様にすれば良いだけの話なのだが、アクション映画の様にそうそう上手く行く訳無いのも現状だ。
囲まれない為には1人1人の動きを良く見て対処する事。40歳と言う年齢もあるのでそうそう時間はかけられない。
素早く倒して行かなければこっちの体力が持たなくなってしまう。
身体のキレや瞬発力、持久力等をトータルで見ても若い人間の方が明らかにある。
でも、経験ならば自分は元々格闘技をやっていた人間だし軍に入隊して長い。
それにこの世界にやって来てからまだそんなに時間は経っていないとは言え、目まぐるしい日々……それもその大半が
バトルだった気がするしこの連中とのバトルで言えばそれこそ何回もやって来た。
だからその経験の差がこいつ等と俺との違いなんだ! とジェイヴァスは自分を奮い立たせて目の前の4人に立ち向かう。
ロングソードを持っている男が斬りかかって来るのを見て素早く横に回避し、下段回し蹴りでその男の足を払う。
その回し蹴りの低い体勢を利用し、今度はサンボの両足へのタックル「ドブ(ダブル)・ノーガ(脚)」で横から向かって来た
ナイフ使いの女が自分にナイフを繰り出す前に、下から全力で両足を抱え込んで彼女を持ち上げる。
「うわわわわっ……ぐっ!?」
人間の身体の構造を熟知しているジェイヴァスは、頭の方がどうしても重くなりがちな事を利用して石造りの地面に
背中越しにナイフ使いの女の頭を叩き付けた。
側頭部から叩き付けられた事で首が許容範囲を超えて直角に折れ曲がり、そのままナイフ使いの女が息絶える。
これで1人目。
それに気づかないままジェイヴァスは次、のトールハンマーを振り被って来た男の股間をハンマーが振り下ろされる前に
容赦無く蹴り上げて悶絶させた。
「おぐぉぉぉぉっ……!!」
ハンマーをそのまま力無く地面に落っことして前のめりになった男の顔面に、鼻の骨を折る強烈な右ストレートを浴びせて怯ませる。
横からはロングソードの男が再び斬り掛かって来るものの、ミドルキックで男のみぞおちを的確に狙ってロングソードが振るわれるのを防ぐ。
そしてロングソードの男の腕を取って、未だに自分に対して攻撃する事が出来ていない弓使いの女に向かって、背負い投げで
ロングソードの男を投げ飛ばす。
男は大きなラインで弧を描いて宙を舞った後に、矢を射る為にチャンスを窺っていた女にぶつかった。
「ぐああっ!!」
「ぎゃはっ!?」
人間同士がぶつかり合う程大きな衝撃もそうそうあるものでは無い。
女が矢を射る事が出来なかったのは自分と戦っている盗掘団の仲間に間違って刺さってしまったらまずいと言う事だろうとジェイヴァスは
予想をしつつ、股間の痛みから何とか復活したトールハンマーの男に対応する。
「おらあああっ!!」
雄たけびを上げながらトールハンマーの男はジェイヴァスに再びハンマーを振り被って来るものの、やはりと言うべきなのか
その武器の取り回しの悪さはジェイヴァスにも見ているだけで理解出来た。
振り下ろし攻撃を避けつつ男の腹にキックをするが、体格では負けているのでまるでダメージは無い様だ。
続けて横に振るわれるハンマーをしゃがんで回避しながら再び足払いを繰り出して男を転ばせる事に成功するも、
追撃をかけようとした所でさっきの弓使いの女が復活して来たらしくジェイヴァスの足元に矢が突き刺さる。
「うっ!?」
一瞬息を呑んでバックステップでトールハンマーの男から飛び退くジェイヴァスだが、そこに今度はロングソードの男も立ち上がって来て
ジェイヴァスに凶刃を振るう。
両腕を上げて上体を反らし、ロングソードをギリギリ回避。
そして続けて振るわれるロングソードを、今度は一気に男の懐に飛び込みつつ彼の顔面に頭突きをする事で静止させる。
「ぐへ!」
鼻血を噴き出した男に全力のアッパーカットを浴びせ、またもや背負い投げをかます。
だが先程とは違って男の手首を離さずに投げ飛ばし、男の背中を今度は地面に叩き付ける。
「がはぁ……っ!?」
硬い石造りの地面に叩き付けられ意識が一瞬遠退く位の衝撃が男に襲い掛かるが、それは大きな隙になる。
ジェイヴァスは腕を持ったまま足を男の顔に乗せ、足首のしなりを利用して男の首をへし折って2人目を絶命させる。
横からはみたびトールハンマーの男が襲い掛かって来る。
足払いに警戒しているのか、トールハンマーのリーチを活かした適度に距離を保つ攻撃でなかなかジェイヴァスを自分に近づけようとさせない。
しかしそれで諦めるジェイヴァスでは無い。
今までやっていた方法が駄目ならば、別の方法を探すだけなのだから。
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