A Solitary Battle Another World Fight Stories 3nd stage第34話


(くそっ、待ち伏せか!)

あれだけ長い時間留置場に入れられていたのであれば、あの遺跡から追い付いて来る事が出来た可能性も十分に考えられる。

しかし、それ以上に考えられる可能性がジェイヴァスにはあった。

(酒場で俺がドンパチやったあの町に先に着いてて、俺が牢屋に入れられたって話とか護送されるって話を

どっかから聞いてて、それで俺を襲撃出来るチャンスを待ってたとか……!?)

何にしても、ここで今自分が襲撃されているのは紛れも無い事実なので当然ジェイヴァスは応戦する。

今回は自分だけでは無くて、自分を護送している騎士団員も居るので一緒に戦う事になった。

騎士団員達は最初、この襲撃者達とジェイヴァスが仲間で手を組んでいるのかと思っていたのだが、

襲い掛かって来た敵の1人にジェイヴァスが横からジャンプして足を首に絡め、そのまま引き倒したのを見て敵の仲間では無いと判断。

むしろ、この連中が騎士団員達とジェイヴァスにとって共通の敵であると認識させる切っ掛けにもなった。


ジェイヴァスの方は、少しでもバトルを有利に進める為にも騎士団員達に手かせを外して貰いたかったのだが今の状況では

そうも行かず、圧倒的に不利な状況の中でバトルしなければならなかった。

今までのバトルと違い、手技の動きが制限されていると言う特殊な環境。

明らかに不利な状況ではあるが、騎士団員達と言う協力者が居るだけまだ救い様があるらしい。

相手にする敵の目印は、それぞれの服の上につけている防具に描かれている黒いロゴデザインだった。

そのロゴデザインは天高く空へ昇って行く天使の絵が黒で描かれているが、天使なのに黒いって言うのもまた妙な話だなーと

思いつつジェイヴァスはロゴデザインを目印に敵を迎え撃つ。

(俺が防具を身につけられなくて良かったんだか悪かったんだか……)

防具も一緒にあの槍使いから持って来るつもりだったのだが、謎の現象のせいでそれを実行出来なかったのは記憶に新しい。

しかし、今こうしてその防具に描かれているロゴデザインが敵を判別する為の目印になるとは、何時何処でどうやって

こうした展開がやって来るのか分からない。


その防具のロゴデザインに今だけの感謝をしつつ、今のジェイヴァスは迎撃スタイルで戦う。

元々のジェイヴァスのバトルスタイルは、我先にと果敢に突っ込んで行く攻めの姿勢だ。しかし、今は手かせによって動きを制限されて

しまっているので突っ込んで行って返り討ちにあってしまう可能性の方が高いと判断。

こう言うバトルの場面ではジェイヴァスは頭が働く。ただし知略は除くが。

見た所、人数はそこまで多くない様だがいかんせんこちらの数が少ない上に手かせの問題があるので、ジェイヴァスは

投げ技を駆使して潰して行く事にする。

ジェイヴァスが習っているのは、ロシアの軍隊格闘術として有名なコマンドサンボである。

元々は「サンボ」と呼ばれているロシアのレスリングがあり、格闘技に興味を持っていたジェイヴァスは11歳からサンボを始めた。


サンボは元々ソビエト連邦で開発された格闘技で、創始者は2人なのだが、その内の1人のワシリー・オシェプコフが

日本で柔道を学び、ロシアで1930年代に柔道の普及を行ったのが最初の歴史だ。

軍隊格闘術としても発展した歴史がある非常に実戦的なものとして、現在のロシア軍では徒手格闘術として採用されている。

スポーツとしてのサンボをすべてひっくるめた上で「サンボ」と呼ぶ事が多く、一般的にサンボと言えばスポーツのサンボを指す事が当たり前になる。

そこに軍隊格闘術として、スポーツのルールに縛られない何でもありの、いわばバーリトゥード方式のサンボとして成長したものがコマンドサンボだ。

日本ではコマンドサンボと呼ばれているものの、イタリアや英語圏の国々では微妙に違いコンバットサンボと呼ばれる。

総合格闘技として打撃等をそれまでのサンボのテクニックにプラスしたものがスポーツ化されている他に、ジェイヴァスも所属している

ロシア連邦軍で使用されている軍隊格闘術として使われる実戦形式のサンボと言う様な分け方を今ではされる様になった。


ベースとなっている格闘技はボクシングと柔術で、それをロシア帝政時代の軍人であるビクトル・スピリドノフが独学で編み出した格闘技が

第一次世界大戦後にソ連赤軍に軍隊格闘術として使われ、第二次世界大戦後にサンボと言う名称となり、今のスポーツサンボとして受け継がれている。

ジェイヴァスはスポーツサンボから入ったクチであり、この特徴として最も大きなものは打撃技の使用禁止にある。

ルールとしては投げ技、もしくは関節技による一本勝ちがオーソドックス。それかもしくは一本までには至らない投げや抑え込み等でポイントを取り、

トータルでの勝敗を競う事もある。

柔道を広めていたオシェプコフは日本のスパイとみなされてしまい逮捕され、獄中死してしまった歴史があるので柔道との比較も非常に多いが、

投げ技も寝技も柔道とはまた違うテクニックや試合運びでサンボは行われるので、似ている様で実は違うのだ。


A Solitary Battle Another World Fight Stories 3nd stage第35話へ

HPGサイドへ戻る