A Solitary Battle Another World Fight Stories 2nd stage第58話


「うはー、こりゃまたでっけーなぁ!!」

その向かったレフォールの詰め所は、図書館の大きさよりも少しだけ大きいと言う所だろう。

だけど、これまで見て回って来た町の詰め所よりは遥かに大きいのはロシェルにも一目で分かる。

「ここはペルドロッグと同じ位の人員を配置しているからな。だからこそ、レフォールはこの大きさだ」

では行くぞ、と言ってクリスピンはスタスタと詰め所の中へと足を運んだ。

詰め所の中では、クリスピンによる遺跡調査の人員が選抜された以外には特に何事も無く終わってしまった。

出発は準備の都合上、どうしても翌日の朝までかかってしまうらしい。


それだったら仕方が無いか……とロシェルも納得して荷物を一旦詰め所の部屋においてから改めて

情報収集の為に2人は町中へと出て、レフォールの町の広さに足を疲れさせながらも犯人の情報を集め回った。

流石国内最大の都市と言うべきか、情報は至る所で集まる。

「犯人の行き先の見当はついたな」

「ええ。後は明日の朝に俺達もそこに行くだけですね」

犯人の見当は2人ともついている。騎士団の人員も選抜したし、後はもう万全だろう……と2人は出発に

備えてその日は早々に眠る事にした。


そして翌朝。

ロシェルとクリスピンは10人よりも少し多めの騎士団員達を引き連れ、レフォールの町を出て西へと向かう。

犯人はその遺跡へと向かったと言う。しかも仲間を連れているらしい。

だったら自分達も早く向かわなければ、一体犯人が何を仕出かすか分からないので馬をここでも全速力で駆け抜けさせていた。

レフォールの町から西の方に向かって3日程歩いた山の中で発見された遺跡なので、馬なら大体1日も

あれば辿り着くと言うのがクリスピンの見立てだった。

ただし、山の中の遺跡である為に登山はあると言う事だけは頭に入れておかなければいけない。


「魔物とかってどんなのが居るんですかね?」

「大きさも種類も様々だ。魔物図鑑とかがあの書庫にもあった筈なのだが、読んでいなかったのか?」

「ええ……地球に帰る為のヒントが載っていそうな本しか読んで無かったんですよ」

だったらしょうが無い、とクリスピンはロシェルにこの世界のモンスターの生態やらランク付けやら種類の事と言う

様々な魔物に関する知識を馬を駆けさせながら教えてくれた。

「ランク付けか……魔物の世界にも人間と同じ様に、階級社会があるんですね」

「そうだな。と言うか、それは生物だったらそうじゃないのか?」

私達人間がそうである様にな、とロシェルに呟くクリスピンを乗せた馬を始めとした騎士団の馬達は、その遺跡があると言う

山へと駆けて行った。


朝早くに町を出発して、途中で何度か休憩を挟んだもののほぼ1日中走りっ放しだったであろう馬達も流石にへばった夕暮れの頃。

騎士団の一行はその遺跡があると言う山まで辿り着いていた。

「馬の番で2人程ここに置いて行く。馬に治癒魔術をかけておいてくれ」

当初連れて来るのは10人の予定だったのだが、もしもの事があると思って多めに騎士団員を連れて来て正解だったと思いながら、

クリスピンは部下の2人にそう命じてロシェルと山に向かって踏み出した。

「足元に注意しろ」

クリスピンの警告に従って後ろに続く一同は山道を歩いて行くが、奇妙な事に遺跡に辿り着くまでに1匹の魔物とも出会う事が無かった。

いや、実際には「無惨にも死体になってしまっている魔物の死骸に出会った」と言う方が正しかった。

そしてその死骸は遺跡の方へと行くに従って数が多くなっている。


「間違い無い、この遺跡に先に入って行った者達が居る」

山の中腹部の洞窟の奥、切り開かれた岩壁の奥にその遺跡の入り口はあった。

ロシェルも、クリスピンが今のセリフの中で何故複数の人物が居るのか分かったのか? と言う事を夕暮れに照らされる

足元を見ながら理解していた。

「大勢の足跡……これは5人や6人じゃない。もっと居ますね」

「ああ。しかもまだ真新しいからな。用心して進むぞ」

クリスピンは腰のロングソードを引き抜いて、部下達もそれぞれの武器を手に持って遺跡の中へと進んで行った。

遺跡の中は崩れた壁やひび割れた床などのせいで、所々に岩があったり大き目の石が散乱していたりで非常に

危なっかしい事この上無い。


なので用心して遺跡の中を手分けして探索して行く騎士団とロシェルだったが、1番最初に最深部に辿り着いたのはロシェルだった。

そのバスケットボールコート並みの広さがあるだろう最深部で、ロシェルは奇妙な物を見つける。

「壁画……?」

何が描いてあるのかは芸術に疎いロシェルにはさっぱりだったが、何故こんな場所に壁画があるのだろうと疑問に思っていた……その時。

「それに手を触れるのは困るな」

後ろから聞こえて来た声にロシェルがバッと後ろを振り向けば、そこに立っていたのは懐かしい顔だった。

「こ、コラードさん!!」

ロシェルは久しぶりのコラードとの再会にビックリする……が、喜びは感じられなかった。

今のセリフからも分かる通り、どうやら今のコラードはロシェルに対して警告を発したらしい。

「御前達騎士団が、この遺跡を調査に来るとギルドの仲間から連絡を受けていたのでな」

「へぇ……それで、俺達をここで待ち伏せしていたって事ですか。俺を罠にはめた爆発事件の真犯人さんがよぉ!!」


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