A Solitary Battle第5話


イレインと別れた後は一先ず廃墟のあった空き地から、イレインと出会った

酒場も兼用している冒険者ギルドへと戻る事にする。傭兵は腕1本で食べて

いかなければいけないので何をするにもまずは傭兵としての依頼があるか

どうかと言う事に尽きる。

そうして冒険者ギルドへと戻って来たセバクターであったが、まずは腹ごしらえだ。

実は先程イレインに手合わせの為に連れ出された時には料理も酒もまだ

来ていなかったので、その料理と酒を胃の中に収めなければならないのである。


そんなこんなで冒険者ギルドの区画に貼られている依頼の紙を何枚か剥がして、

セバクターは自分の条件に見合った依頼を料理と酒が来るまで品定めしていた。

(単価の低い物から高い物までピンキリだな……)

大体は依頼内容に見合った金額になっているが、たまに金額に見合わない程

依頼が簡単だったりする事もあったし、その逆として依頼内容に見合わない位に

金額が低すぎて揉めた事も1度や2度では無いのであった。

なのでそんな生活ももう5年目になるセバクターはなるべく慎重に依頼を見極めたい所である。

(揉めるのはごめんだ)


その中でどれにしようか迷っていると料理と酒が運ばれて来たので一先ずは依頼を選ぶのを

中断して料理に手をつけ始める。手合わせで身体を動かした後の料理と酒はどちらも格別だ。

この地方の料理の味付けは全体的に濃い目らしいが、セバクターは汗を流すのでそんな事は

余り気にしないタイプでもある。

(味付けが濃くたって、汗を流せばその中からその分は老廃物として身体の外に出て行くから

ある程度は大丈夫だな。余り食いすぎるのはどうかと思うが)

そんな訳で腹も減っていたので料理と酒をペロリと平らげ、その後は再び依頼の選別を開始。


そうして約5分悩んで、セバクターは1枚の依頼書をギルド区画に持って行く。

「これを頼みたい」

セバクターが選んだ依頼と言うのは、この町の地理を覚えてみると言う事を考えてみた上での

配達のミッションであった。何とも傭兵には似つかない様なミッションではあるがいきなり

バトルを繰り広げるのも気が引けたのでこの依頼を選ぶ事にした。単価はそれ程高くは無いが

文無しよりは断然マシである。

内容としては本当にただ品物を配達するだけの簡単なミッションなので、戦いの経験が無くても

十分に依頼の内容はこなす事が出来る。


……の、筈だったのだがこのミッションが原因で、セバクターはとんでもない陰謀に巻き込まれて

しまう事等この時は知る由も無かった。

(まずはこうした簡単な依頼が傭兵としての第一歩だからな……)

その陰謀とはセバクターも凄くびっくりしてしまう程の大きな物であったのだ。

陰謀に巻き込まれて行く道を歩き始めて行くセバクターだが、ただの配達のミッションだと思っていた

彼にとっては今はその道を歩いて行くしか無かったのである。


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