A Solitary Battle第3部第15話


盗賊団のリーダーであるシーディトは槍使いの男とのリベンジ

マッチを繰り広げていた。と言ってもリベンジするのはシーディトでは

無く槍使いの男なのであるが。

お互いに斧と槍で長い武器同士の戦いであり、ある程度は相手の

手の内も知っているので油断も出来ない。

そして2人とも大きな武器を振り回しているとは思えない程スピードが

速いのが特徴であり、第三者が居たら迂闊に近づく事は出来ないだろうと

容易に想像がつく程のスピードであった。


斧は槍と違って相手を叩き切る事は出来るが突き殺す事は斜めに

突っ込まないと無理だ。槍は相手を突くだけでなく切り裂く事も出来るが

やはり刺突用の武器である事に違いは無い。お互いに長所と短所がある

武器同士なので、勿論短所より長所を優先して戦いたい所である。

(なかなかだ!)

シーディトは戦いながらも、この槍使いの男はあの神殿で戦った時よりも

強い事を実感していた。と言う事はあの時は手を抜かれていたのでは無いかと

直感していたのだが、だからと言って自分は負ける訳にも行かない。

(だったらその実力に俺も応えなければな!)


シーディトも今は容赦無しの全力でバトルをする事に決めたが、実力としては

どうやら互角の様だ。となれば後は体力の消耗が激しい方が負けになって

しまうのか、それとも別の理由で負けてしまう事にどちらかがなってしまうのかは

分からない。だからこそ相手を何としても倒さなければいけないと言う考えだけは

シーディトも槍使いの男も同じ考えである。戦場で考える事は大体皆そう言う物

なのかも知れない。

(くそ、限界か……!?)

自分は全力を出しているのに、いっこうに進展しないバトルの内容にシーディトは

心の中で焦りを感じていた。


そしてその一瞬の焦りが、槍使いの男が放って来た強烈な突きに斧を弾き飛ばされてしまう。

「しまっ……!!」

驚く間も無く次の攻撃、またやって来たその突きが今度はシーディトの左肩を貫通していた。

「ぐぅああああああっ!!」

余りの激痛に絶叫するシーディトだが、次の瞬間彼はその自分の肩を貫いている槍を

鷲掴みにしてそのまま槍に自分の身体を突き刺したまま前へと進む。

当然槍が肩から出て来る長さは多くなるが、痛いのはもうここまで来れば同じであると言う

大量のアドレナリンを脳から放出していたシーディトは一気に槍使いの男へと接近し、

そのまま自分の行動に驚いている男の顔に空いている右手で全力のストレート!


「ぐあっ!!」

そのストレートパンチで自分も槍から手が離れてしまった男が地面へと転がる。

そんな男を見て、シーディトは肩に槍が刺さったままでは行動しづらいので痛みに

耐えてその槍を引っこ抜き、立ち上がったは良い物のシーディトに殴られた顔の痛みを

堪えている男の胸目掛けて引き抜いた槍を右手で全力で投げ付ける。

「うぐっ……!? ぐあ、あ……」

その槍は男の胸へと一直線に突き刺さり、胸に刺さった槍の柄を掴みつつ苦しそうな

声を漏らしながら、ゆっくりと男は地面に膝をついて息絶えて行くのであった。


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