A Solitary Battle第3部第13話
そしてセバクターは広い山小屋の中、縛られて床に倒れているルディスに
攻撃が当たらない様な位置で、山小屋に飛び込んだ際に自分に
最初に斬り掛かって来た銀髪の男と対峙していた。
「見慣れない男だな、傭兵か?」
「ああそうだ。今、あんたの仲間と外で戦っている奴等に雇われた」
しかしそのセバクターの答えに、銀髪の男は大剣を構えつつ鼻で笑う。
「はっ、傭兵が1人増えたからってこんな大掛かりな突入をして来るとは
俺等もなめられたもんだぜ」
そうしてゆっくりと上段に大剣を構える男に、セバクターもロングソードを
しっかりと構えて彼を見据える。
「外に沢山居たあいつ等は何だったんだ?」
そう聞くと、男は山小屋の外を横目で見てから質問に答える。
「あいつ等が騎士団に泣き付いて来た時の為、そしてこっちの要求にスムーズに
従って貰う為に数を集めたのさ。結局は役に立たなかった様だが……なっ!!」
そう言い終わると同時に男は大剣を振り被ってセバクターに向かって来たので、
セバクターは先程と同じく相手の横へと回り込む戦法で対処しようとする。
だが同じパターンは2度は通用しなかった様で、その振り被りは男のフェイント。
そのまま突っ込みつつ大剣を下ろし、セバクターが居る方にある足で走りこみながらの
キックを自分の横へと回りこみつつある彼へと男はぶちかます。
「ぐふぉ!?」
そのキックがヒットしたがクリーンヒットとまでは行かなかったので、何とか体勢を辛うじて
維持したセバクターは持ち直して一旦転がって男と距離を取って再度ロングソードを構える。
「うおおおおっ!!」
男はパワー全開で大剣を振り回して来るのでかなり危なっかしいし、まともに男の攻撃を
受け止めたらパワー負けするのは目に見えて分かっているので、こちらもまともに
取り合わない様にする事に。
(かと言って、回り込む戦法は見切られている様だし……どうする!?)
だったら回り込まなければ良いじゃないか、とセバクターが気が付くのにはそこから10秒も
掛からなかった。セバクターは男の薙ぎ払いをしゃがんでかわし、得意技になりつつある
そこからの足払いをかける。
「ぐっ!」
倒れこそしなかったが足払いで若干姿勢を崩しかけた男にはそれだけで隙が出来、
今度はその男の懐へと一気に飛び込んでロングソードで……では無く、その飛び込んだ
姿勢から上へとカエルの様に飛び上がって頭突きを男のアゴへ。
「ごっ!?」
歯と歯が正面衝突して物凄い衝撃が頭の中にやって来た男がそれでふらついた所で、
次にその男の側頭部に襲い掛かって来たのはセバクターの渾身の左回し蹴りだった。
「あが!」
今度は成すすべなく男は地面へと倒れ込み、何とかそれでも踏ん張って起き上がろうとした
男の胸へとロングソードが全力で突き立てられた。
「ぐっ……」
勿論男はそれで絶命してしまい、ロングソードを引き抜いて血を振り払ったセバクターは
縛られたままのルディスを助けに向かうのであった。