A Solitary Battle第3部第12話


山小屋の中へと飛び込んだセバクターはまずは山小屋の中を見渡す。

すると自分から見て左側の壁際に、1人の男が転がされて縛られている

状態で倒れているのが目に入った。

(あれは!!)

あの時、自分と神殿の中で小競り合いをした挙句に麻袋を落として

行ったあの男、つまり他のメンバーが言っていたルディスと言う男であると

即座に判断したセバクターはそのルディスの方へと駆け出す。

だがそんなセバクターの目の前に1人の男が立ち塞がった。


「いきなり入って来て挨拶も無しか?」

その男は銀の短髪に腹の出ているファッションで、出ている腹は

凄い腹筋で腕も太く一目で筋肉質な体躯だと言う事が分かる。

武器は今セバクターがギリギリと音を立てながらかち合わせている大剣らしく、

このままではパワー負けしてしまいそうなのでロングソードを持つ手をわざと

引いて男の横に回り込もうとする。

が、そんなセバクターの側頭部に切れの良いハイキックが入ったのはその

瞬間の事だった。

「相手は1人じゃないぞ」


痛む頭を抑えながらその声がした方向を見てみると、そこには青い髪をしている

痩せ身で背が高い男の姿があった。その手にはロングボウが握られているので

遠距離担当なのだろうか? と考えるセバクターだったが、外からの足音に

気が付いてニヤリと笑いながら呟く。

「こっちだって俺1人じゃない」

そのセリフとほぼ同時に山小屋の中に飛び込んで来た3人の男……シーディト、

カヴィルド、ライウンの3人がルディスを助け出そうと動く。

しかし、そう易々と助け出させようとは山小屋の中に最初から居た男達がさせなかった。


神殿で大型のナイフを手に持って襲い掛かって来たあの男はその時に戦った事のある

シーディト……では無く副リーダーのカヴィルドがすぐ傍に居たので彼に向かって行った。

「邪魔するなよ!!」

「邪魔してやるさ。貴重な人質を手放す訳には行かない!!」

山小屋の中ではお互いに狭いのでそのナイフとハルバードによるバトルが山小屋の外に

移って行き、広い所でこの2人のバトルが幕を開けた。


そして一方のシーディトに向かって来たのはこれまた自分と戦った経験がある槍使いの

あの男である。

「また会ったな!!」

「何故あの時俺達を襲った!?」

そう聞くシーディトに槍使いの男は槍を振り回しつつ元気良く答える。

「最初に出会ったのは全くの偶然だったが、結果的にはあんた等の実力を測る為の偵察になったぜ!!」

「はっ、そうか。あの時の俺が本気だと思うなよ!!」

勿論そのシーディトのセリフはハッタリだが、相手が少しでも怯んでくれる事を期待して

そのまま槍と斧でのバトルの第2ラウンドが開始された。


そしてライウンは何とかルディスの動きを封じているロープを解く……かと

思いきや、視界の端から飛んで来た矢に邪魔をされる。

「ふー、危ない危ない。危うく人質に逃げられる所だった」

「僕も危なかったよ。だったらどっちかが死ぬ事になりそうだね!!」

ルディスのロープを少しだけ緩めたものの、解き切る前に邪魔をされたライウンはハンドガンを

構えて高身長で痩せ身の矢を放って来た青髪の男にぶっ放すが、その男は素早い動きで

自分に弾が当たる前に窓から脱出して行くのであった。


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