A Solitary Battle第3部第10話


シーディトとカヴィルドが取り引き場所へと向かっている頃、セバクターとライウンのコンビは

帝都の武器商人が集まっていると言うたまり場へとやって来ていた。セバクターは心の中で

こう言った武器商人やら何やらは何処に集まるのであろうと謎に思っていたが、ライウンと

一緒に来てみてその謎が解けてびっくりしていた。

「貴族街の一角にあるなんて……」

「とは言っても地下室だけどね」

貴族街の路地を少し進んだ所に一軒の宿屋があり、そこでライウンが何かの会員証

みたいな物を見せると宿屋の主人が地下室へと案内してくれた。

そして、そこでは多数の武器商人達が多くの武器を傭兵や騎士団員達と取り引き

している姿がセバクターの目に飛び込んで来たのであった。


その中でライウンは手馴れているのであろう。ずかずかと他の武器商人達の輪に

入って行って何やら話し込んでは握手を交わしたりして和やかムードである。

(流石、あの手馴れている様子は自分で武器商人と言うだけある所か)

そんな様子を壁にもたれ掛かって腕を組んだセバクターは遠目に見ていたのだが……。

「んん?」

何やらライウンが他の武器商人と揉めている様だ。それは遠目に見ていても分かる位の

物だったのでセバクターはそっちの揉め事が起きている方へと歩き出した。


「おい、どうし……」

た、とまで言わない内にライウンがいきなり武器商人の1人に殴られて吹っ飛ばされる。

その吹っ飛んで来たライウンを何とか身体全体で受け止めたセバクターは、ライウンを

殴り付けた武器商人に話を聞こうとしたがそれよりも早く周りの空気が殺気立つのが

ひしひしと身体全体で分かった。

(こいつは……)

もしかしてとんでも無くやばい状態にあるのでは無いか、と感じたセバクターは腰の

ロングソードに手を伸ばしたが、それも気休めにしかならなかった。


が、その様子を立ち直ったライウンが見てセバクターにここから出る様に促す。

「セバクター、ここはもう出るよ」

「え?」

「良いから早く。ちょっとまずい事になったからさ……」

そう促され、ロングソードから手を離したセバクターはライウンと共に武器商人達の

溜まり場から出た。

「何があった?」

「ああ、どうも勘違いをされたみたいでな。僕がその取り引き相手と組んで魔石を

独り占めしようとしているとか何とかって」

「はぁ……?」


一体どんな話し方をしたらそう言う事になるんだ? と首を傾げるセバクターだったが、

目的はどうやら達成出来たらしい。

「とりあえず聞き出したい事は聞き出せたよ。ここの武器商人達も目をつけている

大物の窃盗団らしい。人数は全部で4人で、その内の2人は君が襲われたって

言っていた2人組の容姿と一致するよ」

「となれば、その2人と残りの奴があんたの仲間を誘拐したって事になるんだな」

「ああそうだ。さぁ、取り引き現場に向かおう。もうここに用は無い」


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