A Solitary Battle第3部第8話


「くそっ、何てこった……」

頭を抱えてしゃがみ込むシーディトを何とか仲間の2人の男が立たせる。

「落ち込むのは後だ。まずは作戦会議!!」

「そうそう……向こうだってすぐにルディスを殺すとかそう言う事じゃないんだし……」

「あ、ああ……そうだな」

フォローをされて立ち上がるシーディトだったが、そこでチラリとセバクターに目を向ける。

「で、あんたはどうするんだ?」

「は?」


唐突に話を振られたセバクターは間抜けな声を上げる。だが自分もやる事は決まっていた。

「そう言われたら俺も協力させて貰いたい。どうやら目的は違えど俺達は共通の

敵が出来たみたいだからな。それに……あんた等には聞きたい事も山程ある」

「おいちょっと待ってくれ、あんたは騎士団の人間なんだろ? だったら俺は反対だ。

この手紙にも書いてある通り騎士団の人間を連れて来たらルディスは殺される。

あんただって隣で今の話を聞いていたし手紙の内容まで目を通した訳だろ。なら俺は

あんたの協力を認める訳には行かないんだよ」


そのハルバードの男の言い分も最もだが、それにこんな提案をし出したのが

飄々とした口調の男だった。

「だったらさ、最初に僕達に出会った時みたいに傭兵だって名乗れば良いだけじゃないか。

この手紙には別に人数の指定はされていない。元々仲間の傭兵だったと言うだけで

連れて来たと言う事にすればさ。それに向こうは君の顔も姿も格好も知らない筈さ」

しかし、その提案に今度はシーディトが待ったをかける。

「ちょっと待った。さっき俺達はここで見知らぬ2人の男に襲われたんだ。御前達は

すれ違わなかったか?」

シーディトにそう問われるが、2人の男はきょとんとした顔になる。

「え? いや……」

「どんな奴等の事だい?」


シーディトとセバクターはそれぞれ、覚えている限りのさっきの男達の容姿をその2人に話す。

だが2人にもそのいきなり襲い掛かってきた男達への心当たりはゼロらしい。

「僕にもその男達の事は分からない。襲い掛かって来たと言うなら野盗とかそう言う類の

人間じゃないのかな? 僕にはそれ位しか思い浮かばないよ」

「でもその後に矢を放って来た人間も気になるな。もしかするとそいつ等の仲間かもしれない」

けれども今はその事を考えても答えが出そうに無かった。そして一時的にセバクターと男達で

チームを組む事になったのでまずはきちんと自己紹介をしておく事にした。


「エスヴァリーク帝国騎士団の第15部隊所属のセバクター・ソディー・ジレイディールだ」

「俺はシーディト。普段は見ての通り盗賊だから、あんた等の敵だ」

「そのシーディトがリーダーの盗賊団の副リーダーのカヴィルドだ」

「僕は普段からこの2人に協力しているライウンだ。武器商人だよ」

ハルバードの男がカヴィルドで飄々とした男がライウンと名乗ったが、その時

カヴィルドがセバクターの格好を見てある事に気が付いた。


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