A Solitary Battle第3部第7話


だが男達をぶっ飛ばして更に詰め寄ろうとセバクターが踏み出した時、

斧の男がいきなりセバクターに覆い被さって地面へと押し倒す。

「な、何を……」

セバクターが抗議の声を上げようとした瞬間、自分達の頭上を2本の

矢が掠めて行った。

「……!!」

それにセバクターが驚いている内に男達は素早く逃げ出し、自分達の

馬に乗って走り去って行ってしまった。


「何だったんだあいつ等は……」

自分の上から退いて貰った男にそう呟いたセバクターだったが、男から

返って来たのはセバクターもある程度は予想がついていた答えだった。

「さぁな、少なくとも俺の仲間でも顔見知りでも知り合いでも何でも

無い事だけは確かだ」

「そうか……」

すると、明後日の方向からまた馬の駆け抜けて来る音が聞こえて来た。

「ん? あれは……」


2頭の馬がこちらへ向かって駆けて来るのでセバクターはロングソードに手を

それなりに添えつつ身構えたが、どうやらセバクターに危害を加える存在では

無い様だった。

「シーディト、大変だぁーっ!!」

「ルディス君がさらわれた!!」

「何だって!?」

それぞれの馬に乗っているのはあの時自分の正体を即座に暴いて見せた

飄々とした口調の男と、それから水色の髪のハルバード使いの男だった。


そうして馬から降りて来たその2人の男もセバクターの存在に気がついた。

「あ……」

「おいおい、また騎士が僕達の邪魔をしちゃうって訳?」

そう言いつつ2人は自分達の武器に手をかけるが、それを制したのは意外にも

シーディトと呼ばれた斧使いの男だった。

「おいおい待て、この男は俺を助けてくれたんだ」

「俺も……あんたの仲間のこの男に助けられた」

「へっ?」

「助け合いになったの?」


きょとんと目を丸くする2人の男だったが、すぐにハルバード使いの男が真顔に戻る。

「……って、今はそれ所の騒ぎじゃない。ルディスが朝起きたらアジトに居なくて、

その代わりにテーブルの上にこんな置き手紙が……!!」

「見せてみろ!!」

ハルバードの男が差し出したその手紙を半ば奪い取る様にして受け取ったシーディトの

その表情が、みるみる内に驚愕の物へと変わって行く。

「何だ、こりゃあ……」


「ちょっと見せてくれ」

「あ、おい勝手に……」

呆然とするシーディトからセバクターがスッと手紙を許可無しに受け取り、その内容を

自分もチェックする。だがその内容はセバクターまで呆然とさせてしまう程の文面だった。

「残りの魔石と御前達の弟分とは引き換えだ。下に書いてある地図の場所に今夜、

御前達だけで来い。時間通りに、そしてもし騎士団等を連れて来たら弟分の命は

即座にこの世から消えて無くなる……」

そう、その手紙はこの男達の弟分である男が誘拐されたと言う事、そして

その交換条件としてセバクターも捜し求めている魔石を渡す事で取り引きを

成立させたいと言う脅迫状であったのだ。


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