A Solitary Battle第3部第6話
槍の男が向かって来たのでセバクターも勿論突っ立っているだけで無く、
しっかりと応戦する。槍使いと実戦で戦うのは考えて見ればこの地方に
来てからはニーヴァスと帝都の路地裏でやり合った時以来だ。
騎士団では模擬試合において何人もの槍使い達と戦い、勝率はまずまずと
言った所である。それと今回はニーヴァスの時の様に狭い路地等では無く
神殿前の開けた場所での戦いで、下は土の地面。距離も存分に取れるし
相手の出方を窺う事も出来る。しかし反撃がし難い相手である事には
間違い無いので早めに勝負を決めたい所だ。
槍の男は軽快にその槍を振り回して来るが、セバクターには隙が見えている。
その隙をどうやって突くかと言う事を考えながら武器を合わせて、男が槍を
突き出して来た所で思いっ切りその槍をロングソードでガンガンガンと叩き付ける。
「ぬっ!?」
予想外の攻撃に若干の焦りが男に見えた所で、今度は一気に接近しつつ
自由な方の左手を使って男の顔面にパンチ。
更にそこから回し蹴りを食らわせて男にたたらを踏ませた。
一方の斧使いの男はナイフ使いの男とバトルする。素早さでは負けるが
リーチでは勝っているのでそのリーチを活かしてなるべく男を自分に
近づけさせない様に戦う。
「くっ……!!」
しかし男は魔術も使うらしく、地面に手をかざすとその地面からいきなり
ボコッと大きな尖った岩が突き出て来た。
「うお!」
それを一瞬の判断でバックステップで回避したが、その動きの隙を利用して
男が飛び掛かって来た。
が、男は冷静に斧を飛び掛かって来る男へと突き出しつつ腹を狙う。
その一撃は男の腹に的確に命中してナイフの男は動きを止められた。
「ぐぅ、う……!!」
それでも仰向け状態から何とか起き上がって再びナイフの男は斧の男に
向かおうとしたが、立ち上がり切る前に斧の男が放ったミドルキックが
ナイフの男の腹に直に入って男はまたしても地面に倒れる結果になってしまった。
(向こうは……!?)
倒れた男から一瞬だけセバクターの方に視線を移した斧の男だったが、心配は
どうやら無さそうで順調に槍の男をセバクターも追い詰めて行く。
そうして追い詰めた槍の男をセバクターはミドルキックで神殿の壁へと叩き付ける。
それとほぼ同時に斧の男もナイフの男を斧でど突いて同じく壁へと叩き付け、
叩き付けられた2人の男は隣同士で御互いの肩がぶつかり合う位の位置になった。
「ぐっ……」
今度は相手のポジションを入れ替えて槍の男が斧の男に向かおうとするが、自分に
向かって来る前に素早く斧の男は彼に前蹴りをかましてチャンスを掴ませない。
それを見て、セバクターは斧の男とアイコンタクトを取ってうなずく。
「はっ!」
「ふっ!」
同時に吐き出されたその気合いの声と共にセバクターは左回し蹴り、斧の男は
右の前蹴りで入れ替わったそれぞれの相手を同時に壁にぶっ飛ばした。