A Solitary Battle第3部第5話


「……!!」

「お、おいおい……いきなりこれかよ?」

何と目の前に現れたのは、昨日の夜にこの部屋で出会った4人組の内の

逃げる為に合図の叫び声を上げたあのリーダー格の長い斧を持った

紫の髪の毛の男であった。

「動くな。そのまま両手を挙げてゆっくりと膝をつけ」

「分かった分かった……」


だが男は膝をつく素振りを見せつつ、ロングソードをくぐって一気にセバクターに

タックルを仕掛ける。

「くっ!?」

以前ニーヴァスにも路地裏で同じ事をされた時にはタックルに上手く合わせて

膝蹴りをかまして撃退したのは記憶に新しいが、今回は男と自分との距離が

近いしロングソードを構えていた為にその戦法は通用しなかった。

しかも長い斧を武器として使っているからだろうか、パワーだけで言えば

セバクターよりもかなりある様でそのまま壁際へと押さえ付けられてしまった。


「ぬっ、らぁ!」

だが押さえ付けられたセバクターも勿論やられっ放しと言う訳には行かないので、

男の腹に膝蹴りを2、3発かましてそれで男が怯んだ所で前蹴りを繰り出し、

何とか男を自分から離す事に成功した。

「そう来るか。ならばこちらも実力行使だ」

ロングソードを構えて警戒心をマックスにするセバクターだったが、男は攻撃して来る

様子を見せない。

「待て待て、そう熱くなるな……俺はただ、この前俺の部下が忘れていった物を

探しに来ただけだ、別にあんたと戦う気なんて無い」

「忘れ物……?」


そう聞いて、セバクターの脳裏にある物の存在がよみがえる。

「もしかしてそれは、弓を持っていた男が落とした麻の袋ではあるまいな?」

「ああそうそう、それだよ」

「それだったら騎士団にもう持って行った。返して欲しかったら俺と一緒に来るんだな」

「はっ? 何だよそれ!!」

「何だも何も、あんたらの証拠品だ。それにここで出会ったが最後、あんたも騎士団へ

連行させて貰うとしよう」


再び戦闘態勢を取るセバクターだったが、男はその手には応じなかった。

「だったらそれはこっちで取り返させて貰うとするから、もうここに用は無いぜ」

そう言い残して逃げ出した男の背中を当然セバクターは追いかけ始める。

だが男は長い斧と言う持ち運びがし難い武器を持っているにも関わらず、身軽な

動きと走り方でセバクターに距離を詰めさせようとしない。それに薄暗い中でも

目が慣れるのが早いのか、時折り何かにつまづいて転びそうになるセバクターとは

違って男は全くふらつかない。

(くそ……逃げ足が速いと言うよりも、凄いなあの男……)

このまま逃げられてしまうのかと思いつつも何とか入り口まで男を見失う事無く

着いて行ったセバクターだったが、そこで突然男の足が止まった。


「何だ御前等!?」

男の驚いた声が上がるその先には、見慣れない2人の男がそれぞれ

武器を持って立ちはだかっていた。

「……どうやら、知り合いでは無さそうだな」

そう呟くとセバクターは腰のロングソードに手をかける。そしてそれとほぼ同時に

男も長い斧を構えた。それを見た2人の男もそれぞれの武器である槍と大型

ナイフを持って、槍の男がセバクターに向かって襲い掛かって来るのであった!!


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