A Solitary Battle第3部第4話


「どうやら、任務は失敗に終わったらしいな」

クローディルの副官であるニーヴァスのその声に、セバクターはギリッと奥歯をかみ締める。

「まぁ、この袋を回収出来ただけでも良しとしよう。しかし……その飄々とした口調の男は

騎士団に繋がりでも持っているのかと思う位の情報通だな。だとすると騎士団にも

内通者が居るのか、もしくはその男が凄腕の情報通なのかと言った所か」

クローディルはあごに手を当てつつ考えるが、すぐに首を横に振って続ける。


「とにもかくにも早速捜査を開始しなければな。4人の顔や髪の色、背格好や

武器等はあんたが教えてくれたからこちらでも部隊を編成して聞き込みをさせよう。

セバクターはもう1度その神殿へ行って、証拠になりそうな物が無いかを夜が明け

次第調べて来るんだ。それと魔石は古代兵器のエネルギーになると言う噂も

あるからもし見つけたら回収して来い。他にもまだ何かがあるかもしれないからな」

「はい、分かりました隊長」

結局あの後必死にあの4人組を追いかけて行ったものの、神殿を出たセバクターが

目にした物は馬を駆って逃げて行く4人組の姿だった。


野営を片付けて自分も撤収してきたものの、結局収穫はあの弓使いらしき

背の低い男から落ちた麻袋1つだけだった。

だがまだ他にもクローディルの言う通り証拠があるかもしれないので、セバクターは

夜が明けたらすぐに命令通りにその神殿へと愛馬を駆って真っ直ぐに向かう。

(何かがあれば俺もまだ救われると言う感じだがな)

苦笑いをこぼしつつ神殿へと戻って来たセバクターは、相変わらず薄暗い神殿の

中をランプの光を頼りに進んで行く。


今度は人の気配がしないが、それでも警戒しつつ腰のロングソードの鞘に左手を

添えながら進むセバクター。

(油断は禁物だ……)

だが特に何事も無くそのまま最深部のあの4人組と出会った部屋へと辿り着いて

しまったセバクターは、そこで何か手がかりや証拠になりそうな物は無いかと物色し始める。

(これじゃ、俺が盗賊みたいじゃないか?)

そんな疑問がセバクターの頭の中を駆け巡るが、これは騎士団の上官直々の命令で

任務を自分は遂行しているだけだと言い聞かせながら探索を続ける。


そんなセバクターだったが、ふと周りの気配に変化が出たのを肌が感じ取る。

(……!!)

何者かがこの神殿に入って来た。明らかに上の方からだんだんと人の気配が近づいて

来るのが分かったセバクターは一旦探索を中断して気配を殺し、入り口から死角になる

場所で気配を殺してロングソードを音をなるべく立てずに腰から引き抜いて、確実に

自分が今居る部屋へと向かって来る侵入者を待ち伏せる。

(気配と足音からすると人数は1人……一体何者だ!?)


極限まで侵入者に対して気配を殺す。傭兵として活動していた頃は

潜入の任務も請け負っていたので気配を殺す術もセバクターは習得済みだ。

そうしてやって来た侵入者の正体を確かめるべく、その人物が部屋に足を1歩

踏み入れた所でロングソードをピタリと寸分の狂いも無く侵入者の首筋に

突き付けたのであったが、ロングソードを突きつけたその侵入者の正体は

セバクターが驚くのも無理は無い程の人物であった事を彼は知る事になる!!


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