A Solitary Battle第2部第14話


邸宅の中は一気に血みどろの戦場と化す。腐った騎士団員達と、それを

1匹残らず捕まえる為に雪崩れ込んで来た兵士達とのバトルがあちこちで

それぞれ繰り広げられているが、これでは捕まえると言うよりも全員残らず

殲滅させるかさせられるかの戦いになると言った方が正しいだろう。

セバクターもクローディルもニーヴァスもそれぞれの武器をふんだんに使って、

やって来る敵を迎え撃って行くが何よりも重要なのはあのリーダー格2人の

ルクレスとバリスを逃がさない様にする事である。


その内の1人であるルクレスはどうやら上へと逃げて行っている様で、逃がすまいと

ばかりに他の兵士達を斬り捨てながらクローディルはセバクターに指示を飛ばす。

「おいセバクター! 上に逃げたリーダーを追いかけろ!!」

「ああ、分かった!!」

セバクターはルクレスを追いかけて行き、そしてクローディルはそのセバクターを

追いかけようとしたバリスを足止めに掛かった。

「どけ!」

「お前も逃がす訳には行かない、ましてあいつの邪魔はさせないぜ!!」


「だったら貴様が先だ!」

武器の手斧を振り回して襲い掛かって来るバリスだったが、クローディルはそれに

落ち着いて対処する。しかし相手も腐っても帝国騎士団の団員である為に

油断は出来ないのが現状なので気を引き締めて迎え撃つ。

バリスの戦法はどうやら手斧以外にも魔術と体術を駆使するスタイルの様なので

結構侮る事が出来ない。クローディルは大剣の武器であるパワーを活かした戦法と、

ここに来る前にやって来たセバクターとの戦いでもやっていた相手の隙を突く戦い方を

駆使して彼に立ち向かう。


「うっ!?」

バリスは手斧を右手で振り回しつつ左手にファイヤーボールを纏って投げ付けて来る。

それをギリギリで回避したクローディルだったがその間に一気に懐に飛び込んで来たバリスが

ザクッとクローディルの脇腹を手斧で斬り裂く。

「ぐぅ!!」

かなり痛いが、服の下には鎖かたびらを着込んでいるので余り大きなダメージでは無い。

それにクローディルもただ斬り裂かれただけでは無く、手斧を振るった後の隙を利用して

痛みを堪えながらもバリスにタックルして地面に押さえつけてマウントポジションからボコボコに

彼の顔面を殴りまくる。


「ぐぅ、うう、あが……ぐっ!!」

しかしバリスもただ殴られるだけでは無く、自分の足を振り上げてクローディルの背中に

ヒットさせてマウントポジションを解除させ、再び手斧を振りかざして彼に向かって行く。

だがそんなバリスの足元は、マウントポジションから前に転がりながらもその体勢を利用して

下段回し蹴りを食らわせて来たクローディルによってすくわれた。

「ぬお!」

更に間髪入れずにバリスのみぞおちに踵落としを食らわせ、その攻撃で彼の手から離れた

手斧をクローディルは拾い上げて上に向かって投げ飛ばす。


その手斧が切り裂いたのは、エントランスの照明の大部分を担っているあの豪華な

シャンデリアの鎖だった。鎖を切り裂かれて支える物が無くなったシャンデリアは落下して行き、

その真下に居たバリスの上に真っ逆さまに落ちて行く。

「つっ!?」

咄嗟にバリスは転がって逃げようとしたが、そんな彼の脇腹を思いっ切りクローディルは

蹴ってその反動で落ちて来たシャンデリアを横っ飛びで回避した。悶絶したバリスは

その痛みと共に、落下したシャンデリアの下敷きになって息絶えたのであった。


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