A Solitary Battle第2部第12話


このまま避け続けているだけでは何もバトルが進展しないので、

セバクターは横に回り込んでクローディルの手元を狙って大剣を

弾き飛ばそうと試みるがクローディルもそれを予測して簡単にはやられない。

(流石に隊長だけある!!)

伊達に隊長の地位に居る人では無い、と驚愕しながらもセバクターも

負ける訳には行かないので今までの経験を全て出して立ち向かって行く。


そのまま3分位打ち合い、2人になかなか疲労の色が見えて来た。武器を

持ったまま激しく動き回るのは素手で戦うのよりも何倍ものエネルギーが必要だ。

短剣等の小さい武器であればいざ知らず、2人はそれぞれ大振りな獲物を

持っているのでそれを構えているだけでも体力が居る。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「ふぅ、ふぅ……」

2人とも荒い息を吐きながらも、まだまだ勝負は続行している。

(くそっ……ここまで長引くとはこの傭兵、なかなかやるぜ。だが俺だってこの地位に

来るまでには相当の時間の努力を重ねて来たんだ。こんな奴にここで手間取って

居られる筈が無い)


クローディルはなかなか動きが素早いこの傭兵の隙を窺う。

(あんたの隙は……そこだ!!)

セバクターが横に回り込む一瞬の隙を狙って、彼の膝の裏目掛けて右足首を下段

回し蹴りで当てる。

「っ!?」

回り込んでいる途中でガクンと膝から崩れ落ちたセバクターは何とか体勢を立て直そうと

足に力を込めるが、続いて腹に強烈なクローディルの前蹴りが入った。

「うごっ!」

そのまま体勢を立て直せず仰向けに倒れた所で、セバクターの首元に向けられた

クローディルの大剣の切っ先がセバクターの顔を映し出していた。

「俺の勝ちだ」


「そこまで! 勝者、クローディル隊長!!」

この地方に来てからの初めての敗北。幾ら手合わせとは言えどもやっぱり負けるのは

セバクターも悔しい物だ。

「なかなかてこずったよ。かなりの腕があるようだしニーヴァスに勝ったと言うのもうなずける。

だがまだまだだな。決して弱い訳では無いからこの経験も成長の糧にしてくれ」

お互いに本気を出していないとは言え、苦戦はしたものの隊長としての威厳を

保てた事にクローディルは内心で安堵しながらもセバクターにそう諭すのであった。

「良し、手合わせはこれで終わりだ。中へ戻って作戦準備をしよう」


大剣を背中に収めながらアジトの中へと戻って行くクローディルの後ろにニーヴァスと

セバクターがそれぞれ続いて行く。だがセバクターはそんなクローディルの後ろ姿を

見ながら別の事ばかりが今は頭の中を駆け巡っていた。

(この敗北、俺は絶対に忘れない。手合わせであり本気を出していなかったとは

言え負けは負けである事に変わりは無い。だけど何時か……何時かきっと、この

クローディル隊長に俺は勝たないと俺はその先へ進む事が出来ない。きっとそうだ!!)

心の中で強く決心したセバクターだったが、今の自分ではまだこのクローディルに

勝てないのは事実であると認めてアジトの中へと戻って行くのであった。


A Solitary Battle第2部第13話へ

HPGサイドへ戻る