A Solitary Battle第2部第11話


セバクターが聞かされた作戦の内容はこうだった。

「まずはおとりとして取り引きを相手側に持ちかける。そして俺達で

麻薬取り引きの証拠を掴んだら一斉に現行犯で逮捕する。

最悪の場合は生死は問わない。これが条件だ」

「分かった、取り引きのメンバーはどうするんだ?」

「それは俺と副隊長……あ、副隊長はニーヴァスの事だ」

と言う訳でシンプルだが作戦は決まったので、それに向けてバックアップ等の

準備を特殊部隊の部下達にクローディルが要請した。


だがその前にクローディルにはどうしてもやっておきたい事があった。それは……。

「俺と手合わせを?」

きょとんとした顔になるセバクターにクローディルは薄笑いを浮かべた。

「ニーヴァスに打ち勝ったって言うのは自分でもニーヴァスが認めているから本当らしいが、

そうなら俺もその実力を見てみたい。それに、敵地に乗り込んだら絶対に争い事に

なるのは避けられないだろう。相手は腐っても騎士団員だからな。だからこそ自分達が

捕まらない様にする為には何としても必死で抵抗するのは目に見えてる。そんな時に

すぐやられる様な腕は持っていないと思うが、一応手合わせと言う物をさせて貰いたい」


と言う訳で特殊部隊のアジト前において急遽セバクターvsクローディルの手合わせが

行われる事になった。ルールは相手の武器を飛ばした方の勝ちだ。

「ニーヴァス、審判を頼むぞ」

「分かりました」

審判役をニーヴァスに任せてお互いがやり過ぎない様にして、向かい合って武器を構える。

「本気では無いが、それなりの力は出させて貰うぞ」

「分かった。俺もやり過ぎない様にする」

用意が出来た2人を見て、ニーヴァスが号令をかけた。

「では……始め!!」


合図と共に相手に先に向かって行ったのはクローディルの方だった。基本的にセバクター自身が

自分からは滅多に仕掛けて行かないので「待ち」の姿勢でのバトルを何時もしている。

かと言って反撃しない訳では無く、あくまで自分から仕掛ける様な事が滅多に無いと言うだけで

この前の様に路地裏で武器を持った相手が襲い掛かって来たりしたら応戦する。

そしてそれは今のクローディルが大剣を構えて向かって来る時も同じだ。

「はっ!」

大剣を構えているとは思えない素早い動きでクローディルがセバクターに斬りかかるが、

セバクターもただボーっと見ている訳も無くしっかりとそれをかわしてから反撃に出る。


大剣相手であればパワーではロングソードに分が悪いので、その分ロングソードの身軽さを

活かしたスピード勝負に持ち込んで素早く勝負を決めたい所だ。かつてイレインと戦った

時は自分がパワーで勝っていたが、今度は自分がパワーで負けてスピードで勝っていると

言う逆の展開になっている。

(これは余り長引かせる訳には行かない。出来れば早めに終わらせる!!)

セバクターは強く頭の中でそう決心し、続いて向かって来るクローディルの振り下ろしもかわして

反撃のチャンスを窺っている。

(ここで負けたら絶対にこの先生き残る事なんて出来やしない。何が何でも勝つ!!)

戦いに必要な闘争心をマックスまで高めて、クローディルに勝つにはどうすれば良いかを

考えながらセバクターはバトルに挑んで行く!!


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