A Solitary Battle第2部第7話


セバクターは帝国騎士団に路地裏での戦いの相手となったあの全員を

捕まえて貰い、その結果として彼は帝国騎士団から表彰される事になった。

と言っても彼が表彰を受けているのは騎士団の本部では無く、帝都の中に

幾つも存在している騎士団員の詰め所の1つであった。

「君の活躍に感謝する」

エスヴァリーク帝国騎士団の第11分隊の隊長として活動している

ルクレス・レノルードから勲章と感謝状を贈呈され、セバクターは帝都の

中での活躍が認められた。


そして聞く所に寄れば、これから一気にセバクターが戦ったあの集団に

追い込みをかけるらしい。前々から目をつけていたのだが、なかなか一網打尽に

出来るチャンスが無かったのだとか。しかし今回のセバクターの活躍によってその

チャンスが回って来たと言う訳だった。

「ご苦労だった、後は私達に任せてくれ」

そう言ってルクレスは相棒のバリス・ノクリークと共に武器を持って出て行って

しまった。ちなみにルクレスの武器はサーベルで、バリスの武器は手斧だった。

セバクターもこれ以上騎士団の詰め所に居ても仕方が無いし、時間も夜になって

しまったので宿へと向かう事にした。


そして翌朝は再びギルドで依頼を受ける為に宿から近い冒険者ギルド……最初の

配達の依頼を受けたギルドとは違うギルドへと向かう。この様に冒険者ギルドは色々な

場所に存在しているので依頼も受けやすい、とセバクターは内心でかなり喜んでいた。

(こう言う所も帝都は便利だな)

傭兵として今まで5年間暮らして来た自分だったが、こんなに便利だったらこのまま

この帝都のユディソスに住み着いてしまっても良いかな、等と考えながらギルドへと

向かっていた……その時だった!!


「……?」

突然今自分が歩いていた通りの前方がざわつき始める。

何事かと思いつつセバクターがその方向を見ていると、人混みの頭上をジャンプして

飛び越えて1人の人間がこっちに向かって走って来た。

(何だ!?)

一目散にこっちへと走って来るその人影はまっすぐセバクターの方へと向かって来たので、

何かから逃げているのだろうと走って来る人影の後ろを見てみれば数人の兵士が追いかけて

来ているのが見て取れた。だからセバクターはほぼ反射的に迎撃の構えを取ったのだが、

走って来るその人影を良く見てみると……。


(あいつは……!?)

走って来るその人影の正体は、前日に自分があの路地裏で膝蹴りでノックアウトして

騎士団に捕まえて貰った筈の白髪の槍使いの男であった!!

(逃げ出したのか!?)

彼が何故こんな所に居るのかは分からない。恐らく最も有力な線としては脱走したと言うのが

正しいだろうし、そうでもしなければ兵士に追いかけられている様子は見られないだろう。

どちらにせよ目の前の光景はどうやら余り良くない事ではありそうだったので、セバクターは

白髪の男にハイキックから回って行く右の回し蹴りを食らわせようとしたが男はそれを

スライディングで滑って回避し、そのままセバクターを一瞥して走り去って行くのであった。


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