A Solitary Battle第2部第6話
まず向かって来た大斧の男の攻撃を回避し、その後ろで
控えていた弓使いの女の腹目掛けて強烈なミドルキックを
一撃ぶちかますセバクター。矢を放たれたらこの細い路地では
到底勝ち目が無い。
そこから今度は何やら魔術を詠唱しているもう1人の女にタックルを
かまして壁に叩き付け、先程の斧の男が再び向かって来るので攻撃を
屈んでかわしてその姿勢から足払いをかけて転倒させ、更にみぞおちに
強烈な踏み付けを入れて斧の男を悶絶させる。
その間に向かって来ていたロングソードの男と少し打ち合い、そのまま前蹴りを
繰り出して男がバランスを崩した所でセバクターは回転をつけながらジャンプして
強烈なキックを男の側頭部にクリーンヒットさせた。
男はその衝撃で後ろに倒れ込み、先程蹴り倒した弓使いの女を巻き込んで気絶した。
だがまだ戦いは終わっていない。残るはあと1人、槍を持っている細身の男だ。
真っ白な髪の毛は相手から見て左目を覆い隠す程伸びている。
「貴様……」
それだけ呟いて、男は槍を構えて突進して来る。この狭い路地の中ではその狭さ故に
横に移動して戦う事が出来ない為、圧倒的にそのリーチの長さで槍がこの勝負では
有利になる。さっきの大斧の男の横になぎ払う大振りな攻撃は路地の狭さとその
モーションの大きさで見切る事が容易だったが、こっちの槍使いの男はかなり手強そうだ。
(他の奴等よりは出来る様だな)
地面に転がっている他のメンバーよりは出来る使い手の様でセバクターも感心するが、
感心してばかりも居られないのが現状だ。
向かって来る槍をロングソードで弾いて防御するが、反撃するまでには至らないので
どうにかしなければと段々焦りが出て来る。
(何とかこいつの懐へ……)
そう思った次の瞬間、セバクターの頭をある考えがフッ……と掠めた。
(懐……危険だが、やってみる価値はある!!)
成功すればお慰み、失敗すれば大ダメージだがやらないで負けるよりは遥かにマシだ。
一旦バックステップで距離を取り、それに追いすがって来る男の槍による突き出しを
横に身体を捻って回避し、槍が引かれる前にその柄の部分をガシッと左腕で脇に挟み込む。
「なっ!?」
驚きの声を男が上げている間に左腕で槍の柄を挟んだまま脇を滑らせて男の懐へと飛び込み、
彼の喉元にロングソードの切っ先をセバクターはピタッと突きつける事に成功した。
「槍から手を離してそのまま頭の後ろに手を置け。妙な真似をすれば喉を刺す」
低い声でそう警告するセバクターに、男は仕方無く槍から手を離した。
……かと思いきや、手を離した瞬間にロングソードの刃の下をくぐって男が
タックルをかまして来る。
「っ!!」
ロングソードでの迎撃が間に合わないと判断したセバクターは、タックルをかまそうと
低い姿勢を取っている男の顔面目掛けて咄嗟に全力の跳び右膝蹴りをする。
「ぶぐぉ!?」
そんな声が聞こえたかと思いきや、どうやら男の顔面に膝がクリーンヒットした様で
そのまま彼は気を失って地面にうつ伏せで力無く倒れ込んでしまったのであった。