A Solitary Battle第2部第4話
そんなこんなで、ようやくセバクターは目的のギルドへと辿り着いた。
町の広さやギルドの多さだけでは無く、そのギルドの広さすらも
また壮大な物であった。ゆうに1000人は入る事が出来そうな建物に、
沢山の受付用のカウンターや案内係の人間が沢山配置されている。
それも1階と2階で受けられる依頼の内容が分かれており、1階に
おいては帝都の中での依頼のみに内容が限られているが、2階では
帝都の外においての依頼のみが張り出されている。
何故分かれているのかをセバクターが聞いてみた所、やって来る依頼の
内容が余りにも多すぎるのでこうして帝都内と帝都外で分ける措置を
取る様にしたのだとか。
とりあえず今の状況で帝都の外に出て行動するのはまだまだ早すぎるので、
1階で帝都内の依頼を選別するセバクター。
ここに来たくてやって来たのだから、しばらくは帝都内での依頼をこなしつつ
帝都の中を隅から隅まで調べたいと言う願望が彼にはあった。
(一先ずはこの3つを順番にこなすとするか……)
まずは何を置いてもこの帝都の地理を覚えなければ移動もままならないので、
選んだのはイクバルトの町の時と同じく配達のミッションであった。
3件の配達先を順番に回る事で道も覚えられるだけ覚えてしまいたいと言う事で
この3つの依頼を選んだ訳だが、またイクバルトの町の時の様なデジャヴは避けたいとも思う。
ちなみにギルドではチームを組んで行動している傭兵も多く、チームを組んで出来そうな
依頼を一気に5件まで請け負う事がギルドでは可能になっている。個人の場合でも
こう言う配達系のミッション等、1人でこなせそうな物であれば一人で3つまでの依頼を
同時に請け負う事が出来るシステムなのだ。
そのシステムを初っ端からセバクターは利用して、なるべく多くの依頼を受けてなるべく
早く道を覚えて、そしてなるべく多くの金を稼ぐと言う一石三鳥を狙いたい思いがあった。
(住所は依頼書に書いてあるし、地図も載ってるし……それに、なるべく3つの配達先の
住所が離れている場所を設定したからな。帝都内では馬が使えないから歩きになるが、
それでも良いだろう)
むしろその方がじっくり道を覚えられるし、との事で前向きに考えながらセバクターは
内心で意気揚々としながら出発した。
……が、やっぱり初めての帝都は広くて人通りも今まで渡り歩いて来た町や国とは
明らかに違う位の多さでごった返しているので何度も迷いそうになる。
そう言う時は迷わずにこの帝都の人間に道を尋ねれば良いのだ。分からなければ即座に聞く。
これは人生の中でも大切な事の1つであるとセバクターは傭兵生活を始める以前から
徹底的に教え込まれて来た。
そう言う訳で道が分からなくなったら通りすがりの人間に聞き、まずは1件目の配達を完了。
(ふー、広いからやっぱり疲れるな)
しかし自分で選んだ依頼内容なので文句を言う資格が無いセバクターは続いて2件目の
配達先へと歩き出す。
そのまま2件目の依頼内容も、時たま道を間違えながら配達先へと無事に到着して
ミッション完了のサインを貰ったらいよいよラストの依頼へ。
だが、そんなセバクターの脳裏には何だか嫌な予感が立ち込めていた。
(何なんだ、この不安感は……何回か道に迷った以外はここまでは特に何も無くて順調なのに)
その不安感の正体が今分かる筈も無く、とにかくさっさと最後の荷物を届けて道を覚えて依頼も
終わらせようと不安を打ち消す様に頭を振ってからセバクターは歩き始めるのであった。