A Solitary Battle第2部第2話


そうしてセバクターはたびたび休みながら馬を走らせて、辿り着いた1つの町で

宿を取る事にした。聞く所に寄れば、このペースで走り続けていれば明日の

昼頃には帝国領に入る事が出来るらしい。しかし大国でもあるエスヴァリーク

帝国においてはまず帝国の領土を示す為に砦が国境に設置されており、そこで

厳しい入国検査が行われているのだとか。

ちょっとでも怪しい所があれば即座に尋問がされてしまうそうだし、大国を名乗る

だけあってそう言った所にも厳しいのは流石と言うべきだろうかとセバクターは

思いながらその日は眠りにつく。


そんな思いを抱えながらセバクターがその砦に辿り着いたのは、確かに

聞いた通り翌朝の昼だった。正確にはまだ昼になる少し前なのだが

多少の前後に関しては一切気にしないので、砦に入って入国審査を

受ける事にした。この場所は国境として砦が建てられているが、その周りには

町が広がっているのでなかなかの賑わいを見せている。ここでは入国審査の為に

宿を取る人間が多く来そうな雰囲気だ。

(商人とか俺みたいな傭兵とか、それから旅人とかもわんさか居そうだな)

自分もその1人なんだけどな、とセバクターは心の中で呟いて入国審査へと向かった。


そして運命の入国審査……の筈だったのだが、意外にもあっさりとその審査に

通る事が出来た。別に怪しい物を持っている訳でも無く、冒険者ギルドに登録

している紙を見せて自分の素性を出された用紙に書き込めばそれで終了だった。

この国に来た目的等については結構細かく聞かれたものの、傭兵がこの帝国に

来る事は珍しくない様なのでそこもオールクリアとなってセバクターは無事に帝国への

入国が可能となった。

(何か、意外とあっけなく終わって拍子抜けだな……)

厳しいと聞いていたのにこんなにもあっさりと入国審査をクリア出来てしまうなんて……と

セバクターは戸惑いを隠せなかったが、入国できたならそれはそれで良しと考える事に

して気持ちを切り替え、まだ日没までは時間があるので出来るだけ早く帝都である

ユディソスを目指す事にしたのであった。


ユディソスまではまだしばらく掛かりそうなのだが、特に他の町に居ても

セバクターにはやる事が無い。そもそも何故セバクターがこの帝国にやって来たのかと

言えば、ただ単に大国だから行けば何かしらの傭兵としての仕事があるのでは無いか?

と思ったからだけにしか過ぎなかったのである。

世界にその名前をとどろかす大国としてエスヴァリーク帝国は実に2000年前から今まで

存続しており、その結果として世界中の国々からも注目される存在となり得るまでに

成長して来た歴史がそこにはある。


そんな大国だからこそ歴史も伝統も、そして軍事力もある国として隣のヴァーンイレス王国を

滅ぼす事等は赤子の手を捻る位に簡単な事であっただろうし、イレインと言うスパイを

送り込めたのも今までの戦争における諜報活動等で培った経験が活かされているからこそ

では無いのかとセバクターはついつい考えてしまう。

だがそんな伝統と歴史が存在している世界的に有名な大国で、セバクターはまたしても

大きな事件に巻き込まれてしまう事になってしまう!


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