A Solitary Battle第2部第1話


イレインを死闘の末に倒したセバクターは、彼の亡骸を衛兵達に引き取りに来て貰って

この町での活動を終える事にした。

その自分が殺したイレインに教えて貰った通り、騎乗用のワイバーンやらドラゴンやら馬車等の

移動手段を使ってこの町から出て行く事にしたのだ。

(俺はもうこの町に居ても何もやる事が無いし、多分得る物も無いだろう。それに傭兵は

職業柄根無し草だからな。他の町でもっと色々な依頼を受けてみるとしよう)

そう思い、セバクターは他の町へと移動する決意を翌朝に固めたのであった。


イクバルトの町の通りへと出て、配達に向かっていたルートの途中で見つけたあの場所へと向かう。

そう、目的の移動手段が選べるあの場所だ。

(さて、何にするかだな。馬車を使うのであれば1番安いが時間が掛かる。かと言ってワイバーンは

結構高いし、ドラゴンじゃそもそもの金が足りない。となれば……)

どれにするかを迷ってセバクターが出した結論は、あのラディとその部下とのバトルで奪い取って

来た馬があるのでそれを使う事にしたのだ。これなら金も餌と手入れの時以外は掛からない。

それにこの地方の事をまだ良く知らないセバクターはもっと色々見ておいた方が良いだろう、と

言う事で当初の予定を変更してイレインのアドバイスとは違った形で出発する事にした。


貴族として生活していた頃のセバクターは剣術や礼儀作法以外にも、乗馬の仕方についても

勿論手解きを専属の講師から受けていた。それもあって他の地方で活動していた時も馬を

使っていたのだが、こっちの地方に来る前に馬を駄目にしてしまったので馬車に乗ってこの

王国に入ったのであった。

だからセバクターが町から町へ馬で移動するのはこの地方のこの国に入ってから初めてとなる。

奪い取ったあの馬は意外に速い馬の様で、これなら予想以上に速いペースで他の町まで

行けそうだと考えながらセバクターはイクバルトの町を出る。


イレインに見せて貰った地図はそのまま貰う事が出来ていたので、それを見ながら隣国である

エスヴァリーク帝国に行く為にはどう言ったルートを通る様にすれば良いのかと言う事を頭の中で

じっくりと計画するセバクター。

(このまま北へまず入って、山を迂回して行くルートを取るとしよう、山越えは馬だときつい……。

そこから今度は南側へと進んで行って、最終目的の帝都へと入るか。でもこの地図は余り役に

立ちそうに無いな……何処か他の町が途中にあるだろうから、そこで代わりの地図を買うとしよう)

そう決めて、セバクターはイクバルトの町を背中に見て馬を走らせる事にした。だけど馬も生き物で

あるが故に何時までも走らせ続ける事等出来ないし、餌や水に睡眠だって必要になって来る。


それも考えてまずは日が暮れるまで何度か休みながら走り続け、日没までの時間を考えて

タイミングが良い町までまずは進む事にした。

徒歩での移動で無い分まだ全然良いだろう、と言う事もありセバクターは馬を走らせる。

大陸の一部分だけではあるものの、この地方だけを見てみてもエスヴァリーク帝国の大きさと

影響力が強い事が分かる。事実、他の地方で活動していた時もエスヴァリーク帝国の名前は

大きくとどろいていたしセバクターも傭兵生活の中で耳に挟んだ事はあったが、こっちの地方に

来るのが初めてなので国内に入るのは彼もこれが初めてなのであった。


A Solitary Battle第2部第2話へ

HPGサイドへ戻る