A Solitary Battle第16話(最終話)


お互いに本気のバトルが夕日に照らされる庭と建物をバックにして始まった。

あの時の手合わせと相手も武器も戦い方も一緒だが、お互いに集中力も

スピードも違う。セバクターはロングソードのリーチとパワーを活かした戦い方、

イレインは短剣の機動力とスピードを活かした戦い方だ。

更にセバクターと同じく、若干の体術も織り交ぜてイレインは戦う。短剣を

空振ってもその勢いで回し蹴りを繰り出し、セバクターに攻撃のチャンスを

与えない位に速い戦い方をするのだ。


一方のセバクターは手合わせの時と同じく距離をなるべく取る様にしており、

ロングソードのリーチの長さを活かした武器を上手く使う事の出来る戦法で

相変わらずの勝負をかける。更にイレインと同じく蹴り技も織り交ぜたりして

いるのだが、イレインの繰り出す短剣のスピードにだんだん追い詰められて

来ているのが自分でもセバクターは分かっていた。

(このまま、じゃ……)

何とかしなければまずいと感じ、向かって来たイレインの短剣の攻撃を弾く。

すると手元に何かが当たった。


(ん、これは!)

それに気がついたセバクターは、今度はそれも使って反撃に出る。それは自分の

腰にぶら下がっているロングソードの鞘。

鞘をベルトから素早く片手で器用に取り外し、自分も二刀流で反撃開始。

ロングソードを武器、そして鞘を盾にしてイレインのスピードに手数で合わせる様にしたのだ。

ギン、ギンッと金属音が甲高く庭に響き渡り、激しい死闘が展開されて行く。

(そこだ!!)

そして一瞬の隙を突いて、セバクターが鞘でイレインの腹をど突く。


「おぐっ!」

先が尖っていないので致命傷にはならないが、それでもイレインのスピードを封じる事に成功。

更に今度はイレインの首を鞘で横薙ぎに右から左へ殴りつける。

「がは!」

バランスをそこで崩したイレインに、今度は殴りつけた勢いで繰り出したセバクターの左足の

回し蹴りが側頭部に直撃した。

「ぐっ!?」

連続で強い衝撃を受けて地面に倒れたイレインであったが、まだ戦闘続行可能なので何とか

痛みを堪えて立ち上がる。


しかし立ち上がった視線の先にはセバクターの姿が無い。

(ど、何処へ行った!?)

目線で辺りを探るイレインだが、そんな彼の耳に足音が真横から聞こえて来る。

イレインがその音の方向に振り向いた時に自分の目に入ったのは、壁を2歩位重力に抗って

走って勢いをつけてから自分に飛び蹴りを繰り出すセバクターの姿だった。

そのセバクターの勢いづいたキックはイレインの胸にダイレクトヒットし、イレインの身体を後ろへと倒れ込ませる。


そしてイレインが倒れた後ろにあった物は、捨てる為に一箇所に纏めてあった尖った木箱の破片だった。

「ぐふっ……」

その廃材は倒れこんで来たイレインの心臓を背中から貫き、彼はその廃材が突き刺さって息絶える事に

なってしまうのであった。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

流石にセバクターも疲れてしまったが、自分の勝利で何とか死闘に幕を下ろす事が出来たので良かったと

息を吐きながらその場に座り込んで、一時の休息を得るのであった。



第1部 


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