A Solitary Battle第11話


案外、でたらめに武器を振り回しても意外と何とかなる物だ。大振りな

攻撃であるとは言え、それがリーチも重さも大きな長斧であるとなれば

なかなか反撃のチャンスを掴み難い。加えて相手は盗賊団のリーダーでも

あるのでテクニックは本物である。

「っ、うあ!」

反撃のチャンスどころか避けるので一杯一杯のセバクター。しかしこのままでは

いつか力尽きて殺されてしまうのも時間の問題である。


だったら体力が残っている内に反撃して一気に仕留めたいと考え、何とか

反撃のチャンスを掴もうと一旦バックステップで大きく距離を取る。

そして素早く周囲に目線を動かすと、ある区画が目に入った。

(あそこだ!!)

頭の中で考えるとほぼ同時にその区画……沢山木箱が詰まれていたり、棚が

沢山あるエリアへと苦戦している振り……と言っても実際に苦戦しているのだが、

上手くその区画へとラディを誘い込むセバクター。

直情的な性格のラディはその誘いに乗る、と言うよりは自分が優勢だと信じて

疑わないままにセバクターの後進する方へと斧を振り回しながら追いかける。


またさっきと同じ様に段々と両者の距離が縮まって行くが、セバクターは

一旦ラディから離れた事によって自分の置かれている状況を冷静に判断した。

(ここなら!!)

自分の立ち位置を調整してセバクターはラディのなぎ払いをかわす。すると

セバクターがかわしたラディの斧が横の棚に直撃して引っかかる。

「っ!?」

その隙にセバクターがラディに対してロングソードを突き出そうとしたが、咄嗟に

あの配達先の家で取り出した短剣を取り出してセバクターに投げつける。

「くっ!」


セバクターも間一髪でそれを避けたが、ラディもその間に棚から斧を外す事に

成功して再びバトルはさっきと同じ展開に。

だが何となくラディの攻撃に覇気と言うか勢いが無い。それを見たセバクターは攻撃を

回避しながら素早くこう考える。

(恐らく今のアクシデントでまた斧が引っかかるのを恐れているんだろう。それもその筈だ。

こんな狭い所でそんな大きくて長い斧を満足に振り回せる筈が無いだろう!!

まだこの勝負は分からない。どっちが勝つかなんて、終わってみるまで分からない。

それがバトルと言う物だ。そしてこの展開。流れは徐々に俺の方にまた向いて来ている。

だけどそろそろ俺も体力的にまずいからな。まだ体力が余っている内にリーダーのお前を

全力で倒す。さぁ、決着をつけよう!!)


攻撃に先程まで位の勢いが無くなってしまった事で、セバクターのロングソードでも

弾き返せる程の威力になったラディの斧。これなら自分にも勝機があると確信した

セバクターは、もうこれ以上時間はかけられないとばかりに自分のロングソードの

テクニックとその経験を信じてラディへ攻撃をし始めた。

……だがセバクターが攻撃に転じても、実はまだラディには1つの利点があった。

それをセバクターに使うチャンスを思いついたラディもそのチャンスに向けて

アクションを起こす事にする。

パワーvsスーパーテクニック、勝つのは果たしてどっちになるのであろうか!?


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