A New Fighting Adventurers第8話


その後、再び情報収集をする3人だが手がかりはこれと言って無し。

「うーん……特にめぼしい情報が手に入らなかったな」

「ああ……団長は目立つ人だからちらほら見掛けたと言う情報はあるんだけど、

その後の足取りがさっぱりだ。どうしたら良いかな」

ここに来て手がかりが無くなってしまった3人は途方に暮れて、とぼとぼと街を歩き回る。


しかしその時、今度はブラインが路地から飛び出て来た誰かにぶつかられる。

「うおっ!?」

「えっ?」

「い、痛ぁ……って、御前等!?」

ぶつかって来たのは何と、さっきトラブルを自分達と巻き起こしたあの金髪の男だった。

「おい……俺達とそんなに絡みたいのか?」

流石にキレ気味になるブラインを宥めようとするマルニスとヘルツであったが、それよりも先に男が口を開く。

「御前に絡むよりも、もう既に絡んで来た奴等がいるんだよな」

「は?」


ヘルツが間抜けな声を上げるのと、路地裏からいかにも柄の悪そうな男達が

出て来たのはほぼ同時だった。

「おうおう、やっと追いついたぜ。おとなしく俺達と来るんだな」

「僕は御前達の言いなりになる気は無い!!」

「そうか。だったら強引にでも連れて行かせてもらおうか」

金髪の男が向かい合い、マルニス達は戸惑う。

「あのー、お取り込み中すいませんけど、こいつが何かしたんですか?」

ヘルツが右手を軽く挙げ、男達に問いかける。

「ああ、こいつを捕獲しろと依頼主からの命令でね」


その言葉に対し、金髪の男は鼻で笑う。

「ふっ、どうせ御前達はアサート家の奴等に頼まれたんだろう?」

「物分かりが良いな。俺達と来るのか来ないのか、どうする?」

「行く訳が無い。こっちにはこうして3人も仲間が出来たんだからな」


しかしその言葉に1番驚いたのは当の指名された3人な訳で。

「オイオイ待て待て。いつから俺達が御前の仲間になったんだ?」

「そうだよ。君が巻き起こしたトラブルなんだろう?」

「俺達はただ巻き込まれているだけだしな!」

馬鹿馬鹿しいとばかりに3人は立ち去ろうとするが、それを金髪の男の衝撃的な一言が

引き止める結果になった。

「協力してくれたら、御前達の欲しがっている騎士団長についての情報をあげても良いんだが?」

「なっ?」

「え?」

まさかの男の発言に3人の動きが止まる。

「どうする? 僕は御前達の欲しい情報を持っている。その代金としてこいつ等をやっつける」


「何ゴチャゴチャ喋ってるんだぁ?」

男達の1人が苛立ちを抑えきれない声を上げるが、それを止めたのはマルニスの剣筋だった。

眼にも止まらぬ速さで男を切り伏せたのだ。

「たった今、僕達はこの男の仲間になった」

「悪いけど、俺達の情報の糧となってもらうぜ?」

「……行くぞ!!」

3人は男達の集団に向かって行く。金髪の男は路地へと逃げ込んだ。

敵は総勢で、男を追って行った奴も含めて大体10人程。


マルニスは斧を持って斬り掛かって来る男の薙払いを屈んでかわし、素早く胸に剣を突き立てる。

そしてもう1人の男が背後から剣で斬り掛かって来るが、それをしっかりと剣で受け止めて弾き、

体勢を崩した所に薙ぎ払いで斬り捨てる。

更に槍を振りかぶって来た男には、リーチの差はあれども槍を突き出して来た後に

大きな隙が出来たので、横に素早く回り込んで叩き付ける様に斬った。


ブラインの元に向かって来た1人目の剣士はあっさりと斬り捨てられ、2人目は弓を構えたが

水の魔法であるウォーターアローを繰り出し、弓矢の様に水の矢を手の先から発射して男にぶつける。

そこで男がよろめいた所に素早く詰め寄り、心臓を的確に突き刺す。

3人目は後ろからナイフで斬り掛かって来たが、ロングソードとは大きさが違うので手を確実に狙って

ナイフをすっ飛ばし、横一文字に男を切り裂く。


ヘルツは斬り掛かって来る男に向かってしっかりと弓を引き絞り、1人、2人と撃破。

だが3人目はなかなかすばしっこいので、足下に向かって矢を放つ。

「うっ!?」

動きが止まってしまった男に向けて矢を放ち、足を射抜いて確実に動きを止める。

そしてその後にもう1本矢を放ち、男の額を貫いたのであった。



3人は敵を一掃し、路地裏に逃げ込んだ金髪の男を追う。

路地と言えどそこまで複雑ではなく、声のする方に向かって行けば行き止まりに追いつめられている

金髪の男の姿があった。

「おい!!」

追いつめてナイフを振りかぶっていた男がこちらを振り向くが、次の瞬間何と男の身体が爆発した。

「うおっ!?」

いきなりの事に3人は驚くが、その爆発した時に発生する煙の中からは金髪の男が平然と現れた。

「今のは僕の魔法のスピリットボムだ。精神力を少し削り、爆発を起こす」

「は、はぁ……」

呆然とする3人に向かって、金髪の男は続けて口を開いた。

「手間をかけさせたな。後の処理は警備兵に任せよう。僕の屋敷へ案内する」


何だか良くわからないが、とにかくこれでこの問題は片づいたと言う事になる。

「屋敷……って事は、御前は貴族のお坊ちゃんか何かなのか?」

「そうだ。さっきも言っただろう。この街では僕のルバール家を知らない者が居ないと」

「そうなんだ。僕等は何回かこの街に来てるけど、任務で来たっきりだったから

よく街の様子を知る機会も無くて」

「大抵の事は、上の奴等が全て手続きとかを済ませるからなぁ」

ヘルツのそんなぼやきにマルニスとブラインは頷いて同意しつつ、金髪の男の家に行く事になった。


A New Fighting Adventurers第9話へ

HPGサイドへ戻る