A New Fighting Adventurers第7話


そして翌日。今日は晴れてはいるが雲が多いので、もしかしたら雨になる可能性もありそうだ。

3人はジュエリス山脈を歩き、南から北へ、そして西へと抜けるルートを進んで行く。

「雨が降る前に抜けるのは無理でも、進めるだけ進んでおこう」

「ってか、そんなに短くねぇだろこの登山道」

「とりあえず今日の夜迄はかかりそうだ。どこか広い場所で野宿をしなければな」

「出口は広かったよな?」

「ならそこにしよう」

登山道の出口はちょっとした広場になっているので、そこで野宿をする事にした。

その為には一歩ずつ歩いて行かなければならないので、3人は足を進める。


途中、何度も魔物との戦闘があったが何とか退け、日が落ちた頃には出口に辿り着く事が出来た。

「僕、もう今日は歩けないよ」

「俺も。流石に足が上がらねぇ」

「良し、焚き火の準備だ」

3人は焚き火をして、今日の夕食は硬くなりつつあるパンで済ませる事にした。

「山を抜けて来たから、この先にはセーメインの街がある筈だ。そこに行って情報収集をしよう」

「あー、そうだな」

セーメインの街は小さな街ではあるが、その周囲に広がっているカーヴィリック平原に

幾つもの農地を持ち、そこで大量の食料を作っている。

いわばこの平原はアーエリヴァの食料庫とも言って良い。



その翌日、小雨が降る中で起きた3人はカーヴィリック平原を目指そうと歩き始める。

雨が降っている為になるべく早く辿り着きたいと言うのが3人の本音だ。

「本降りになりそうな気がするな。セーメインはすぐだからさっさと行こう」

「おう」

「わかった。宿も取ろう」

マルニスが2人に提案し、急ぎ足で3人はセーメインへと向かった。

大きな川を橋を渡って越えなければ行けないので、増水したら足止めを食らってしまう。


そうして急いだ結果、何とか小雨の内にセーメインの街へ辿り着く事が出来た。

「うわー、かなり本降りになって来たな」

「ああ。ぎりぎりセーフだったぜ」

「マルニスの言う通り急いで正解だったな」

宿屋の窓から、本降りになった雨に打たれるセーメインの街が見える。

石畳の地面に雨が叩き付けられ、自然の音色を醸し出している。

「まーとにかく、余り濡れずに済んだんだ。ここまでで報告書を少し纏めておかないか?」

「ああ、そうするか」

ブラインの提案で、3人は報告書を纏め始める。と言っても内容は聞き込みの事や

逃走ルートの予想など、ここまでの内容しか無いのですぐ終わってしまったのも事実だが。

「雨が上がったら聞き込みを始めよう。ここにも奴等が来たかも知れない」

「そうだな」


そして、雨が上がったのは夕方になってからであった。

「晴れて来たな。それじゃあ、情報収集に行こう!!」

「わかった。3人バラバラになるか?」

「その方が良いな。効率的だ」

と言う訳で、3人はセーメインの街で情報収集を始める事に。

街人や警備兵から目撃情報が無いかを聞き出して行くが、この後3人に災難が襲い掛かる事になる。



「見かけてないですか……わかりました、どうも」

マルニスは手がかりが中々掴めない事にイライラしていたが、それでもめげずに情報を集める。

そして今迄のメモを見ながら歩いていると、突然誰かにぶつかられた。

「うわっ!?」

「うおわっ!!」

慌てて顔を上げると、そこには金髪の男が服をパンパンと叩きながらこちらを睨んでいた。

「おい、どこ見てんだよ御前」

「あ、すいません! 考え事をしていたもので……」

「気をつけろよ。僕の綺麗な服が汚れたじゃん」


うわあ、何かめんどくさい奴に会ってしまったかなぁとマルニスは戸惑うが、そんな2人の元に

聞き覚えのある声が響いて来た。

「服位でガタガタ騒ぐなよ。洗えば済む話だろーよ」

「何だ御前は?」

聞き込みで丁度近くを通りかかったブラインが、2人のすぐ近くに立っていた。


「そいつの友達だ、俺は」

「ちょ、ちょっとブライン、やめよう!」

ブラインはあたふたするマルニスを気にも止めず、挑発的な言葉を続ける。

「さっきから見てたぜ。少しぶつかった位でぎゃーぎゃー騒ぐなよ。

そんなに汚れるのが嫌だったら、家に閉じこもってママのおっぱいでも吸ってろよ!」


余りに屈辱的なその言葉に、男の顔がギリギリと怒りに歪んで行くのがわかる。

「御前……僕にそんな口を聞いてただで済むとでも思っているのか?」

「誰だよ御前は」

「このセーメインでは知らない奴は居ないって言われる程の、ルバール家の人間だ!!」

「あっそ。俺は知らねぇな」

「このやろおおおおおっ!!」


男がブラインに飛び掛って来るが、それを後ろから止めた人間が1人。

「はいはいはいそこまでそこまで!!」

「な、何だ御前は!! くそっ、放せ!!」

同じく情報収集に出ていたヘルツが、男を後ろから羽交い絞めにした。

「ブラインも少し下がってろ!! これは僕と彼の問題だから!!」

ブラインを後ろに下がらせ、マルニスは男に近づく。


「ヘルツ、放してあげて」

「あ、ああ」

少し戸惑いながらも、マルニスに言われた通りヘルツは男を解放する。

「ったく、気をつけろよな!!」

そう吐き捨て、男はスタスタと歩いて行ってしまった。

「何だったんだ、あいつ」

「さぁ……。とにかく、ブラインは余計な事言うな!!」

「わ、悪かったよ」

マルニスに怒られ、少ししょんぼりするブラインであった。


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