A New Fighting Adventurers第4話


そして翌朝、早めに起きて歩き出した2人はその約1時間後にジュエリブールに辿り着いた。

ジュエリブールはベラルリック渓谷のすぐ近くに存在し、渓谷の観光ビジネスや、そこで採れる薬草等が

売りとなっている街である。

「やっと着いたな」

「ああ。それじゃあえーとまずは……ああ、あそこの建物だな」

2人は警備兵が駐留している詰所へと足を運び、警備兵のバッジを服に着けて警備の仕事へと出かける。

と言っても仕事内容は見回り位の物なので、気が楽である。

「ブラインは僕とは別区画なのか」

「そうみたいだな。それじゃ、頑張ろうぜ」

ブラインと別れ、他のメンバーと共に見回りを始めるマルニス。

街自体はさほど広くも無く、見回りの後は所定の位置で待機する事に。

ブラインもその一方で見回り、そして待機の流れをこなし無事に日雇いの業務は終了。


「やっと終わったー。お疲れブライン」

「ま、こんなの俺達からしたら軽いもんだったけどな」

今日も曇り空が続いていたが、雨が降って来る事は無かったのでそれも良かった。

だが明日はどうなるかわからないので、早めに明日も出発したい所だ。

「良し、じゃあギルドに行って換金がてら、次の依頼を見に行こう」

「わかった」

と言う訳でギルドに赴き、依頼完了の報告と次の依頼を見る事に。


が、西へ行くルートを通る必要が無い依頼ばかりだ。

「うーん、東方面ばかりだな……どうする?」

「明日また来て見るか? 求人情報は更新される事もあるし、俺達は急いでる訳でも無いしな」

「そうだね」

ブラインのその提案で、2人は宿屋へと部屋を取り早めに眠る事にした。


更にその翌朝。今日はいよいよ雨が降って来た。

「雨か……まぁ仕方無い、フード被って行こう」

「ああ」

宿屋をチェックアウトし、前日の打ち合わせ通り再度ギルドへ向かう為に宿屋を出る。

しかし、そこで2人は思いも寄らない人物と遭遇する事になった。

「マルニス!! ブライン!!」

「えっ?」

「あっ!?」


宿屋を出た所で遭遇した人物は、何と2日前に別れたばかりの筈のヘルツだった。

「へ、ヘルツ? どうした? 城の業務は?」

「御前、何でここに居るんだよ!!」

だがそんなマルニスとブラインに構わず、ヘルツはとても慌てた様子で2人に話を切り出す。

「は、話は後だ!! 馬車を用意してあるから俺と一緒に帝都まで来てくれないか!」

「僕達が?」

「頼む、帝都がとんでも無い事になったんだ!!」

「へえっ!?」

馬車を使えば半日ばかりでジュエリブールから帝都に到着する。

2人はヘルツのあまりの慌てぶりに押し切られる形で、帝都に戻る事になった。

そして、帝都に戻った2人を待ち受けて居たのはとんでも無い事実だった。


王城へと向かった2人は、かつて自分達が所属していたアーエリヴァ帝国騎士団の

団長と、その部下数名が居なくなってしまったと言う事。

そして書庫から幾つかの重要文献が盗み出されている事等が発覚したのだ。

「そこで、御前達にその者達の調査を依頼したい」

謁見の間で、この国の皇帝であるシークエル・ガルトバクターがマルニス、ブライン、そして

ヘルツにその任務を依頼する。

最初は何で自分達がと戸惑う3人であったが、騎士団を抜けた2人である事、

それと兵士部隊の末端の兵士までいちいち顔を覚えてはいないと言う事を考えると

旅に出ていると言う事も相まって、ここに冒険パーティが出来上がったのであった。


「何か凄い事になったけど、本当に僕達で良いのかな……」

「皇帝直々の依頼だからな。余り目立たせなくないと言うのもあるんじゃねえのか?」

「何にしても、俺達は大役を仰せ付かった訳だから失敗は出来ないな」

兎にも角にも、ヘルツもこれでパーティメンバーへと加わる事に。

帝都から出た3人のこれからの予定は、西へ向かったとの帝都付近での目撃情報がある

騎士団のメンバーを追いかける事となった。

丁度西への旅の予定であったので絶好の依頼となった訳だが、皇帝直々でもあるので責任も重大な任務である。

わずかながら軍資金も用意してもらえたので、これから先少しはお金の問題に関しては大丈夫そうだ。


「よーし、なら、その騎士団の奴等を追いかける為に頑張って行こう!」

「ああ。俺等も結構リストラされた恨みもあるしな」

「まずはとりあえず、馬車でジュエリブールに戻ろう。それからベラルリック渓谷に行こうか」

「わかった」

そのヘルツの提案に乗って、一向はベラルリック渓谷を目指す事にした。

これから先の旅の結末がどうなるのか、不安とドキドキ感で胸が一杯になりながら……。


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