A New Fighting Adventurers第3話


「旅に出るんだろ? どっち方面に向かうつもりなんだ?」

「あては決めてないけど、ブラインが西へ言ってみようって言うから取り敢えずは西に行くよ。

丁度、ジュエリブールの方で警備の募集があったから仕事も兼ねてな」

「そっか。船は使うのか?」

「それは天候と、それから資金によると思う。ジュエリブールはベラルリック渓谷の

すぐ近くの街だし、そこから渓谷に入るかどうかは天候で決めようと思っているよ」

「ふーん……」


今度は逆に、マルニスがヘルツに尋ねてみる。

「城の仕事は変わりは無いの?」

「特に何も……。さっきも言った通り、上がきな臭い動きをしてる以外は変わり無しだ」

「そうなんだ。でも、そのリアクションの無さがかえって不気味だね」

「ああ。俺達には何も話さずに、何だか凄い事を計画しているかもしれないし。

……まぁ、これは俺の憶測だし噂の範囲でしか無いけど」

帝国騎士団がひそかに動いているのであれば、いずれは国王の耳にも届くかもしれない。

しかし今はまだ想像の中の話でしかないのも事実な訳だから、3人は確証が持てなかったのだ。


「それで……もう、行くのか?」

「ああ。これからまさに出発する所だよ、マルニスも俺も」

「寂しくなるな。でも、戻っては来るんだろ?」

「もちろんだよヘルツ。騎士団に戻れる時が来るのが本当は僕は良いんだけど、

今は1回まず旅をして、ハーエリソン中を見てからまた帝都に戻って来るさ」

「わかった。そこまで言うなら俺は何も言えない。御前達が腕の立つ剣士だってのは

俺も耳にしてたし、俺は城での勤務があるからな。本当は一緒に行きたかったけど

仕方ない。その代わり、戻って来たら色々と旅の話聞かせてくれよ!」

「ああ。それじゃ、ヘルツも元気で」


ヘルツと別れ、旅支度を済ませた2人は帝都を出て進路を西へ取り、街道を歩く。

「雨が降るかもしれないから、出来るだけ歩いておいた方が良さそうだぞ、マルニス」

「うん、それは僕も思ってる。……それはそうと、ヘルツの奴は本気で上の怪しい動きを

探るつもりなのかな?」

疑問を浮かべるマルニスに、ブラインは首を振って答える。

「さーどうだかな。インチキ臭い匂いがプンプンしているとしても、今の俺達にはそれを確かめる術が無い。

そこはあいつが決める事だから、俺達は口出しできないさ」

「まぁ、ね……」


ヘルツの事は心配だが、それでも自分達にはどうしようもできないので旅の話に切り替える。

「まずは一晩野宿かな」

「それが良いかもな。ジュエリブール迄は歩いて1日だが、夜は魔物も活性化するし」

「ならそうしよう」

このアーエリヴァでは川での移動は魔物の心配が一切無いものの、渓谷や山を

移動する際には魔物が出るので、戦えない場合は護衛に傭兵を雇う事も珍しく無い。

しかし2人は元騎士団員で、魔物の討伐の任務も果たして来たのでそれは心配が今の所は要らない。


と言ってもブラインの言う通り、魔物は昼間よりは夜の方が活発化するので今は歩く事に集中できる。

だとしたら、少しでもジュエリブール迄歩いておこうと思う2人。

それでも、いつモンスターが現れるのかはわからないので警戒は常にしておかなければならないのもまた事実である。

本当は川まで行って船に乗れれば1番それが良いのだが、買出しでほとんどお金を使ってしまい

交通費が足りないのも悲惨な状況である。

(まぁ、旅だから船をあえて使わないのも良いかな……)

そうマルニスは考えて、そのままとにかくブラインと共に歩き続ける事にしたのであった。


やがて日も暮れ、ジュエリブール迄は後1時間もあれば着けるのだが、夜はモンスターが活発化する為に

ここで2人は野宿をする事に。

「あー、結構歩いたなー」

「僕も。こんなに歩いたのはヴィーンラディへの遠征以来だよ。あの時は馬が不足して僕達は歩きだったもんな」

「そうそう。俺もそれを思い出したぞ。だが……今回は小隊長とかに急かされる事も無いし、気楽だ」

「まぁね」

焚き火を用意し、パチパチと火がはぜる横で帝都で買った骨付き肉にかぶりつく2人。

「明日は日雇いの仕事入ってるし、早めに寝よう。集合時間は確か朝からだっけ?」

「ああ。それで日没までだ」

そうして2人は早めに睡眠を取る事にして、朝も早めに起きる事にした。


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