A New Fighting Adventurers第2話


翌日。今日はやや曇り空になっている。それでも雨が降って来る事は無さそうだ。

なので買出しに出かける2人であったが、その前に孤児院へと向かって旅に出る事を報告する。

「院長に伝えておかなきゃ」

「ああ。買い出しはそれからだな。それとギルドでそっち方面の依頼も受けておこう」

「だね」

そうして孤児院へと出向き、その後はギルドへ。

するとこの帝都から1日程歩いた所の西の街で、日雇いの警備の仕事を発見したので応募しておく事に。

「良し、これで一先ずはOKだ。出発しよう」

「わかった」


マルニスとは同じ村で育った幼馴染であり、村が壊滅してマルニスと一緒に騎士団の人間に

武術や馬術を教わり、一緒に騎士団の門を叩いたのがブライン・ガルクレス。マルニスより

1つ年上の29歳だ。騎士団の門を一緒に叩いた彼はマルニスとは良きライバルとして、

そして良き相棒としてコンビを組む事が多く任務においてもお互いの悪い部分をカバーする形で

活動して来た。マルニスは魔術が使えないが、ブラインは攻撃魔術も防御・回復魔術も使える

魔法剣士である為に魔術を使う場面でも重宝される存在となって行った。

しかしながらすぐにカッとなってしまう性格が災いしてしまい、冷静な判断がなかなか出来ないのが

悩み所であるとの評価も受けていた。そのカッとなりやすい性格を直したいとは自分でも思っているものの、

人間がすぐには変わる事は出来ないのでその度に冷静なマルニスに止めてもらっている。そんな彼もマルニスと

一緒に騎士団をリストラされてしまった事で、現在はマルニスとコンビを組んで旅人として活動を始める予定だ。


しかしギルドから出て、平原へと向かう為に歩き出そうとしたその時だった。

「あれ? マルニスとブラインじゃないか」

「あ、ヘルツ!」

2人が出会ったのは、白い髪に背中に背負った弓が特徴的な男のヘルツ・エンヴァスト。

帝国騎士団の下に位置する兵士部隊に所属している男だが、騎士団と兵士部隊の

合同任務の時にひょんな事からマルニス、そしてブラインと知り合いになったのだ。


「どこかへ行くのか?」

「ああ、僕達は旅に出る事にしたんだ」

「旅……?」

いきなりの報告にヘルツは戸惑う。

「また何で?」

「兵士部隊の方でもそうだけど、リストラされたろ、沢山」

「あ、ああ……」

「その煽りを俺達は食らって、それで旅に出て食い扶持を稼ぎに出ようって訳だ」


ブラインのその言葉に、ヘルツは少しだけ悲しそうな顔になる。

「そうか……残念だ。手伝って貰いたい事があったのに」

「え?」

そして次の瞬間、ヘルツの口から思いも寄らない言葉が出て来る事になる。

「実は俺、最近騎士団の上層部が不審な行動をしているって噂をキャッチしたんだよ」

「何?」

「それは本当かよ?」

「いや、まだ噂の段階だから何とも言えないけど……それとこの前のリストラの事も関係があるらしくて」

「はっ?」

まさかの発言に、マルニスが変な声を上げる。

そんなマルニスの様子を見つつ、ヘルツは続ける。

「だからその調査を手伝って欲しかったんだけど、リストラされちゃったのか……」

「まぁな……。でも今更俺達はもう戻れない。もはや俺達は部外者だからな。悪いがお断りだ」

「わかった」

そう、マルニスもブラインも騎士団には戻れない。なので任務に参加する事は出来ないのだ。


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