A New Fighting Adventurers第14話
そのとっておきの場所である、マルニスとカリスドが待つ家へと案内した3人。
勿論、この茶髪の男が居る事情を簡単に3人は2人に話した。
「世話になったし、自己紹介させてもらう。私は鍛冶屋のヴァラス・カルファンだ」
「旅人のマルニスです」
「同じく旅人のブラインだ、よろしく」
「城の兵士のヘルツです」
「レディクだ。よろしく頼む」
「カリスド・イーヴェリーだ。よろしくな」
簡単に自己紹介も終わり、何故あんな事になっていたのかをヴァラスと名乗った男に5人は求める。
しかし、ヴァラスの回答はますます事態を混乱させる物であった。
「わからない……突然、調査だと言って押し入って来た騎士団の連中に私は
殴り倒されて、剣で刺された。幸いこうして生きてるけど、武器は根こそぎ持って行かれたし
商売道具も全部壊された。本当に突然の事で、私が1番混乱している」
クールに淡々と話すヴァラスだが、その顔にはあからさまに悔しさが滲み出ていた。
そしてこの帝都で新たに出会った2人から、4人にこんな申し出が。
「俺も旅に参加させてもらうぜ。今回の事件の結末をどうしても見届けたい。闘技場をメチャクチャに
されたのは納得できねぇからな」
「私も騎士団には恨みがある。復讐の為にパーティに加わらせてもらうぞ」
その申し出を4人は別に断る理由も無いので、ここに5人目、そして6人目のメンバーが加わった。
帝都の闘技場において武術大会が開催される事はアーエリヴァ帝国だけでは無く、イディリークやファルスでも
同じく行われている。しかしその闘技場のチャンピオンは城の兵士でも騎士団員でも無く、一般人から勝ち上がって来た
大柄な男であると言う事だろう。その男の名前はカリスド・イーヴェリー。31歳ともう三十路に入った男だが、
闘技場のチャンピオンを名乗るだけあって技のキレは20代、いや10代に負けない位の物がある。
その大柄な身体を活かしたパワー戦法が得意であり、相手の武器ごと愛用の両手斧で吹っ飛ばすと言う
荒っぽいスタイルが持ち味だ。大柄な身体は生まれつきらしく、下町出身でその身体を活かして力仕事を良く
頼まれていた事もあり、25歳の時に出場した闘技場の大会でその素質を見せ付けて優勝した。大柄な身体に見合った
活発な性格であり、口も悪いし手が出るのも早いのが玉にキズである。
ヴァラス・カルファンは手先が器用であり、その特技を活かして帝都にある鍛冶屋として営業している。
基本的には武器を作るだけだと思われがちだが、頼まれればガラス細工の製造や木製のベンチ等の製造も
請け負う事がある。しかし彼が真価を発揮するのは鍛冶の分野であり、器用な手先から生み出される
その武器は騎士団や城の兵士にも正式に採用される程だ。また彼自身も自分が作った武器を使うので
それなりに鍛錬を積んでおり、城と関係を持っている縁から兵士達や騎士団員と手合わせをさせて貰う事も多い。
クールな性格で滅多に動じる事が無く、戦いの時においても冷静沈着に相手の出方を窺い、反撃のチャンスが
来ても絶対に油断しない。両親とは8歳の時に馬車の事故で死別し親戚の家に引き取られて暮らして来て、
その親戚が鍛冶屋をしていたので彼もまた鍛冶屋の道に進む事にしたらしい。もう35歳になるので四捨五入すると
40歳だが、いまだに結婚相手は見つかりそうに無い。
「さってと、これから先はどうするかって事だが、まずは情報収集で集めた物を纏めないとな」
ブラインの提案で、各自がそれぞれ持っている騎士団長達の情報を出す。
4人は目ぼしい情報を得られなかったが、カリスドとヴァラスからは気になる情報がもたらされた。
「……あ、そう言えばよぉ、俺は闘技場の参加者達がこんな事を話していたのを耳にした事がある。
何でも帝都からずっと北に行った所で、新たな古代遺跡が見つかったとか」
そのカリスドの発言に、ヴァラスも続けて古代遺跡の話をする。
「ああ、それは私も武器を作りに来た客から聞いた事があるな。西のクレイジール遺跡で見つかった
ドラゴンが氷付けになっているのが見つかったとか。で、その他にも古代の技術が
わんさか出てきたって話もしていた。名前はウェローソス遺跡だった筈だ」
その2人の古代遺跡の情報を、4人はこの前に向かっていた西の古代遺跡の情報と一緒に纏めてみる。
「実は僕達も、西の方に騎士団長が向かっていたと聞いて追っていたんです。
で、西の方にはもう1つ古代遺跡があるじゃないですか。クレイジール遺跡。
その近くのアレデルンの街で騎士団長を見つけて、こっちに追いかけて見たんです。
そこまで西に行ったのに戻るって事は、もう用をその遺跡で済ませたのかもしれない」
そのマルニスの発言に、カリスドが疑問の声を投げかける。
「何でそんな事がわかる?」
それにマルニスは、柔らかな笑みを浮かべてこう返した。
「直感だ」
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