Trespassing and misunderstanding and the battle and escape第5話(最終話)


強風によって地に手をつく者と、身体は浮いたもののなんとか体勢を立て直す者。

フェリアとヴォルフも体勢を立て直し、怯みかけていた兵士達へと喝を入れる。

慌てて立ち上がった兵士達は銃を構えるが、照準が合わずにほぼ明後日の方へと銃弾は飛んでいく。

「……まだ戦車の方がマシに思えてくるな」

「相手が相手ですから……え」

そんな最中に重苦しい稼動音が響く。その方を向けば、司令塔からミサイルの砲台の照準が合わされていく。

「ちょっと……いくら何でも兵士達だって散開してるっていうのに」

司令へと反論するも、当然聞き入れられるものでもなくあっという間に射撃準備は整ってしまう。

「「全員伏せろ(伏せなさい)!!」」

ヴォルフ達の指示と同時に砲撃音が響いてしまった。


『ちっ・・・』

ドラゴンの姿で軽く舌打ちしたセルフォンはミサイルが着弾する前に一気に飛び上がり、何とかその砲撃を回避。

今まで自分が居た所に爆風と衝撃が伝わったのを眼下に確認しつつ、すぐに方向転換してグレイルとディールの方へと向かう。

『乗れ、脱出だ!!』

バサッと2人の前にその身体を一旦着陸させ、グレイルとディールを背中に乗せて再び飛び立つ。

だが、そんな2人と1匹の目の前には1機のヘリが。

『まずい・・・・あの男と女の軍人だ!!』

「それにVSSEの2人も乗ってるぜ!?」

「振り切れるか?」

ディールの問い掛けに、セルフォンは冷静な口調で呟く。

『戦闘機とやらならまだしも、あの程度のヘリコプターで某に追いつこう等1万年早いわ。おととい出直して来い!』

そう言いつつ、再び突風を起こしてヘリコプターの体勢を乱したのを確認したセルフォンは素早くターンし、

風の魔力を全身に纏いながらフルブーストで加速して朝日の昇る空へと消えて行ったのであった。


飛び立ったセルフォンを見て、ヴォルフとフェリアは兵士達をその場へ残し、踵を返して格納庫へと戻りヘリを起動させる。

「よし、出せるだけのスピードで「エンジン全開でよろしくな!」

「え……もう、振り落とされないように。もう一人のVSSEの隊員さんも」

「了解した」

重なった声にスイッチを上げていたフェリアが一瞬驚いた表情を浮かべるが、すぐさま前を向いてヘリを上空からへと舞わせる。

「あ、なぁ!フェリア、もっとスピードあげねぇと離されちまう」

「……もう少し、近づけないか?」

「この機体のこれ以上のスピードは無理だわ」

「定員をオーバーしている上に、これは戦闘機ではないからな……ここの基地にはまだ優秀なパイロットがいないのでな」


上空へと飛び立ったは良かったが、機体が哨戒用ヘリという事で思うようにスピードが上がらずイザークとルーベンスは

操縦しているフェリアを急かす。

しかし、掴まる所はあるが2人程度しか乗らない仕様になっているため、下手をすれば同乗しているイザーク達が危険になってしまう。

「もう少しだけ……きゃっ!?」

「「うわっ」」

スピードが出ればと思った矢先、セルフォンが起こした突風で機体が大きく揺れる。

墜落こそ免れはしたものの、ヘリの体勢を立て直した時にはその姿を目視するのは難しい状況だった。


「残念ながらこれ以上の追撃は不可能です」

「逃がしちまったなー」

「すぐに本部に今回の事を報告しに行かなければならないな。……他のVSSEメンバーとも情報交換が必要か」

ヘリをその場で旋回させるように待機させ、イザークとルーベンスは悔しそうに前方を見やる。

「我が軍も大々的にではないが、彼らを追いかけるというプランが立てられるかもしれないな」

「まぁ、何かあれば協力して追いかけてみようぜ?」

「仕事が一つ増えるが、仕方ないな」

今後VSSEと情報を交換しながら彼らの行方を追う事にもなるだろうと話す4人。

ひとまずはイザークとルーベンスを送る為に基地へとヘリを戻す。

セルフォン達との出会いが新しい戦いの幕開けになっていくのだった。




セガ&ナムコサイドに戻る