TC小説1作目

(時代設定は2007年6月くらいです。なのでキャラの設定もそれに合わせてます)


〜登場人物紹介〜

リチャード・ミラー

葉山 藤一(はやま とういち)





プロローグ:伝説のエージェント

今回のリチャードの任務は、アメリカで核ミサイルの製造をストップさせること。

(着いたか…)

担当するリチャード・ミラーはジャンボジェット機のタラップを降りて、空港内へと入っていく。


だが驚いたことに、空港内には誰も人がいないのだ。

(妙だな…一般客はおろか、職員もいないとは?)

彼が疑問を抱いた、その時だった。

(んっ?)

ズタタタタターっという派手な音とともに、突然階段の上や周りのドアから何人もの武装集団が現れ、こちらに銃を構えて撃ってきた!

(ならこっちも、それなりの応対をするべきだな)

腰から銃を取り出すと、すばやく近くのカウンターの陰に隠れる。そして向かってくる敵達に向かって、正確な射撃でしとめていく。

そしてあらかた倒し終わり、次が来る前に立ち去ることに。近くのドアを開けリチャードは走り出した。



ステージ1:東洋人?

エリア1

走って鍵の開いている部屋に飛び込む。するとそこには事務室らしき部屋があった。

リチャードが部屋を見回していると、突然前方のドアが開きマシンガンやショットガンを持った男達が飛び込んできた。

(ここもか)

銃弾が飛び交う中、さっきと同じく正確な射撃で敵をしとめる。とりあえずさっさと片付け、男達が入ってきたドアから通路へ飛び出す。

すると、前方から何かが動き出す音が聞こえてきた。それは…。

(フォークリフト……?)

ガァーッとエンジン音を響かせ、5〜6人の男達がまさしく「あいのり」状態でドラム缶を積んだフォークリフトで突進してくる。

だが、敵達は気がついていなかった。

そのドラム缶の中身が、ニトログリセリンだったことには……。


1発の銃声が鳴り響く。

そして次の瞬間轟音と共にフォークリフトが粉々に吹き飛ばされ、敵兵も爆発に巻き込まれた。


エリア2

フォークリフトの爆発から逃れたリチャードは、とある扉の前に立っていた。

(この非常階段の下から、不思議な音が聞こえてくる…)

不審に思った彼は、ドアを開け非常階段を駆け下りる。と、その時だった。いきなり今自分たちが入ってきたドアが何者かに吹っ飛ばされたのは。

(くっ!)

彼はすぐさま下に駆け下り、近くの扉に逃げ込んだ。だが次の瞬間、ドーンと何かが爆発する音が扉の向こうから聞こえた。

(何だ今の音は?)


取りあえず外へ出てみないとわからないので、彼は銃を構えつつ外へ飛び出した。

そこでは、さっきの追っ手達が何者かに倒されていた。

(こ、これは…?)

目の前の光景には、さすがのリチャードでも唖然としている。俺以外に、誰かがいる・・・?

だがとにかくラッキーだ!と思い直し、慎重に通路を進んでいく。

下には木箱やドラム缶等が散乱している。恐らく、何者かが投げたり蹴ったりした後の残骸だろう。


事前にVSSE本部から入手しておいた、空港内の全見取り図をすばやく広げる。

(次の角は右だな)

出口への案内どおりに進んでいく。すると、1つの大きな部屋の前にたどり着いた。

(ここに出口があるはずだ)

リチャードは見取り図を懐にしまい、ドアのノブに手をかけた。


エリア3

ドアを開けると、そこはだだっ広い倉庫だった。

(ここは…倉庫か?)

倉庫内をハンドガンを構えつつ、警戒しながら進む。しかし敵の姿はない。

と、その時。バンという音が後ろから響いた。

後ろを振り向き銃を構えると、そこには森のような緑色の髪をした東洋人が立っていた。リチャードが警戒して銃口を向けると、男は慌てふためく。

「お、おい待て! 俺は別に怪しいもんじゃねぇぞ!」

「ならばまず、身分を証明しろ」

リチャードが男を睨み付けつつ言った。

「俺か? 俺は……」


男がそこまで言いかけたときだった。突然、横のドアからもう1人別の身長が高い男が現れた。

「やっと見つけたぞ! リチャード・ミラー!」

どうやら、この大男がボスらしい。

「お前はここで終わる運命だ! 死ねぇー!」


そう言って大男はロケットランチャーを構え、発射してきた!

「ちっ!」

「うわっ!?」

舌打ちしつつ素早く避け、大男に向かって銃を乱射するリチャード。

だが大男は素早く避けると、尚もロケットランチャーで彼に抵抗する。


このままではまずい、と思ったが…東洋人の男がリチャードにこんな事をささやいた。

「俺があいつを引きつけるから、一気に倒してくれ!」

「何!? 危険だ、やめ…」


だがリチャードの制止を振り切り、東洋人は大男に向かって叫ぶ。

「おい! そんなに絡みたいのなら、俺が相手になってやる!」

「お前が? ふん、良いだろう!軽くひねり潰してくれるわ!」

大男はロケットランチャーを投げ捨て、ハンドガンで攻撃してきた。


…が、何故か男には当たらない。

「ずいぶんとムダ撃ちするもんだな」

さらに男はこんな事まで言い放った

「何だか、あんた見てるとさあ……下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるっていうけど、あれって迷信か?

お前みたいに撃っても、撃っても当たらない奴だっているんだからなぁ。テメェなんか、俺に言わせればアウト・オブ・眼中!」


その言葉に大男はかなり熱くなってしまった。

「ぐっ、そこまでバカにしやがるとは…」

「バカにしてなんかいないぜ? むしろ事実なんだからよぉ!」


大男はもう我を忘れてハンドガンを連射した。

だが東洋人は難なく避け、後ろに回り込んで大男の手からハンドガンを叩き落とし、大男の体を両手を前に組んでがっちり固定した。

「素手の奴にも勝てないなんて、失望したぜ」

「ま、まだまだぁ!」

「残念だが、お前はここでおしまいだ。今だ! やっちまえ!」

1発の銃声が響く。それと同時に東洋人が手を離し、大男の体は地面に崩れ落ちた。

「ふう…」

彼はそれを見届けると、リチャードに向かって歩いてきた。


「紹介が遅れたな。俺は葉山 藤一(はやま とういち)。この空港の客だよ」

「そうか。さ、あんたもここは危険だ。早く逃げるんだ」

「あ、ああ……それはそうなんだけど……」

歯切れの悪い返事を返す藤一。

(…?)

「俺が倒した奴の1人から聞き出した情報によると、どうもこの近くにある港で、核の取引が行われるらしい!」


リチャード絶句。それが本当なら、一刻も早く向かわなければ。

「俺、車で来てるから送っていくよ」

「そうか。ならすまないが、頼む」

「任せろい!」

2人は「EXIT」と書かれたドアから外に出て、駐車場で藤一の愛車、日産のR33スカイラインに乗り込み、港を目指した。


「……俺の事、聞かないのか?」

「別に。キョーミないし。俺もこんな厄介ごとはごめんだ」

藤一はリチャードの問いにそっけなく返事を返した。

「そうか」



ステージ2:宿敵

エリア1

2人は港の入り口でR33から降りた。辺りはまるで時が止まったかのようにしーんとしており、人っ子1人いない。

「ここか」

「ああ、そうらしいんだ。一番奥にある廃工場で取引が行われるって話だ」

「よし。あんたはここで待っていろ」

「わかった」

藤一を残してリチャードは警戒しながら慎重に進んでいく。と、いきなり前から何か物体が飛んできた。

それは何と、手榴弾だった!


(ちぃっ!)

とっさに近くのコンテナの陰に飛び込んで隠れる。その刹那、爆発音と共に辺りが火の海に包まれた。

幸い、リチャードが隠れていたコンテナは無事だった。

(仕方ない!)

熱く燃えたぎる火の海を駆け抜けつつ、リチャードは全速力で廃工場を目指す。

叫び声を上げながら襲ってくる敵や、遠くから撃ってくる敵を倒しつつ、ようやく廃工場へとたどり着いた。


エリア2

工場の中でも戦いは続く。リチャードは驚異的な射撃術で遠くから狙ってくる敵をしとめていく。

だが、一つだけ疑問点があった。それは…。

(この広い工場にしては、敵の数が少なすぎやしないか?)

そんな疑問を抱きつつ、工場の2階へと進んでいくリチャード。

(何かの前触れか?)


事実、2階には数人の敵しかいなかった。奇妙としか言いようがない。そして、2階の一番奥の部屋までたいした抵抗もなくたどり着いてしまった。

(何なんだ? 取引が行われているんなら、もっと人数がいてもおかしくないはず!)

だがその時、後ろから何者かの声が聞こえてきた。それは、VSSEの2人にとっては聞き覚えのある声だった。


「ひっかかったな。あいつらはただの足止め部隊だ。お前とやるのは何度目かな?」

「き、貴様は…ワイルド・ドッグ!」

ドッグはまずハンドガンでリチャードに攻撃してくる。意外と命中率が高い。だがリチャードも負けじと撃ち返す。そのうちの1発がドッグの肩に当たった。

「くっ……!」

ドッグは一旦攻撃を中断し、跳び蹴りをしつつ移動する。リチャードはかろうじて避け、ドッグを追いかけた。


走りながらこっちにマシンガンの義手で撃ってくるドッグ。

分厚い鉄板などを盾にして弾を防ぐが、あまり耐久性がよくない。そこでリチャードは、側にあった木箱をドッグに投げつけた。

ドッグは一瞬そっちに気が行ってしまう。その隙を狙って、ドッグに何発か銃弾を撃ち込んだ。

「ぐっ、くそおっ!」


エリア3

ドッグが一瞬隠れたかと思うと、すぐにまた攻撃してきた。だが、今度はそれに加えて何と小型のミサイルを撃ち出してきた!

「うお…!」

リチャードがミサイルを避けた。行き場を失ったミサイルは、後ろの壁に当たり大爆発を起こし大きく壁をえぐり取った。

その後もドッグはミサイルを連発してくる。慌てて横に避けたリチャード。

だが、目の前には壁が。


(…よし!)

リチャードはそれを逆手に取った。壁に向かってジャンプし、壁キックで反動をつける。

そして、そのまま空中で回し蹴りを繰り出し、ドッグに蹴りかかる!

「はっ!」

突然のことにさすがのドッグも対応できず、もろに顔面直撃。

そしてバランスを崩し、後ろにあった柵を突き破って下へと落ちていった。

「うおああーっ!」


ドッグは下の階に落ちていき、戦闘不能になった。リチャードも下に下り、ドッグに向かって銃を構えた。これで勝った…と思われたのだが…!

「くそ……! だが、今頃核ミサイルは町はずれにあるスタジアムの地下倉庫で発射準備されているはずだ! 残念だったな!」

「何だと…!?」

「あと、ここの工場の中には爆発物が満載だ! 吹っ飛べ!」

そう言って彼は何かのスイッチを取り出した。

(やばい!)


ドッグがスイッチを押した。その刹那、ドッグは大爆発を起こし、その爆発によって周りの火薬やガソリンなどに次々と引火していく!

リチャードは一目散にドアから飛び出し、爆発の届かない所までとにかく走った。

「は…はぁっ、はっ……」

さすがに息切れも激しいが、とんでもないことを聞いてしまった以上、一刻も早くそのスタジアムへと向かわなければならない。


「おーい、あんた大丈夫かぁ!?」

藤一がR33の中から声をかけてくる。

「…何とか。それより、今すぐ町外れのスタジアムまでタクシーを頼む!」

「な…何で?」

「車の中で話す! とにかく頼む!」

「あ…わ、わかった!」

RB25DETのエンジン音と共に、2人はスタジアムを目指して出発した。



ステージ3:スタジアム突入、最終決戦!

エリア1

R33は順調にスタジアムに向かっている。その車内でリチャードからドッグの話していたことを聞かされた藤一。

「そうか。そういうことだったのか…」

藤一はもう緊張で顔がガチガチだ。ステアリング(ハンドル)を握る手も震えている。


その時、フロントガラスにスタジアムが見えてきた。

「…お、あれだな。そのスタジアムとやらは」

2人は駐車場だったところにR33を停め、降りた。

このスタジアムは、昔はフットボールやベースボールなどが盛んに行われ、随分活気のあるスタジアムだった。

しかし今では街の中心部に新しくスタジアムが作られ、このスタジアムは使われなくなってしまった。


リチャードは地下倉庫の入り口を目指す。周りを探していると裏口らしきところがあり、そこには0から9までの数字を入力する暗号パネルらしきものがあった。

(よし)

リチャードが取り出したのは、映画とかでよく暗号を解くために使われる暗号解読装置だ。まず液晶パネルの部分を引きはがし、

次に装置の端末を差し込んで、暗号を解読する。するとピーッと音がして、暗号が解読された。

すぐ横のドアがスゥ…と音も立てずに横に開く。

「よーし、この中だな。俺は役に立たないからここで待ってる」

「ああ、任せておけ」

リチャードはハンドガンを構え、倉庫の中へと消えていった。


エリア2

地下倉庫の通路は、所々が崩れ落ちそうなぼろい所だった。

(相当前から使われなくなったらしいな。ここは)

そんなことを思っていると、早速1発銃弾が飛んできた。その音と共に、リチャードは素早く物陰に隠れる。


まずは普通に応戦していく。

「撃ったら隠れる」を基本とし、彼は応戦する…が、敵の数が圧倒的に多いことに気がついた。

少しまずいなと思いつつ、経験豊富なリチャードはしっかり切り抜ける。

1人また1人、と確実に倒し、攻撃が止んだ。

次が来ない内に通路の奥まで一目散に突っ走る。


すると、1つの大きな扉の前にたどり着いた。

リチャードは扉を開け放った。

いよいよ敵の攻撃も激しくなってくる。手榴弾を使う敵まで出てきた。そこら中で爆発が起きている。


と、今度は火炎放射器を持った男がこっちにやって来て、いきなり放射してきた。

(焼き尽くしてやる…ってことか? 残念だがな)

リチャードは素早く火炎放射を避け、3発くらいその男に撃ち込んだ。男は倒れ、火炎放射も止まった。

倒れる男を見つめつつ、リチャードはフィールドへのドアを蹴破って開けた。


エリア3

フィールドの中には、敵の姿はなかった。いや、厳密に言えば1人の男の姿しかなかった。ボスらしき人物の姿。

「やっときたか。VSSEのエージェントめ」

そう言うと彼は、右手に持った何かのスイッチを押した。


それと同時に、地面から轟音と共に何とミサイルが3基、三角形型に並んで現れた!

「残念だったな。あと5分であのミサイルはデトロイト、ロサンゼルス、そしてニューヨークに向けて1基ずつ発射されるんだ!

そしたらその都市はほとんどが壊滅状態に陥る。こんな核ミサイルなんてまだまだ沢山作れるんだぜ。そして最後には全ての州を爆破し…俺がこのアメリカを支配するんだよ!」

リチャードは思わず身震いした。

(こいつ…イカレてやがる)

「止めたいなら俺を倒して見せろ!血祭りに上げてやる!」

そう言って奴が取り出したもの。それは、何とも大きな対戦車ライフルだった!


「さあ、行くぞ……?」

しかし構えるまでのモーションが明らかに遅かったため、リチャードは撃たれる前にボスに向かってハンドガンを撃った。

「ぐああっ!」

どう見てもザコです。本当にありがとうございました。


リチャードはそんなボスの所に駆け寄った。

「おとなしく降伏しろ。もう逃げ道はない」

だが、ボスはクククッと笑うと、いきなり手榴弾を取り出した。

「……!?」

「お前は、ここで俺と一緒に運命を共にするんだよ。この手榴弾は軽く半径10メートルは吹っ飛ばせる威力を持っているんだ。お前もここで終わりだ!」

そう言ってボスはピンを引き抜き、こっちに向かって投げつけるモーションを取った。


しかしリチャードは素早くボスの手を押さえ、こう言った。

「半径10メートルは吹っ飛ばせるんだろう? だったら、あのミサイルも吹っ飛ばせるはずだよな? 悪いが、終わるのは貴様だ!」

リチャードは素早く手榴弾を奪い取り、ボスのズボンの中に押し込んだ。

「や、やめろ!」

「いまさらもう遅い!」

リチャードは渾身のハイキックで、ボスを蹴り飛ばした。


「うわああああーっ!」

ボスは宙を舞い、3基のミサイルのちょうど中央に倒れ込んだ。

そして、次の瞬間物凄い爆発音と共に、全ては終わった。ボスもろとも、3基のミサイルは全て粉々に崩れ去った。


「おお、お帰り! 無事だったんだな!」

入り口で待っていた藤一が、リチャードの姿を見るなり歓喜の声を上げる。

その藤一の姿に、リチャードの口元にふっ、と笑みが浮かんだ。

「さぁ、もうここには用はないから……空港まで送ってくれるか?」

「ああ、そうだな! じゃあ、行こうぜ!」

2人は駐車場でR33に乗り込むと、ゆっくりとその場を後にした。



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