コラボTC小説第6弾(最終話)

コラボTC小説第6弾

(エージェントの年齢は2007年8月の時のものなので、年とってます。一応これがコラボの最終話になりますかね)



〜登場人物紹介〜

岡本 早紀(おかもと さき)ー朧湯さん

夜野 秋羽(やの あきは)ー翠洸さん

ジョルジョ・ブルーノ

ウェズリー・ランバート





プロローグ:3度目の…正直?

アメリカにやってきた夜野秋羽。そしてその地で偶然出会った岡本早紀。

この2人は共に、今回大型客船でカリフォルニアのロサンゼルスからサンディエゴまでのクルーズ旅行を楽しむ客だ。

事の発端はこのクルーズの待合い場所で。

最初に秋羽が声をかけたのがきっかけで、同じ日本人で同じ女性で、しかも2人ともVSSEの任務に関わりがある事を

話した事ですっかり意気投合。

それが2人とも、旅行先で巻き込まれた事件だというからさらに意気投合。

2人は3度目の正直とばかりに、同じクルーズに申し込んでいたのであった。果たして今回はどうなる事やら?


ステージ1:楽しもう!

エリア1

「しかし偶然ですねぇ。ほんと、恐ろしいというか…」

「全くね」

「でも私たち、仲良く慣れそうですね。…あ、これ私のケータイの番号とアドレスです」

「じゃあ私も…」

お互いにメルアド交換をする。


するとそれを見ていた1人の男が、2人に近寄ってきた。

「あれ?  あなた達って…」

「あれ? 岸さんじゃないですか?」

「あ…この前フィルム拾ってくれた人?」

男は秋羽、早紀共に面識のある岸であった。


「もしかして…このクルーズに参加するの?」

「ええ…まぁ」

「そっか…。まぁ楽しんでね…それじゃ」

それだけ言い残し、岸は去って言った。


エリア2

そんなこんなで客船に乗り込んだ2人。

スケジュールは1日の予定。疲れがたまっていた事もあって、2人は部屋に入った。

とりあえず意気投合したので、一緒に行動する事にした。

ダンスパーティーが初日から組み込まれており、にぎやかになりそうだ。


簡単に荷物を取り出し、ジャケットを脱ぐと部屋を出て合流し、歩き始めた。この船の下見と探検をかねてだ。

すると、1軒のバーを発見した。

「へぇ〜…なんかしゃれたところですね」

「本当ねぇ。夜になったらここに来てみましょう」

やがて日も落ち、あらかた探検は済んだ。トイレの場所やパーティ会場など、めぼしいところのチェックもした。

2人は昼間見つけたバーへ。一時の休息の始まりだ。

「それじゃあ…」

「乾杯!」

小さくグラスを鳴らし、2人はアルコールを胃の中へ流し込むと、一息ついてバーを見渡す。夜になると、なんかムーディな雰囲気も出てくる。


だんだんバーも混んできて満席に。すると相席を頼まれた。

「すみません、相席よろしいですか?」

「あ、はい…かまいませんけど…」

「ええ…良いですよ」

しかしその相席の人物は、凄く意外な人物であった。

「あれ…君は…」


エリア3

「ジョルジョさん?」

何とそこにいたのはVSSEのエージェントである、ジョルジョ・ブルーノだった。

「あの…この人は?」

「ああ、この人は…」


だが、早紀が説明しようとした時だった。

「ジョルジョ。そこで良いのか?」

別の男の声がする。2人がその声の聞こえる方へ振り向くと、そこには金髪碧眼のイケメン男が立っていた。

「ウェズリーか」

男はウェズリーというらしい。

「すまないな。なるべくすぐ出て行くから…」

「あ、いえ…気にしないでください」


とりあえずまずはジョルジョの紹介を秋羽にする早紀。次に金髪の男の自己紹介だ。

「ウェズリー・ランバートだ。よろしく」

「ウェズリーさんですね。岡本早紀です。こちらこそよろしく」

「同じVSSEの人間だ。俺よりも先輩でな」

「そうなんですか?」

「と言っても数年だけだがな」


「同じVSSEか…だったらこの人達、知ってますかね?」

そう言うと、秋羽は携帯をいじくり回して画面を3人に見せる。するとジョルジョとウェズリーの顔色が変わった。

「アランじゃないか…!」

「エヴァン…」

「え? 2人とも知り合いなんですか?」

「知り合いというか…このサングラスの方は俺の相棒だ」

「早紀ならわかると思うが、金髪の方が俺の相棒だな。しかし…何故こんな写真を持っている? しかもあんたも一緒に写って…」

「ああ、それは…」


秋羽は、瑞希と一緒に解決した飛行機の事件を3人に話した。

「そういやアランがちらほら言っていたな。そのときの協力者は君だったのか」

「エヴァンも話してたな。強かったって言ってたし…」

「そんな…たまたまですって」

「何言ってるのよ。大体あんた、棒で敵のリーダーぶっ飛ばして、よく言うわね」

その後も任務の事について盛り上がる4人。よくそこまで盛り上がれるなと思うほどの盛り上がりっぷりだ。

だがそんな光景は、突然聞こえてきた爆発音と銃声によって中断するのだった。



ステージ2:シージャック

エリア1

爆発音と銃声はこのバーにまで響いてきた。

「な…何…!?」

「まさか…あの悪夢がまた…!?」

女のカンほど恐ろしいものはなく、それは見事に的中。この客船が何とシージャックされてしまったのであった。

そんな伏線はどこにもなかったが…。とにかくうかつに外に出ると危ないみたいだ。

「様子を見てくる」

「俺も行く」

「無理はしないでね……」

VSSEの2人が様子を見に行くと、客室は無事の様だが、パーティ会場や外の通路などにはほとんどテロリストのメンバーが居た。

運良く隙を見て逃げてきたという従業員から、テロリストの目的が聞かされる。


何でもこのクルーズには政治界の大物が参加していて、その大物が担当している公共事業の件で圧力をかけようとしているらしい。

本当は身内を誘拐するなどした方が手っ取り早いのだが、このクルーズで船を占拠すれば

多くの人質が取れるという、何ともバカげた理由で犯行に及んだのだとか。


それをジョルジョとウェズリーは、こっそりバーに戻って早紀と秋羽に伝えた。

「なんて事してるのよ…やっぱり悪夢だ…」

思わず額を手で押さえてうなだれる早紀。

「…俺らが何とかする。君らは乗客を客室に戻してくれ。俺らがここを出てから10分くらいしたらで良い。頼んだぞ」

それだけウェズリーが言うと、腰からハンドガンを取り出してVSSEの2人はバーを出て行った。


早紀と秋羽は乗客達を落ち着いて客室に戻していく。幸いテロリストメンバーに見つかる事はなかった。

「そっちはどうですか?」

「終わった…でもあの2人の事が心配だね」

「銃声と爆発音はパーティ会場の方から聞こえてきましたから・・行ってみましょう。ここにいつまでもいたら見つかると思うし、それだったら安全な場所に逃げた方が・・・」

「でも…下手に動いたらそれこそ見つかるんじゃ…」

悩む2人。行くか? 行かないか?

だがそれは、テロリスト達がこっちに向かってくる足音で強制的に「行く」の選択肢になってしまうのであった。

理由は…人質達がほとんど居ない事に気がついたメンバーが、一番人質が多く消えたこのバーに向かってきているから…。


「…行こう」

「ええ。このままじゃ私たちもやられますからね」

2人はうなずくと、秋羽は腰とジーンズの間に隠していた折りたたみ式の長い棒を、早紀はあの列車の事件で

手に入れたときから護身用に使っている警棒を取り出して歩き出した。


一方ジョルジョとウェズリーはパーティ会場の入り口前にやってきていた。

「こっちはあらかた片づいた」

「こっちもだ」

お互いに無事を確認する。残るはこのパーティ会場だけだ。


しかしその時…。

「ジョルジョさん、ウェズリーさん!」

後ろから聞き慣れた女性の声がする。振り向くとそこには早紀と秋羽が立っていた。

「君達…」

「危険だ。君達も自分の部屋に…」


だがその会話は、パーティ会場入り口のドアが爆発した事で中断されてしまった。

「うおっ!?」

「何!?」

そしてその爆発でできた、煙幕の中から現れたのは…。

「またお前らと会えるとは…俺らはよっぽど縁があるようだな?」

「貴様…」

「やはり貴様が絡んでいたか。ワイルド・ドッグ」


エリア2

パーティ会場に待ちかまえていたのはワイルド・ドッグ。ご存じVSSEの宿敵だ。

「せっかくのオフだというのにな」

「人の休暇を邪魔するのが好きらしいな?」

「偶然だろう」

VSSEの行くところにワイルド・ドッグありと言われるほど因縁深い関係。


すると秋羽がふとこんな事を聞いてみた。

「この人…ワイルド・ファングとか言う人と何か関係あるわけ?」

「ほう、俺の弟子を知っているのか?」

「弟子? へぇ〜…あいつ、あんたの弟子だったんだ。でも弟子の方が強そうに見えるんだけど」

「何?」


すると、それに早紀も賛同。

「ああ〜…確かに。弟子の方が強そうですよねぇ。だってもうこの人、おじいちゃんですよね?」

「お・・おいおい…」

「そ、それは言い過ぎじゃあ・・・」

「ぷぷっ、おじいちゃんだって!」

「負け決定でしょ、もう。ねぇ!!」

「ぐぐっ、き、貴様ら…俺をそこまでバカにするのか…!」

「煩いっ、黙れこのボケ老人が!!」


プッチーンとドッグの中で何かがはじけた。

「もう…ゆるさん…」

それだけドッグが呟くとバトルが始まった。


今までに見た事もない移動のスピードから、モーゼルによる銃撃とトラクタービームで攻撃してくる。

「うわっ…ちょ、ちょ……」

予想外のスピードに2人は対応できず秋羽は投げ飛ばされてきた、料理を運ぶためのカートの下敷きになってしまい、

早紀はテーブルを投げつけられてそれがヒットしてしまった。

「うあ……強い…!」

「大丈夫か!?」

銃撃をしつつ、2人がそれぞれの元へ駆け寄る。

ジョルジョは早紀の所、ウェズリーは秋羽の所だ。


だがこれで何かが吹っ切れた女性2人。立ち上がるとお互いの顔を平手で殴って、気力をお互いに取り戻させる。

「さぁ、行くよ!」

「ああ!」


エリア3

ここから秋羽と早紀が反撃に出る。

素早い動きでトラクタービームによって投げつけられたテーブルと椅子を回避して、ドッグに一気に接近する。

モーゼルを秋羽に向けるが、それを棒ではじき飛ばす秋羽。

「うっ…!?」


「終わりだ!!」

「くらえっ!!」

早紀は警棒で、秋羽は棒でそれぞれ逆方向から顔面と足めがけてダイレクトに打撃をヒットさせた。

「ぐおっ!?」

ドッグは情けない声を上げて、軽い脳震盪を起こしたかと思うとその場に倒れ込んだ。


しかし彼の手には、あのスイッチが。

「俺は生き返るぜ…何度でもな!」

身の危険を感覚的に感じた2人は、とっさにそこから退いて爆発から逃れる事に成功した。

とにもかくにも、これで勝った。さあ、反撃開始だ。



ステージ3:反撃!

エリア1

ワイルド・ドッグを倒した4人は、二手に分かれて船の先端の広場を目指す。そこにボスが居ると部下の1人が言っていた。

別々のルートで敵をなぎ倒していくのだ。

ジョルジョは早紀と、秋羽はウェズリーと共に進む。


その理由は近距離を女性が、遠距離をVSSEが担当するからだ。こうする事でお互いの不利な分野をカバーできる。

秋羽が棒でテロリストをぶっ飛ばせば、ウェズリーが遠くから狙ってくる奴を撃つ。

早紀が警棒で殴りつけている間に、ジョルジョが遠くの奴を撃つ。と言った具合だ。


そうして突き進んでいき、広場に出るドアの前で二組は合流した。

「片づいたようね…」

「ええ、そっちも同じみたいじゃん」

「よし、気を引き締めていくぞ。心してかかれよ」

「ああ」


4人は広場へ続くドアを開け、そこにでた。

そこの中央には、ヒョロッとした痩せ形の男が1人、ぽつんと立っている。

4人は近くまでその男に寄り、適当な間合いをとってハンドガン、警棒、棒を構える。


「貴様か? この集団のリーダーは」

「…VSSEか…」

「質問の答えになっていない。答えろ。俺らは確かにVSSEだ」

「制服を着ていないのにわかるという事は、どうやら俺達の組織の事を少なからず知っているみたいだな?」


しかし、男は中指をびしっ、と立てて、4人に口を開く。

「……は? 笑わせんじゃねーよ」

「何?」

「知ってるも何も、俺は元々VSSEのエージェントだったんだ」

「え?」

「何ですって?」

4人の顔には大小の違いはあれど、驚愕の顔色が。


「何故こんな事をした? お前は仮にもVSSEのメンバーだったんだろう」

「…嫌になったんだよ。世界平和だと言って、人を殺すのが。お前らは間違ってる…。平和のために人を殺すのは間違ってるんだよ!」

「ふざけるな…。そう言った理由でVSSEを辞めたのか?」

「貴様の方こそ間違っている。こんな事をして他人に迷惑をかけて、そう言う事をほざく貴様はもっと間違っている」


そのウェズリーの言葉に男は頭(かぶり)を振った。

「悪いがお前らにはここでくたばってもらうしかなさそうだな。良いだろう。かかって来いよ!」

男の名前はシド・ヒューマン。かなり敏腕のエージェントだったわけだが・・・果たして彼の戦い方とは?


エリア2

シドの武器はH&KーUSPのハンドガン、P90マシンガン、それにM4ショットガン。

しかもそれに加えて動きが素早いときたもんだ。

4人は3つの武器をうまく使い分けてくるシドに苦戦していた。

(だめ、近づけなきゃぶちのめせない!)

(くそっ……この警棒じゃあ届かないしなぁ!)


頼みの綱はジョルジョとウェズリー。必死にハンドガンで応戦するが、なかなか隙が見あたらない。

(強いな)

(隙が見あたらない。リロードも素早ければ撃ってくるスピードも…)


だがその中で、早紀はある事を考えていた。

(あいつ…よく見るとなんか足下がふらついてるような気がする…)

そう。シドは素早さを求めすぎる余り、足がどうしても止まったときにふらふらしがちになる。

それに気がついた早紀はそのことを秋羽に話し、周りを見渡して何か使えるものがないかを調べる。


するとあるものが目に留まった。

それは火災消火用に使われるホース。ジェット噴射付きだ。

「…あれを使うんですか?」

「やってみるしかないでしょう。あの人達は苦戦してるし、私達の武器じゃ殴る前に撃たれるのがオチだし」

「そうですね」


秋羽はホースのバルブの元へ猛ダッシュ。そして全開まで捻ると、早紀の腕に振動が伝わってきた。

(行くよ…!)

ぶしゃーっと勢いよく水が飛び出し、シドの足を直撃した。

「何!?」

それでシドは転倒。その隙に秋羽が走り出し、棒を構えて立ち上がりかけたシドの体を思いっきり殴りつける。

「ぐえっ!」

その一撃でフェンスのそばまで吹っ飛ばされる。とどめの一撃にそこで秋羽がドロップキック!!

見事にクリティカルヒットし、シドは吹っ飛ぶ。

「くっそぉぉーーっ!!」


シドは絶叫しながら夜の海へと落ちていった。

「はあ…お、終わった…!」

「やった…私たち、勝ったんだ!」


エリア3

サンディエゴの港で、今回のクルーズは終わりを告げた。

「散々な旅行になってしまったな」

「全く…何でこんなについてないのよ。旅行先でいっつもこうやって事件に巻き込まれるんだったら、引きこもりになるよって」

「私も同じねぇ…」

「過ぎた事は仕方がないさ。あんたらに怪我が無くてよかったし、一般客に被害も出なくてよかった」

「でも旅行の予定がパァねぇ…」

「よかったらアメリカを案内する。俺の地元だがな。ジョルジョも行くだろう?」

「もちろんだ」

「良いんですか? じゃあ、よろしくお願いします」


この2人が無事に事件に巻き込まれずに旅行できる日は、果たしていつになるのやら?

それは誰にも、わからない。


〜完〜


〜後書き〜

朧湯さんと翠洸さんのコラボでした〜。最後は船が舞台でした。

コラボシリーズこれにて完結です。これ以上書いたらgdgdになってしまうので・・・。では!


2008,6,22 80スープラ


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