コラボTC小説第5弾

(エージェントの年齢は2007年8月の時のものなので、年とってます)



〜登場人物紹介〜

夜野 秋羽(やの あきは)ー翠洸さん

稲垣 瑞希(いながき みずき)ー白月さん

アラン・ダナウェイ

エヴァン・ベルナール





プロローグ 〜飛行機で旅行〜

「はぁ…はぁ…まずい〜っ!!」

1人の女性がダッシュしている。今日久しぶりに里帰りし、帰国する予定の稲垣瑞希だ。なぜ急いでるのかと言えば…。

(調子に乗って朝、モバゲーやってるんじゃなかったぁ〜!!)

飛行機に乗り遅れそうな彼女は、自分でも驚くくらいの速さでダッシュ。だが曲がり角を曲がった瞬間、人とぶつかってしまった。

「きゃっ!?」

「わっ!?」

そのせいで両方ともこけてしりもちをついてしまう。

「す、すいません、大丈夫ですか?」

「いえ…こちらこそすいません」

その人は40代前半と思われる眼鏡の男性。


「あ、あの…どうもすいませんでした!」

「いえ…」

平謝りすると、瑞希はさらにスピードを上げて飛行機に急いだ。これから事件に巻き込まれることも知らずに。



ステージ1:事件発生!

エリア1

何とか間に合った瑞希は、自分の席を探す。何と2階建ての大型の飛行機。

(あ…あったあった)

上の荷物入れに荷物を放り込み、席に座って上着を脱ぐ。

(それにしても平日だとはいえ、お客さんが全くと言っていいほどいないわねぇ)

平日の真っ昼間に飛行機に乗る人もいなく、席はがらがら、機内も静か。何とも不思議な光景だ。

(ま…ゆっくりできていいか…)

そう思いどさっと背もたれに寄りかかる。


すると、隣に人が座ってきた。

「すいません、荷物…」

「あ、すいません!」

隣の席においた上着をあわてて上の荷物入れに放り込み、席を譲る。

「どうもありがとう」


その人は20歳くらいの女性。茶髪にコート。4月だというのにコートとは少し季節はずれな気もするが…。

「1人で旅行?」

「いえ…旅行帰りの途中なんです。俺あの…フランスに住んでるんですよ。歴史学者になるのが夢で」

「すごいじゃない。あ、私秋羽。夜野秋羽。よろしくね。北海道生まれの21歳よ」

「稲垣瑞希です。東京出身です。18歳です」


『お待たせいたしました。当機は間もなく出発いたします。シートベルトをご着用ください…』

「さ、出発ね。でも…人が全然いないわねぇ」

「ですねぇ、俺たち以外乗ってないんじゃない? っていうくらいですね」


そうこうしてるうちに飛行機は加速し、上空1万メートルへ。

「何回も飛行機乗ってますけど…やっぱりこういういつもとは違った景色が見えるのはいいですよね」

「そうね。異次元空間とでも言うのかしらね」


しかしその時だった。いきなり、機内の照明が全て落ちて真っ暗になった。

「えっ!? な、何!?」

「ちょ、ちょっと!?」

それと同時に銃声が響いてきた。

2人は訳のわからないままベルトを外し、前の座席と自分の座席の間にある隙間にしゃがみ込む。

と、電気がついた。2人はそっと座席の間から様子を窺う。するとそこにはとんでも無い光景が広がっていた。


エリア2

(は…ハイジャック…!?)

そこに広がっていた光景は、ハンドガンやマシンガン、果ては手榴弾などを片手に持ってうろうろしている男達の姿が。

(秋羽さん! 何なんですかこれ!?)

(私に聞かれても困るわよ!とりあえず絶体絶命のピンチって事は間違いないでしょうけどね!)

ヒソヒソと話をする2人。だが静かな機内ではそれも聞こえてしまっていた。


「おい、そこにいるのは誰だ!?」

(しまっ…!)

男が2人の元へだんだん近づいてくる。秋羽はとっさに懐に手を入れて飛び出した。

何かが風を切り、それは男に吸い込まれる。

「うぐっ!?」

それは何と短剣。そして秋羽は間髪入れずにコートの内側から折りたたんだ棒を取り出し、男を殴り倒した。

「逃げて!!」

素早く身体を翻して瑞希を突き飛ばす。そして秋羽は男達に向かっていった。


と、ふと瑞希はあるものを発見する。男が持っていたハンドガンだ。

(よし…!!)

瑞希はそれを拾うと、何と援護射撃を始めた。意外と狙いは正確で、男達を倒して行くではないか。

「えっ!?」

「俺だって…やるときはやるんだよ! かかってこいよ!!」

普段はおとなしいが、一度ヒートアップしたら止まらない。それが稲垣瑞希だ。


エリア3

一通り制圧した2人は、互いに健闘をたたえ合う。

「凄いじゃない! どこであんな射撃術身につけたの!?」

「ヨーロッパで護身用に、よくガンシューティングをやってるんです。秋羽さんも凄いですね」

「無理矢理教え込まれた棒術だけど、役に立ったわ!」

しかし…今度は上から銃声が聞こえてきた。それを見て2人は顔を見合わせる。

「…行く?」

「勿論! 俺らに怖いものなんて無いですからねぇ!」


2階部分に上がると、何やらテロリスト達は別の方向に向けて銃弾を撃っている。その銃口の先には、茶髪にグラサンの若い男と、金髪のいかにも軽そうな男がいる。

何か2人は苦戦気味らしい。そこで秋羽と瑞希は奇襲をかけることに。


秋羽は近くにいる男の肩をとんとんと叩き、振り向いた瞬間鉄拳制裁。

瑞希はこっちに全くテロリスト達が気付かないのを良いことに、銃撃で背中に弾丸を撃ち込んでいく。

「何だ!?」

金髪の男が声を上げた頃には、もうテロリスト達は全員ノックアウトされていた。



ステージ2:対面

エリア1

秋羽と瑞希は、目の前に立っている男達の顔を見る。

「…誰だ、あんたら?」

「…私? 私はこいつらの、担任の先生だよ」

「ちゃうわボケッ!! ごく○んの影響受けてんじゃねーよ!!」

「………」


「とまあ突っ込みは置いておいて…あの、人に質問するときはそっちから名乗るのが礼儀だと思うんだけどね?」

「アラン、どーする?」

「……悪人には見えないな。良いぜ。俺はアラン・ダナウェイだ」

「エヴァン・ベルナールだ! よろしくな!」

「俺は稲垣瑞希だ」

「…夜野秋羽よ。旅行に来たというのに、この騒ぎはいったい何なのかしら?」

茶髪の男がアランで、金髪の男がエヴァンというらしい。


「え? あんたら…旅行者なのか? そいつは不運だったな」

「何で!?」

「俺ら、VSSEって組織に属してるんだが…コンピュータウィルスの取引がこの飛行機で行われるって話を聞いて、

この飛行機には誰も乗せないように頼んでおいたはずなんだが…。変だな」

「恐らく、この人達には説明が行き届いていなかったんだろうよ、エヴァン」

「あっちゃ〜…」

と言うわけで、2人に協力(?)することになってしまった2人。この先どうなる事やら?


エリア2

「んで…主犯はどこにいるの?」

「恐らく…そうだな、エレベーターで貨物室に行けるところがあるんだが…そこで取引が行われるという噂だ」


すると、ふと瑞希が何かを思い出したかのように手をポン、と叩いた。

「…そういえば前に『フライトプラン』って映画を見たことあるんだけど、あれちょっと覚えてるから…飛行機のことなら大体わかるよ?」

「へえ…そうなの? 意外ね。瑞希からそんな情報がもたらされるなんて」

「確か・・エレベーターは1階にあったはず。こういう大型の飛行機って、貨物室も相当でかい。

そこで内密に取引せずに何でこっちまで占拠したのかはわからないけど…。とにかくそこに行ってみようぜ」

「よし、行くぞ」


4人は1階にある貨物室域の小さなエレベーターに乗ることに。

しかし…1階に下りたときだった。

いきなり4人の目の前に座席の一つが吹っ飛んできた!! 4人はとっさに隠れたり、転がったりして避けることに成功した。


その飛ばしてきた主はと言うと…。

「おっ、よく避けたな」

そこに立っていたのはピンクのシャツに、白い特攻服を着たサングラスの若い金髪男。

「…てめぇは!?」

「ワイルド・ファング…!?」

VSSEの宿敵、ワイルド・ファングだ。


エリア3

「へぇ…VSSEだけかと思ったら、かわいこちゃんもいるじゃねえの。いやーオデレータオデレータ」

「勝手にほざきやがれ! お前をぶっ倒して俺らは取引を止めるんだよ!」

「はっ、そいつはどうかな! 俺を倒せるのか!?」

その声と同時にまたもや座席が飛んできて、銃撃も飛んでくる。

「まずい、二手に分かれよう!」

「ああ!」


ファングは4人を相手に見事な動きを見せる。蹴り飛ばしと銃撃をほぼ同時にやってきて隙がない。

「くっ…これじゃあ近づけない!」

秋羽は近寄ろうにも、何もできなくてもどかしい。

瑞希は近くの男たちの体からぶんどった銃弾を大量に持ってきて、必死にリロードしながらファングに銃撃。


だが、今度はファングがとんでもない行動に出る。

体を高速回転させ竜巻を発生させる。それに座席を巻き込んで飛ばしてきた。

「危ねぇっ!?」

「はははっ! 俺の必殺技、『トルネードタイフーン』だ! 死ねぇっ!!」

「トルネードとタイフーンは別物だがな…」

冷静な瑞希の突っ込みをよそに、ファングはどんどんこちらに向かってくる。だがよく見ると一直線ではないか。

それを見た4人は、横に避けてかわす。


「あ…」

ただのバカだったファング。そして終いには自分が回りすぎて目が回ってしまった。もちろんそれは大きな隙になる。

と言うわけで集中砲火。ファング破れたりだ。



ステージ3:集中!

エリア1

2人しか入れないエレベーターで、まずは秋羽と瑞希が、次にアランとエヴァンが貨物室に降りていく。

「さぁ、クライマックスね。派手に行きましょう」

4人は気を引き締め、エレベーターで貨物室に到着。そこで見張りをしていた1人の男を倒し、バトルスタート。

銃撃、体術などすべてを総動員し、結構な数のテロリストを倒していく。

アランとエヴァンのコンビはすごい。

だが秋羽と瑞希のコンビもなかなか。2組は見比べても大差はない。

「あいつらやるじゃん!」

「あっちのコンビ、すごいね!」


貨物室にはコンテナやら車やら、大型のものから小型のものまでたくさん置いてある。

それらをうまく遮蔽物にして、4人は突き進んでいくのだ。

「こんなところで死ぬわけにはいかないからね!」

「おらっ! そんなもんか!?」

一通り敵を全滅させ、辺りを見回す。

「後見てねぇのは・・あっちの奥だな。あそこは怪しいだろ」

「よし、行くぞ!」


エリア2

奥の方に進むと、まだこんなにいたのかと言いたくなるほどテロリストが出てきた。

遮蔽物は少ないが、素早さを生かして突き進む秋羽。

正確さはピカイチ。銃撃でしっかり敵をなぎ倒す瑞希。

大胆に突き進むアラン。

熱くなっているが、うまく向かってくる奴を撃っていくエヴァン。

異なる4人がうまく協力し、どんどん敵を倒していく。


そして奥の少し開けた場所までたどり着いた。そこには妙に老けた男が立っている。

こいつはコーディー。主犯だ。

「くそっ!! お前たち、何者だ!?」

「VSSEだ。おとなしく降伏しろよ? もう逃げ道なんてねーんだぜ!」

しかしやっぱり最後に一悶着あるのが、常識と言えば常識な訳で……。

「フン、誰が降伏なんかするか!」

そんな言葉とともにコーディーが取り出したものは……ガトリングマシンガン!!


マシンガンなんか比べものにならないほどの弾の量で、4人に攻撃を仕掛けてくる。

弾切れも見込めず、ただ隠れてチャンスを伺うしかないわけだがこれまた威力が強い。なので遮蔽物も穴だらけになってしまう。

「うわっ、これじゃ隠れるところがなくなって行くじゃねえか!?」

「落ち着いて! きっと何かいい手があるはず!」

「それは一体…うおっ! …ど、どんな手だ!?」


エリア3

その時、秋羽がこんな提案をした。

「3人とも耳貸して! ……して、……してるときに、……するの!!」

「はぁ!? 無茶だ!!」

「大丈夫! 任せて!」

そう言うと、秋羽だけどこかへ引っ込んでしまった。そして次の瞬間、瑞希がまずコーディーを引きつける。

「おらおら、こっちだぜ!」

さらにアラン、エヴァンも動き回ってコーディーの注意を引きつける。


「ちょこまかと…! 目障りなんだよ!」

だんだんいらいらしてきたコーディー。3人はこの注意力が散漫になる瞬間をねらっていた。

「秋羽さん、今です!」

瑞希が叫ぶと間髪入れずに、秋羽がコーディーの後ろのコンテナの陰から飛び出す。

「はっ…!!」

まず短剣を投げてコーディーの手に当て、ガトリングを撃てなくする。


そしてとどめは・・・。

「うおああああああああああ!!」

大きな叫び声とともに下から上へすくい上げる形で、棒でコーディーの顔をぶっ飛ばした。

「ぐべっ!!」

コーディーは見事に吹っ飛び、気絶したのだった。

「やった……やった!!」

「うおお、すげぇぞ!! あんたら最高だ!」

「VSSEに入ってもらいてぇくらいだぜ! すげぇぞ!!」


その後。オートパイロット状態が続いていた飛行機のパイロットを起こして、無事にフランスの空港へたどり着いた。

「感謝するぜ。VSSEはあんたらを絶対忘れないだろうよ」

「VSSEはじゃなくて、俺らは、だろ?」

「ははっ、それもそうか。それじゃあ…またな」

そう言ってアランとエヴァンは去っていった。


「さて……フランスに住んでるならフランス詳しいんでしょ? 案内してよ!」

「はい、了解です!」

そして2人も旅行のため、それと家に帰るために空港を出発するのだった。


〜後書き〜

お待たせしました。白月さんと翠洸さんのコラボです。

2008,5,6 80スープラ


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