コラボTC小説第4弾
(エージェントの年齢は2007年8月の時のものなので、年とってます。しかも第4弾なのに、時間軸は第5弾が先という、とんでもない仕様です)
〜登場人物紹介〜
プロローグ:イギリスで旅行だ!
「ふう…やっと着いた…。ここがイギリスか」
空港に降り立った1人の女性。黒いショートカットの髪をさらさらヘアーにし、目は若干細めで鼻はやや高め。
名前は岡本早紀。東京生まれで26歳の写真家だ。
今日はイギリスに、今度出版する写真集の仕事も兼ねて旅行らしい。
英語はしっかり勉強してあるので無問題。
とりあえずチェックゲートをくぐって空港の外へ。最初にカメラを取り出す・・が、持ってきたフィルムが落ちてしまった。
それを誰かが拾ってくれた。
眼鏡をかけた銀髪の東洋人の男性。40代前半だろうか?
「はい、落ちましたよ」
「あ、ああ…どうも」
男性にお礼を言うと、早紀はタクシーを呼び止めて駅に向かった。…これから大事件に巻き込まれる事も知らずに…。
ステージ1:列車で行こう!
エリア1
駅に着いた早紀は、目的の列車に乗る。どっちかと言えば新幹線に近い…と言うよりも
この車両はTGVを少し改良して作られたユーロスター・クラス373と呼ばれるモデル。最高速度はF1マシンを超えた、334キロだ。
外見的にも性能的にもかっこいい。
今回は2種類の編成があるうち、18編成の車両に乗る事にした。
ロンドンのセント・パンクラス駅からスタートし、フランスのパリへ直行する手はずになっている。
(席は…ああ、ここだね?)
旅行シーズンではなかったが、あまり後ろの席過ぎるのもあれだったので、とりあえず前から9番目・・ちょうど半分辺りの車両の席を取った。
やがて列車が発車する。早紀は疲れていたせいもあり、寝てしまっていたのだった。
ふと隣を見ると、若い女性が座っている…。見た感じ高校生風の東洋人だ。
「あ、起こしてしまいましたか…?」
「え? いいえ…。……あの、あなた日本人?」
「あ、はいそうです。あなたもですか?」
「ええ。珍しいわね…同じ日本人に会えるなんて。…あ、私早紀。岡本早紀。よろしく」
「稲垣瑞希です」
「学生?」
「はい。俺、今はフランスに住んでるんです。今日はイギリスに旅行に行った帰りなんですよね。東京生まれです」
「奇遇じゃない。私も東京よ」
「そうなんですか?」
「ええ。写真家やってるんだ、一応。今日は写真集の仕事もかねて、旅行ってところ。でもあなた凄いじゃない。学生でフランスに住んでるなんて」
「えへへ…」
簡単な自己紹介も終わり、同じ日本人、同じ出身地ともありすっかり意気投合した2人。これから先、楽しい旅行になりそうだ。
エリア2
出発して20分が経過。もうすぐ1つ目の駅に着く。早紀と瑞希は2人とも、たわいもない雑談で盛り上がっていた。
この車両は2人以外オフシーズンで誰もいないので、遠慮無く盛り上がれる。
「武術やってるんですか? 凄いですね」
「趣味で始めたけど意外とおもしろくて。ほとんどはマスターしてるけど長刀と剣道が得意かな」
「俺はよく護身用に、ガンシューティングやってるんです」
「そっちのほうが凄いわよ」
すると列車がだんだん減速し始めた。駅に着いたらしい。
「わたし飲み物買ってくるけど……」
「じゃあ俺も行きますよ」
と言うわけで。2人は列車から降りてホームの自販機で飲み物を買う。ホームは人気が全くない。誰もいない。オフシーズンにもほどがある。
そんな事はおいておき、瑞希はコーラ、早紀はサイダーだ。
だが列車に戻ろうとした瞬間だった。
いきなりホームの入り口のほうからばたばたとあわただしい足音が聞こえてきた。
(ん……?)
何気なくそっちを見やると、2人の男が走ってくるではないか。1人は黒髪に髭のラテン系男、もう1人は金髪のツンツン頭の若造。
「何、あれ?」
「さあ…?」
気にする事もなく2人は列車の中へ戻った。そして373は発車する。しかし席に戻りかけたときだった。
いきなり、車内の照明が落ちた!
エリア3
「わぁっ!?」
「な、何だよ!?」
いきなりの非常事態に慌てる2人。それと同時に聞こえてきたのは銃声。しかも後ろのほうから聞こえてくる。
すると車両の後ろのドアが開き、風と足音が入ってきた。
(何だ、こいつら!?)
それとほぼ同時に電気がつく。そして2人は目を疑った。
後ろから入ってきたのは10人くらいの武装した集団。しかも前からも聞こえてくる…と言う事は、まだ居る可能性もある。
おそらく停まっているときにホームから入ってきて、動き出すと同時に車両のドアを開けてきたのだろう。
「おい、お前ら動くな!」
「な、何なのよ!?」
「黙れ! そのまま伏せて座っていろ!」
下手に抵抗すれば殺されかねないので、おとなしく言う事を聞いて伏せる。……のは早紀だけだった。
瑞希はいったん座るようなそぶりでフェイントをかけ、素早くコーラを振って武装集団にぶちまける。
当然予想外の事態に集団は慌てた。
そこで一瞬の隙をついて、男の腰からハンドガンを奪って銃撃。これで6人倒した。
それを見ていた早紀は、残りの奴らを素早い動きからのキックとストレートパンチでひるませる。空手の技だ。
とどめにリロードし終えた瑞希が4人に銃撃し、何とか命だけは助かった。
2人は車両を移動しないでここにおとなしくいる事に。下手に動くと他の仲間に見つかる恐れもあるからだ。
ステージ2:協力!
エリア1
「片づいたか?」
「ああ」
それだけエヴァンが言うと、2人は次の車両へ。
今回の任務は、この列車の中で行われる麻薬と武器の取引を阻止する事。警察の仕事だと思った人もいるかもしれない。
しかし…そこは超極秘任務であるわけで…。
とにもかくにもこの2人が、今回の事件を担当する事になったわけである。
2人は最後尾の車両から突入。乗客に変装した取引グループがこの列車に乗り込んでいるという情報を聞きつけた。
取引現場に着く前にこいつらを壊滅できれば、今回の取引はお釈迦だ。
フランスのパリが取引現場になっている。
「っしゃあ! 気合い入れていくぜ、オッサン!」
「気合いは殆ど関係ないだろう」
ジョルジョに冷静に突っ込まれるが、エヴァンはそんな事お構いなしと言った感じで、次の車両へ続くドアを開けた。
エリア2
一方早紀と瑞希は相変わらずじっと待っている。下手に動けば危ない。
「暇だ…」
「同じく…」
瑞希はいつ襲われても良いように奪い取ったハンドガンのグリップを握りしめ、早紀は倒れている男が持っていた特殊警棒を引き出して構えていた。
剣道の竹刀代わりにすると言う訳だ。
すると足音と銃声が聞こえてきた。何が起こっているかはわからないが、この倒れている男達の仲間がこっちに
来るだろうという予想だけはついた。
そして車両入り口のドアが開く。2人はそっと、椅子の陰から入り口を伺ってみた。
すると…。
「…あ…あれ!?」
「どうしたの?」
瑞希はなぜか驚く。それも無理はない。入ってきたのは男2人。さっきホームで見かけた黒髪と金髪の男。
しかもそのうちの1人は、瑞希と前、一緒に…。
「エヴァンさん!?」
「…あ? ……あれ? 君って…」
「…どうした、エヴァン?」
「何? 知り合い?」
「あ、ああ…実は…」
瑞希は第5作目で起きた飛行機事件の事、そこでエヴァンと共に事件を解決した事をジョルジョと早紀に話した。
エヴァンもこの髭オヤジがパートナーだという事、VSSEと言う組織にいる事を話した。
「へぇ〜…。なんだか大変なのね?」
「ああ…あのときは俺も死ぬかと思った」
「……とにかくここは危険だ。…と言っても、この状況じゃあな…エヴァン」
「ああ…」
だが、瑞希はとんでもないことを言い出す。
「……なぁ、また手伝っても良いか?」
「はぁ!? あんた何言ってるんだよ!? 大体前だって死ぬところだったじゃねえかよ! だめだ、俺は認めねぇぜ!」
エヴァンと瑞希がにらみ合う。
が…そんなムードをぶちこわしたのは、思いもよらない客だった。すさまじい音と共に、客車の後ろから派手な爆発音が聞こえてきた。
4人が一斉にそっちを見ると…そこに立っていたのは、「あいつ」だった。
エリア3
「あれ? あ・・お前はまさか!?」
「お、お前はこの前の…!?」
「あーあ、また懲りもせず何やってんだよお前は。ワイルド・ファングさん? またその立派なリーゼント、めちゃくちゃにされたいんか?」
こいつも前回、戦ったことのあるVSSEの新たな宿敵、ワイルド・ファング。
「……フン、前の俺と比べてもらっちゃ困るな」
「前はただの自爆だろーが。どれだけ成長したんだかなぁ?」
「話に入れないね…」
「ああ…」
遠い目をして、事の成り行きを見守るジョルジョと早紀であった。
と言うわけでバトルスタート。実質的には瑞希&エヴァンvsワイルド・ファング。
でもジョルジョと早紀も参戦する。
ファングの技は以前と同じくトルネードタイフーンと座席のけっ飛ばし、それに拳銃での攻撃。
しかし、格段に動きが速い。そして目を回さなくなった。
(くっ…こいつはきついぜ。前にエヴァンさんと戦ったときはよく実力がわからなかったが、これはすごい!)
(何だよ…少しはやるじゃねえか)
素早い動きに翻弄される4人だが、それでも的確に銃撃をする3人。その中で早紀だけは銃を持っていないので避ける事しかできない。
だがそれが早紀の冷静な判断を呼び……ある事に気がつかせるのであった。
(あれ? 待てよ・・・?)
そのことに気がついた早紀は警棒を構え、集中力を高める。そしてファングが回転して向かってくるところで、
早紀は体をのけぞらせて走り幅跳びの選手のごとく大ジャンプ!
「あんたの弱点は…ここだぁーっ!!」
「な…に…!?」
実は回転している物体は、中心に行くほど回転が遅い。遠心力が中心にはあまり働かないからである。
空中で警棒を構えなおし、渾身の面をファングにたたき込んだ。
「ぐはっ!」
回転が止まり、ゆっくりと崩れ落ちてファングは気絶した。
「や…やった…?」
「凄い…」
「それで…こいつはどうする?」
「放っておけ。今は取引を止めるのが先だ!」
4人は目を見合わせてうなずくと、次の車両へと駆け出した。
ステージ3:ファイナルバトル!
エリア1
ひたすら4人は先頭車両へと突き進む。
ジョルジョとエヴァンのコンビは絶妙なコンビネーションを見せるが、早紀と瑞希も負けては居ない。
たぶんジョルジョとエヴァンを超えているだろう。
近距離の戦闘を早紀が警棒でカバーすれば、瑞希が遠距離の奴を銃で撃っていくからだ。
「凄いな」
「ああ、俺らエージェントから見ても、通用するレベルだぜ…」
この4人はお互い協力し合い、ついに先頭車両の1つ手前、前から2番目の車両にやってきた。
そこにはボスと思わしき男が待ちかまえていた。名前はジェームズ・ハドソン。取引グループのリーダーである。
エリア2
「お前ら…よくも引っかき回してくれたもんだな、ああ?」
「はっ、よく言うぜ!」
「言っておくが、貴様の計画はここで終わりだ」
「終わり? 悪いが俺1人でもやってやる。女もいるからって手加減はしないぜ…俺はな!」
ジェームズが取り出したのはMP7のマシンガン。それも2丁だ。
「オラ、来いよ!」
「やばい!」
即座に4人は座席の陰へ隠れ、ジョルジョとエヴァンと瑞希は撃って応戦。早紀は手出しができ……無いのかと思っていた。
しかし何気なくポケットを探ったとき、あるものが手に触れた。
(これは…)
そう、ホームの自販機で買ったサイダー。これを使えば…。
早紀はサイダーを思いっきりシェイク。
そして奴がリロードのために隠れたところで、気配を消してダッシュ。気配を消すのは、動物の写真を撮っているときによくやるので慣れている。
そして、またジェームズが出てきたところに、思いっきりフタを開けて顔面にサイダーを噴射!
「ぶはっ! お、お前…それは…」
「うおらぁっ!!」
とどめに渾身の面をたたき込んで、ジェームズを気絶させたのであった。
「無し…だろぉ…」
エリア3
運転士も解放されてパリに無事到着。警察に匿名で電話し、彼らはそっと立ち去るのみだ。
「君らの手助けに感謝する。ありがとう」
「瑞希、早紀、サンキューな!」
「こっちこそなんか…わがまま言っちゃって悪かったな」
「別にかまわないぜ。俺もきつい事言ったしな・・・」
「それじゃあ、またね!」
そうして2人に別れを告げ、瑞希と早紀は家に帰るため、
そしてフランス旅行のためにチェックゲートに向かって歩き出すのであった。
〜完〜
〜後書き〜
朧湯さんと白月さんのコラボでした〜。列車が舞台でした。
次では飛行機が舞台になっています。列車、飛行機と来れば、後は・・・。
2008,6,21 80スープラ