黒羽真治&スティーブ・ブライソン&谷本仁史〜エージェント・ハックリー&ネイト・ラッシュ


プロローグ:日本と真逆の国で……。

地球儀を見てみると分かる様に、日本の真逆に位置している国と言えば

南米最大の国として知られている南アメリカ大陸のブラジルだ。

今は2015年の12月の上旬だが、当然季節も日本とは真逆になるので真冬の

日本と違いブラジルは真夏だ。そんな真夏のブラジルはサンパウロに降り立ったのは、

日本からやって来たこの3人組だった。

「あちーな、くそっ」

「当然だ、南半球だぞ」

「まさか懸賞でブラジル旅行が当たるなんてな、この季節に」


最初にぼやいた赤髪の男は、日本の佐賀県出身で現在は都内の警備会社に

勤務している警備員の谷本仁史。首都高がサーキットになる前からずっと

首都高で走っている男だ。そのドリフトの上手さから彼は首都高でも有名人だ。

その仁史のぼやきに冷静に的確に突っ込んだのは、首都高サーキットで

走っている時に知り合いになった黒羽真治。職業は余り馴染みの無い傭兵であり、

首都高で走っていない時は世界中を股にかけて戦場へ赴く寡黙な男。

最後に口を開いた男はその真治の知り合いで、日本の米軍横須賀基地に

陸軍の軍人として勤務しているアメリカ人のスティーブ・ブライソン。真治とは共に戦場で

戦った事もある古い戦友同士だ。


この3人は懸賞でブラジル旅行が当たり、年末で忙しくなる前に旅行に行こうと

考えてこうして長い時間をかけて日本の裏側までやって来たのであった。

だがそんな旅行を楽しもうと考えていた3人は、このブラジルで思いもよらない出来事に

巻き込まれてしまう事になる!


ステージ1:事件勃発

エリア1

同じ頃、国際特殊諜報機関VSSEから2人の男がサンパウロに派遣されて来た。

派遣されて来たのは多少茶色が混じった黒髪のベテランエージェントである

エージェント・ハックリーとその相棒で冷静沈着な金髪のネイト・ラッシュの2人だ。

「よーしついたぜ、ここがブラジルだ!!」

「ここが……」

ハックリーはベテランだがその性格は多少わがままであり、今までに組んだエージェントが

ひやひやさせられる事が何度もあった。パートナーとして今組んでいるネイトは冷静な

性格なのでベテランの暴走を止める為に気苦労が多い。


「無茶しないで欲しい……あんたには何時も冷や汗をかく」

「はっは、運動して汗をかくなら良いじゃないか、ネイト!」

「そう言う意味じゃないんだが……」

口数も普段から少ない寡黙な性格のネイトはため息を吐き、何時もの様にハックリーをサポート

する役割に回る。同期の中では1番の成長株として知られている彼だがまだ余りこなした

ミッションの数は多くは無い。逆に性格はわがままな所があるハックリーだが、経験に関しては

ネイトがまだまだ足元にも及ばない程の物を持っているので、伊達にベテラングループに入っていない。


今回のミッションは治安が余り良くないとされている南米の中でも、ブラジルにおいて次世代兵器の

開発が進められていると言う情報をキャッチしたのでその偵察。そしてもしそれが事実だった場合には

兵器を破壊すると共にその情報をVSSEに報告してデータも出来るだけ持ち帰って来る事だ。

「それで、まずはあそこだろう?」

ネイトが指差す先には、サンパウロの港の倉庫街があった。

「おうよ! あそこの中に兵器のプロトタイプが貯蔵されているって話だから俺達はそれを調べる!」

「了解」

元気にミッションを説明するハックリーにネイトは冷静に返事をして、2人は倉庫街に向かって歩き出した。


エリア2

倉庫の中は敵もそれほど多くなく、2人は順調に証拠となる武器のプロトタイプを幾つか回収する事に

成功した。だがこれだけではまだまだ証拠が足りなさ過ぎる。

「もっと証拠が必要だ。何処かにヒントみたいなのが無いか探してみようぜ」

ハックリーにそう言われてネイトも倉庫の中を探し出す。すると1枚の気になるメモを発見した。

「ハックリー、これは?」

「ん? おお、これはこれは! 奴等の書き残した重要なメモじゃないか。えーっと何々……?」

2人はそのメモを読み、次の目的地を決定する。

「ラテンアメリカ記念公園……」

「よっしゃ、そこに向かえば何か分かるかもしれないな。行ってみるとすっか!!」


と言う訳で倉庫を出た2人はそのままラテンアメリカ記念公園へとやって来た。

ここはラテンアメリカの文化連帯の表現を目的として1989年に開園した公園で、様々な施設が存在している。

その中の1つである図書館の内部において、武器の受け渡しが行われると言う事があの残された

メモに書いてあったのだ。

「うっひゃー、ここは凄い広いな!」

「ああ、気を抜くと迷いそうだ」

公園自体はそんな建造物を幾つも園内に立てているので敷地面積もかなりのものとなっている。

「とにかく図書館だ、行ってみよう」

ハックリーが先導する形で、ネイトも図書館を目指して歩き始めた。


だがその図書館に辿り着かせまいとする連中が。いきなり2人の目の前にバラバラと何処から

とも無くまるでゴキブリの様に湧き出て来る。

「はっ、おでましかっ!」

好戦的な発言をするハックリーを気に留めず、ネイトは黙って愛用のハンドガンを構える。

「俺は右へ行く」

「じゃあそっちは任せる……ぜっ!!」

二手に分かれて、ラテンアメリカ記念公園の中は一気にバトルフィールドへと早変わりした!!


エリア3

2人は近くの物陰に隠れ、ヒットアンドアウェイ作戦を繰り返しながら順調に、そして確実に

図書館へと近付いて行く。そうしてあらかた敵を片付けてから、改めて2人は図書館を見上げた。

「図書館らしくない」

ネイトがそうボソッと呟いたのを見て、ハックリーもそれに同調する。

「ああ。一見すると図書館には見えないな。図書館って言うよりも博物館とか

コンベンションセンターって言うイメージが強いがな……」


そんな図書館らしくない建物ではあるが、この入り口にはポルトガル語で図書館と言う表記がある。

2人はポルトガル語は余り理解出来ないが、それでも何とかその表記を読み取って

図書館の中へと足を進めて行く。

だがその図書館の中で、2人は武器の取り引きを止める事よりも更に厄介な出来事に

巻き込まれてしまう事になるのであった。

「うっしゃー、行くぜぇ!」

(熱いなー、この人)

そんな事等今の状況で思いもしないハックリーは気合を注入し、そんな彼をネイトはクールに

横目で見ながら警戒しつつ入り口の扉を開けた。



ステージ2:遭遇

エリア1

観光へとやって来た仁史、真治、スティーブの3人はここ、ラテンアメリカ記念公園の図書館へと

やって来た。だが英語は理解出来てもポルトガル語が分からない。

この図書館の中では実に90パーセント以上がポルトガル語であり、当然置いてある本も

ポルトガル語の物ばかりである。

そんな光景に早くも飽きて来た仁史が一言。

「ここって観光目的には造られてないみたいだな」

「ああ。どっちかっていやあここは町の図書館みたいな感じで市民が利用する所かもしれないぜ。

いや、きっとそうだ」


それに続いたスティーブのセリフに真治がこんな一言を。

「だが、建物自体のデザインは良い。図書館とは思えない所だ」

「ああー確かにそうかもな。ここって一見すれば図書館には見えないし」

事実、外から見た感じでは図書館とは思えない。なので入ってみた3人だったが

特に読みたい本も見当たらないしポルトガル語もやっぱり分からないので早々に退散する事にした。

「図書館の前で記念撮影でもするか?」

「そうだな」

写真のバックの建物としての利用価値はあるのでそうしようと意見が纏まったのであったが、

そんな記念撮影をさせない様にしてしまう事態がこの後3人に襲い掛かる事になってしまう!


エリア2

まずは図書館の外へ出ないと始まらないので外へ出ようとしたのだが、ここである違和感に気がつく。

「……やけに静かだ」

ポツリとそう呟いた真治にスティーブが続ける。

「ああ、何か変だな」

「俺もそう思う。図書館は静かだが、これは静か過ぎるぞ」

仁史はそれに加えてそれだけでは無い違和感も覚えていた。

「それに……人の気配は在るんだがどうにも違和感が拭えないのは何故だろうな」


他にも利用客が居た筈なのに、今は誰も周りに本を読んでいる人がいない。しかし人の気配はする。

「気味悪いぜ、さっさと出よう」

得体の知れない恐怖を感じたスティーブが2人を促して外へ出ようとしたが、その瞬間下の方が

にわかに騒がしくなった。

しかもその騒ぎの中には銃声が明らかに聞こえて来る!!

「お、おい……」

「明らかに銃声だ、隠れろ!」

「俺とスティーブは様子を窺う!」

仁史を本棚の死角に隠し、実際の戦場での経験がある2人がこっそりと様子を窺う事になった。


エリア3

「まずいな……」

「ああ、とても厄介だ」

様子を窺って戻って来た2人は仁史に簡潔に状況を伝える。何でも得体の知れない武装集団と、

2人の男が銃撃戦を繰り広げているとの事であった。

「何でだよ……何でこんな場所で銃撃戦が?」

真治とスティーブに問い掛ける仁史だが、真治はそれでも冷静に答える。

「さぁな。ただ1つ確かなのは、今の俺達は相当危険だって言う事だ。出来ればこっちに事態が飛び火しない内に

別の出口を探して逃げるぞ」

「合点だ!」


なのでさっさと銃撃戦に巻き込まれない内にこの図書館から脱出しようと、銃撃戦の音がしない方向へと

3人は駆け出した。ただひたすらに。

「何でこんなブラジルまで来て銃撃戦に巻き込まれなきゃいけないんだ。真面目に勘弁だぜ!」

「全くだな!」

「旅行が台無しになる前に逃げるぞ!」

3人はそれぞれ以前にも銃撃戦に巻き込まれた事がある。スティーブと真治はアメリカ軍の陰謀関係で

巻き込まれ、仁史はVSSEと言う組織のミッションに半ば巻き込まれる形で参加してしまった過去がある。

その情報はこの3人の中で共有しており、その時の事を今の3人はそれぞれ思い出しつつ苦笑いも浮かべながら

目の前に階段を見つけたのでそこへと飛び込んだ!!



ステージ3:決着、そして……

エリア1

図書館の中で銃撃戦を繰り広げ、VSSEにとっての宿敵であるワイルドドッグも倒した2人は

彼の自爆から逃れて図書館の奥へと足を進めて行く。そしてその図書館の奥に待ち構えていた

敵のリーダーらしき大男を追いかけていた。

「絶対逃がすなよ、ネイト!!」

「ああ!」

戦況的に不利と悟ったのか、大男はショットガンを2人に向けて時折乱射しながら走り続ける。

そしてショットガンの弾が2人の足元に突き刺さる!

「うお!」

「おっと!」


ギリギリで2人は回避する事に成功したが、それで一気にアドバンテージを広げられてしまい

目の前に見えて来ていた大きな扉を閉められてしまう。

「オラァ!!」

ハックリーはその扉目掛けてダッシュからの跳び蹴りをかましたのだが、何と扉はびくともしない。

どうやら扉の向こうで大男が自分の身体で押さえつけているのか、鍵を掛けられたか、はたまた別の何かで

ロックをしてしまったのかと言う事であろうか。とにかく扉は2人掛かりでも開きそうに無かった。

「駄目だ、別のルートを探そう」

「そうだな、行くぜ!」

しかし2人が駆け出して行った後ろのその扉の奥では、とてつもないバトルが繰り広げられていた……。


エリア2

「ぬおお!!」

日本からやって来た3人組は、自分達が入って来た入り口とは真逆の方にある出口までやって来た。

そこは2階までの吹き抜けのホールになっており、開放的なイメージがある。

「よっし、出口だ!!」

しかしそう叫んだ仁史を先頭に階段を下りて出口へと突っ切ろうとした瞬間、いきなり彼等の

目の前に銃弾が着弾する!

「うおっ!?」

思わず叫び声を上げた仁史が銃弾が発射されて来た方向を見てみると、そこには黒髪を

角刈りにした大男がショットガンを構えてこちらを見据えていた。


その大男は3人に向けてショットガンを立て続けにぶっ放して来る。

「くっそ!!」

どうやらこの大男を倒さなければここからは出られなさそうなので、3人は協力して数で優勢な

状況を利用してショットガンの大男に立ち向かう。

相手は飛び道具を持っているが、ここは広いホールなので動き回っていればそうそう銃弾が

当たる事は無いと踏んで勝負を仕掛ける。

しかし余り時間をかけたくないので短期決着を狙う事に。


まずはスティーブが派手に動き回って大男の目を引き付け、ショットガンを発砲して来るのでそれを

地面に転がって避ける。その銃弾の後ろからは大男が全身でぶつかって彼を扉目掛けて一気に

押さえ込もうとしていたのだが、失敗してそのまま自分だけ扉に突撃するは目に。

「ふっ!」

次は大男の視界の外からいきなり真治がやって来て、大男の背中に右ミドルキックをかます。

大男は時計回りに身体を回転させつつショットガンを棍棒の様に振り回して来たが、そのショットガンを

屈んで避けてそれを持つ右手を両手で掴み、左手も同時に右足で押さえ込んで真治は大男の動きを封じる。

「今だ!」


その真治の声に反応した仁史が横から現れて、扉の横の壁を使って三角飛びをしながらの後ろ蹴りをかまし、

繰り出した右足は大男の顔面に当たる。

そしてそれを見て、先程転がって緊急回避をしたスティーブがダッシュからの渾身のドロップキックを大男の胸へ

入れると、背後の扉の鍵が壊れて少し開いた。

「ぐへぇっ!!」

連係プレイで大男を追い込むアメリカ軍人と警備員と傭兵のトリオの中で、止めを刺したのは仁史の膝だった。

「おらああああっ!!」

雄叫びを上げて、ムエタイの様な強烈なダッシュ膝蹴りを全力で大男の胸から腹にかけてぶつける。

「良し、やったぞ……」

そう呟いた真治の束縛から解放された大男は昏倒し、背後で開いた扉にもたれかかる様にズルリと崩れ落ちた。


エリア3

これでようやくこの図書館から出られる……と思い、3人は出口に向かって歩き出そうとしたのだが、

その3人の目前にまたもや銃口が突きつけられた。

「動くな」

「なっ……!?」

あっけに取られる仁史だったが、その横から素早く反応した真治とスティーブが2つの銃口を

自分達に向かない様に体術で対抗する。

だが銃口を突きつけて来た2人もなかなか腕が立つ様で、真治と茶髪の男、スティーブと金髪の男が

それぞれ小競り合いをする事になった……のもつかの間。


「お、俺達はこの男とは何の関係もねぇよ!! ただの観光客だ!!」

仁史がそう叫ぶと、その瞬間銃口を向けて来た男2人の動きが止まった。そして次の瞬間、

茶髪に黄色いコートを着込んだ男の口から信じられない単語が飛び出て来た。

「何だと? だったらあんた等は俺達VSSEの敵じゃないって事か?」

「えっ、VSSE……!?」

まさかその単語は、と仁史は思いつつ4人に小競り合いを止めてもらってお互いに1から状況説明。


その結果、彼等2人は前に仁史が関わった事のあるVSSEのエージェントの、ハックリーとネイトと言う

人物である事が分かった。

そして日本からやって来た3人組の方も素性と事情をVSSEエージェントの2人に話し、誤解が

ようやく解けてこの事件は幕を下ろした。

大男の身柄はVSSEへと輸送され、3人組は3人組で簡単な事情聴取を更にVSSEの2人から

された後で再びサンパウロを始めとするブラジル旅行へと戻るのであった。

願わくば、自分達が帰国して自分達のそれぞれの家に辿り着くまでに、もう2度とこんな事に

巻き込まれる事などありません様に、と願いながら。



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