TC小説5作目(最終話)

(時代設定は2007年8月くらいです。なのでキャラの設定もそれに合わせてます)


〜登場人物紹介〜

キース・マーティン

ロバート・バクスター

西山 貴之(にしやま たかゆき)





プロローグ:ミッションスタート

ここはドイツ。キースとロバートの今回のミッションの舞台はここだ。

「さて、行くとしますか」

「そうだな。でも、熱くなって注意力を乱すなよ。ロバートはそれが唯一の心配だからな」

「またその話かよ。いつも聞かされてるから耳にタコが出来てるよ


実際心配だ。ロバートは熱くなると周りが見えなくなって突っ走ってしまいがち。

それを止めるのはいつもキースの役目だ。


「ま、あんたは俺の一番信頼している相棒だ。今回もよろしく頼む」

「おう、任せろ!」

(この意気込みがいつも心配なんだけどねぇ……)

2人の目の前には森林が。ここを抜けたら敵のアジトがあるはずだ。2人はアイコンタクトをし、森林へ足を運び始めた。



ステージ1:協力者

エリア1

森林の中では交戦状態になることはなく、アジトに着いてから交戦状態に入った。

アジトは2階建て。ここのどこかにボスがいるはずだが…。

「そっちは任せた!」

「おうっ!」

威勢のいい返事を返し、ロバートはキースと二手に分かれ突き進む。


長年コンビを組んで来ていると、こういう作戦も何回もあった。

この2人にとってはもう手馴れたもの。上手い具合にそれぞれのルートで敵を倒し、合流した。


しかし、ここにボスはいなかった。

倒した奴の1人からボスの居場所を聞くと、この近くにある公園の駐車場へ向かったのだとか。

「チキショー、一足遅かったか!」

「ともかく急ごう。まだ追い付けるかもしれない!」

キースとロバートは駐車場へ向かった。


そして、走って行く内に駐車場が見えてきた。そこには確かにボスと思われる人影と、何人かの部下がヘリで逃げようとしているところだった。

「待てっ!」

「止まれ!」

2人は叫んだが、奴らはヘリで飛び立ってしまった。

「くそっ!」

銃撃も届かない。何か無いかと周りを見渡すと、1台の車が目に入った。


エリア2

それは黒いめちゃくちゃ派手な車。その車の横にはドライバーと思わしき男が1人。

「おい、警察だ! 車を貸せ!」

「な、何だあんたら?」

「いいから車を貸してくれ! あのヘリを追いたいんだ!」

「あのヘリを? わかった、じゃあ乗ってくれ! 俺はドラテクは自信があるからな!早く!」

「…すまない!」


自分達で運転することにはならなかったが、今はこの男を信じるしかない。

「よし、行くぞ!」

エンジンをかけ、1速に入れてアクセル全開。


「おっ、曲がれ……!」

市街地を駆け抜けてヘリを追っていく、黒いトヨタのセリカXX(ダブルエックス)。

しかもこの男、かなり運転が上手い。

「あんた、運転うまいな!」

「ああ、これでも結構日本じゃ名が知れてるからな! あ、俺自己紹介してなかったな。貴之。西山 貴之(にしやま たかゆき)だ」

「ロバート・バクスターだ」

「キース・マーティンだ、よろしく。とにかく追いついて欲しい」


エリア3

西山と名乗った男はとにかく運転も凄いが、車の性能も凄い。あっという間に100キロに達したかと思えば、

そのまま加速し続けて200キロを楽に超えるセリカ。ヘリをここまで見失わないでついて行けている。

(凄いな……このセリカ、600馬力は出ているか?)

ロバートは乗り物全般に詳しいので、このセリカの戦闘力を分析してみた。


すると、ヘリが高度を下げていく。

だが何と次の瞬間、こっちにヘリが向かってきた!

「何!?」

「まずい、回避してくれ!」

「わかった!」

左にハンドルを切って突進を回避。このセリカは目立つ。多分相手も気が付いていたのだろう。

キースとロバートは窓を開け、キースは助手席から、ロバートは西山の前からハンドガンを構える。

西山にとってはいい迷惑だ。

(邪魔だ…ハンドル握りづらいな)


そんな事はお構いなしに、またヘリが突進してきた。そこからギリギリまで引きつけ、パイロットめがけて何発も発砲。

西山はぶつかる直前で何とかギリギリ回避した。

どうやらヘリのパイロットに当たったようで、ヘリはフラフラと落下していった。



ステージ2:ザ・ナイト

エリア1

「なぁさっきから何なんだよ、あんたら。どういう組織の奴なんだ?」

「俺らは…刑事だよ」

「ああ。とある武器密輸組織を追っているんだ」


「うーん…そっか。わかった。とにかくあんたら悪い人じゃなさそうだな。私服刑事って所か」

((ふー……危ない危ない))

何とかごまかしきれたようで、2人は内心ほっとしていた。


現在、西山のセリカはアウトバーンを爆走している。現在の時速330キロ。それでも全然、不思議と怖さを感じない。

車自体がかなり古い物のはずなのに、振動が一般車に比べて少ないのだ。

その代わり、乗り心地はあまり良いとは言え無い。


何故爆走しているのかというと、先ほど撃ち落としたヘリは囮。

ボスはあのヘリが時間を稼いでいる間に違うところに行ったのだと、あのヘリに乗っていた奴が白状した。

というわけでアウトバーンを越えた先にある、つぶれた工場へと向かっていた。そこが取引現場になるらしい。


エリア2

「大体事情はわかった。あんたらとはここでお別れだが、その…頑張ってな。俺も元刑事だったから悪は許せねぇ。

だが今日は武器がない。すまないが協力は出来ない」

「いや、あんたのその気持ちだけで凄く嬉しい。ありがとう。……よし、行くか」

「おう!」


キースとロバートは目の前にそびえ立つ廃工場に向かって歩き出した。……だが。

「うあっ!?」

いきなり西山の足下に銃弾が飛んできた。

「チッ、囲まれたか!?」

「とりあえずここはまずい、こっちだ!」

キースとロバートと一緒に、西山は行動せざるを得なくなってしまったらしい。


エリア3

「そっちだ!」

キースとロバートは西山を連れて、廃工場の中で戦闘をしていた。

(個々はたいしたこと無いが、数が多いな…厄介だ)

西山はしっかり隠れて身を守る。西山は元刑事だが、相手が銃を持っていては迂闊に手出しも出来ない。

「くそっ、まずいな」


そんな中、西山は疑問を抱いていた。

(…あいつら、刑事じゃない気がする。だって……あいつらからは硝煙の匂いがプンプンだ。日本ではめったに発砲する事ないし、

アメリカとかでは発砲はするが、あそこまで匂いがきつくないと聞いたことがある。多分、身分を偽ってるんだろう)

西山は元刑事のカンを信じ、2人は刑事ではないと予想した。

(大方、恐らく人には言えない組織に属しているとか…かな)

……刑事のカン恐るべし。


ここにはボスの姿はないようだ。この工場は3階建て。

2人は1階で激戦を繰り広げた後、西山を隠れさせたまま2階へと駆け上がっていった。いよいよ佳境だ。



ステージ3:2vs3

エリア1

2階へ駆け上がった2人は再び出てくる敵を倒していく。この工場は1階から3階まで吹き抜けになっているため、

1階からもまた新たに敵が出てくる。

そこもしっかり見落とさず、キースとロバートは下に向けて発砲。


その様子をこっそり見ていた西山は思わず心で呟く。

(ただ者じゃないな。これだけ大勢の連中をたった2人で相手に出来るとは。しかも、刑事だったら応援を呼ぶはずなのに……やはり刑事じゃないな)

もう西山は確信しているらしい。キースとロバートが刑事ではないと言うことに。


だが、その時だった。2階から爆発音が聞こえてきたのと、入り口に1人の男が現れたのは。

西山はキースとロバートの方を見るが、2人は入り口の男に気が付いていない。

明らかに男はキースとロバートを銃で狙っている。このままでは危ない。


とっさに西山は飛び出し、男を掴む。

「な!?」

「はっ!」

そのまま一本背負いを決め、男が落としたマシンピストルを拾い、遠くへ投げ飛ばした。


エリア2

「貴様は…まだ生きていたのか?」

「ふん、いつになったらくたばるんだ?」

「悪いが、俺はまだまだ現役のつもりだ」

「そうかよ。だったらとっとと引退することをお勧めするぜ、ワイルド・ドッグ!」

2人の前に現れたのは、長年の宿敵。


そして西山は、一本背負いを決めた男と対峙していた。

「こっそり狙うのは卑怯だろ?」

「なんだテメェ? 俺らの仕事を邪魔する気か?」

「ああ、その通りだ。それにしてもあんたのコート面白いな。背中に「牙」だと?」

「ありがとう。まぁ、俺はその通り、ワイルド・ファングってもんだ。以後お見知りおきを」

「ほー、そーか。じゃあ、俺はザ・ナイトだ」


そう言って西山は、ファングに向かって構えを取った。

「ははっ、こりゃおもしれぇや。だが俺らの仕事を邪魔される以上、邪魔者は消さなきゃならないんでねぇ?」

「わかった。俺も立ちはだかる敵は全て倒す。向かってくる敵も倒すのみ! それだけだ!」

ラストバトルが2つ同時に、違う場所で始まった。


エリア3

戦いは3階へ。ドッグの攻撃は今回、ガトリングとモーゼル。トラクタービームは無い様子。

(年齢の衰えを感じさせないか)

ドッグの年齢に似合わない俊敏な動きを見ながら、キースは心の中で呟いた。

(凄いな。でも、何処かに必ず弱点があるはず!)

ロバートも隠れつつ、ドッグの弱点をなんとか探し出そうとする。

すると、モーゼルをリロードする時に若干のもたつきがあることが発覚。キースはそこを見抜き、リロードする時に冷静に撃ち込んだ。

「ぐっ!」

ふらつくドッグ、そこにロバートが続けて撃ち込み、バランスを崩したドッグは下へ落下していった。

キースとロバートもそこで飛び降りた。


少し時間を巻き戻し、西山とファングの戦い。

西山が刑事時代から、警察署の道場で特訓してきた一本背負いを決めれば、ファングが回し蹴りで反撃。

銃を持ってないにもかかわらず、2人は互角に戦う。

今回、ファングのトラクタービームは無い様子である。長引かせるとまずいと思った西山。しかし相手も手強い。

そこでとった方法は1つ。

西山は真っ正面から踏み込んでミドルキックを腹に。そのまま怯んだところにボディブローを何発かかまし、ファングが立て直してくる前に胸倉を掴みあげる。

最後はまたもや一本背負いで決めたのだった。


そして、ファングが投げ飛ばされて落下したところに、上から落ちてきたドッグがぶつかった。

ドッグとファングの師弟コンビはそこで終了。だがドッグは例のスイッチを取りだし、不敵に笑い出した。

「まずい! おい西山、逃げるぞ!」

「え…え?」

「ほら早く!」


走り出す3人。その後方で爆発が起こり、続けて工場内の至る所で爆発が起こっていく。どうやら工場もろとも爆発させる気だ。

「お…お……!」

「くそっ!」

3人は走った。力の限り走り、工場を脱出してようやく一息つけた。

「はぁ…はぁ! せっかくの楽しいはずの旅行が、こんな事になるなんてな!」

キース、ロバート、西山は互いにハァハァ息を切らせつつ、燃えさかる工場を見ていた。


その後、セリカでキースとロバートは空港まで送ってもらった。

「それじゃ、またな」

「協力に感謝する」


だが最後に、西山はこんな疑問をぶつけてみた。

「……あんたら、本当は刑事じゃないだろう? 地元の刑事ならここに残るはずだ。バッジを見せてくれ、と言ったら見せられるか?」

「…いいや」

「確かに、あんたは元刑事みたいだな。勘が鋭い」

「ああ。恐らくあんたらは人に言えないような組織に所属してるんだろう」


「……俺らは・・」

ロバートが自分たちの正体をばらそうと口を開く…が、それを西山は手で止めた。

「いや、人には誰でも秘密がある。そこはあえて聞かない。俺だって、今日の事人には話したくないからな。それじゃ、また何処かで会えたら会おう」

そう言って西山は去っていった。


その後ろ姿を見ながら、キースとロバートは西山の心遣いに感謝していたのだった。



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