TC小説4作目
(時代設定は2007年9月くらいです。なのでキャラの設定もそれに合わせてます)
〜登場人物紹介〜
プロローグ:出発
今回の舞台は、ここサンフランシスコ。ここで大がかりなテロが起ころうとしているとVSSEに情報が飛び込んで来た。
そこで派遣されたのはこの2人。
「はあ、まだまだ暑いな。ジャケット脱ぎたいぜ」
「仕方ないだろう」
もう中堅エージェントになろうとしているアランとウェズリーだ。そんな2人の前には大きなビルが。ここが奴らの本拠地らしい。
「よっしゃ、行くぜ!」
相棒のウェズリーと共に、アランはビルに向かって駆け出した。
ステージ1:髪の色がすごいぞ
エリア1
中へと飛び込んだ2人はまず、中の様子を窺う。そうしていると、バタバタと慌ただしい足音が聞こえてきた。
「へへっ、おいでなすったみたいだな」
あちこちから武装した兵が姿を見せると、2人は物陰に隠れてハンドガンを取り出した。
(行くか)
2人は目を合わせてアイコンタクト。そして飛び出しつつ散開。
順調に相手を殲滅させていく2人。
この郊外にあるビルの中はオフィスがいくつも作られているが、ここは敵のアジト。おそらくここでテロの計画を立てているはずだ。
(絶対に俺らが止めてみせる!)
アランは心の中で意気込んだ。このビルは全部で6階建て。現在2人は2階で交戦中。
(アラン、そっちは任せる)
目と手でウェズリーはアランに合図を送り、後ろをカバーするように指示。アランはウェズリーの意図を読み取り、ウェズリーの背中をカバーする。
この2人のチームワークはVSSEでも一目置かれているほどで、上層部も信頼している。
「こっちは良いぞ」
「こっちも良いぜ。次行くぞ!」
奧にあるオフィスのドアを開ける。そこは今までのオフィスとは少し違い、やや広め。
そこでも2人は襲いかかってくる敵を倒していくのだが、次の瞬間悲鳴が。
「や……やめてくれ、撃たないでくれぇ!!」
エリア2
アランとウェズリーは悲鳴を聞きつけ、敵を一掃してから聞こえた方へと向かう。
そこにいたのは変わった髪の色をしている男が1人。
アランとウェズリーを見たその男は、泣きそうな声で2人に問う。
「も……もう大丈夫か?」
「ああ。あんたは一般人なのか?」
「そ、そうだ!」
「とりあえず顔を上げてくれ」
ウェズリーは顔を上げるように指示。
顔を見ないことにはどんな奴か判別ができない。ましてこの男が敵の仲間であって逃げられでもした場合、顔を覚えておけば有力な情報になる。
「じゃあ、顔上げるけど…撃たないでくれよ」
緑の瞳にやや老け気味の顔。東洋人か。
「ああ。とりあえずあんたをここから逃がさないとな。俺らについてきた方が安全か?」
「まだ敵か味方かわからないが、とりあえずはここから脱出させなければな。それまでは俺らが守る。うかつに動くと危険だ」
「…ああ、わかった。この命、あんたらに預ける」
これから果たして、3人はどうなるのだろうか?
エリア3
「戦闘はまかせろ。あんたは自分の身を守れ」
「合点だ」
「来るぜ!」
鳴り響く銃声。相手側のお出ましだ。
男は舌打ちをして、心の中で悪態をつきつつ近くの柱の陰へ。
(くそっ!)
一目散に柱の陰に飛び込んだ男を横目で見つつ、2人は相手を倒して行く。男は隅の方で小さくなりつつ、事の成り行きを見守る。
飛び交う銃弾、敵の悲鳴。そして止んだらすぐ、アランとウェズリーの後に付いていく。
そして銃弾が飛んできたらすぐ物陰へ。この繰り返しでまずは出口へ。
ここまでは完璧だ。男を無事に出口へ……と思われたが!突然出口に人影が1つ現れた。
「悪いがそうは行かないな。そこの男をこっちに渡してもらうとしよう」
「なんだてめぇ!」
「ここの幹部だよ。そこの男は知ってしまったんだ。表向きは車の部品会社だが、裏でやっていることをな」
「……」
東洋人の男は前へ出ようとするが、それをウェズリーが手で制す。
「危険だ。下がっていろ」
男は素直に後ろへ引き下がった……と思ったが。
「あれ?」
男の目線は声と同時に、幹部の後ろ側へ。
「おーいこっちだ!」
男は幹部の後ろ側に向かって手を振る。幹部はそれに反応し、思わず後ろを振り返ってしまう。
つまりそれは大きなミス。
「ぐあ……こんな初歩的なトリックに引っかかるとはな…!」
人間は大抵、自分の後ろに何かがいると感じると、後ろを振り向いてしまう。男はその習性を利用し、男をアランとウェズリーに撃たせた。
「はぁ…まさかと思ったが、引っかかってくれてよかったよ。それじゃ俺帰るよ。めぼしいパーツは見あたらなかったし、特に話すことも無い」
「あ……ああ」
男は1階まで護衛してもらい、ビルの外に出て、そのまま去っていった。
「さて、上へ行くぞ」
「よっしゃ!」
ステージ2:ザ・ビショップ
エリア1
2人は3階に駆け上がる。相変わらず相手の攻撃は厳しいが、そこはこれまで培ってきた経験をフルに使って対処。
余裕、とまでは行かないが、それでも快調なペースである。
「ふう…あらかた倒したな」
「次に行くぞ」
ここら辺は武器の製造工場のようだ。オフィスを改造し、丸ごと武器の製造工場にしてしまったようである。
それだけに部屋が広い。隠れる場所が多いのだが、それは相手も同じ。
どこから銃弾が飛んできたり、相手が奇襲をかけてくるかわからない。
(すげぇな、丸ごと1つの部屋にしたのか、3階は)
内心アランは感心しつつ、それでも注意力の低下に気をつけてゆっくり、しかし確実に現れる相手を倒していく。
(1つの部屋になっている分、奇襲がかけにくい、と言うのがあるが…それでも遮蔽物の多さには戸惑うな。気をつけないと)
ウェズリーもこのフロアは戸惑っているようだ。
エリア2
なんとか3階を制圧し終わり、続いて4階。ここも先ほどと同じように武器工場になっていた。
(だんだん慣れてきたぞ。そして、どこから敵が出てくるのかも大体見当がついたぜ!)
アランは即座に目星をつけたところを狙って銃弾を撃ち込む。すると見事にそこから出てきた敵に当たり、奴は倒れた。
ウェズリーの方もだんだん慣れてきたようだ。
彼もまた、目星をつけて出てきた敵を倒していく。この2人の状況適応能力は凄い。
…だが、次の瞬間だった。
「お、オイちょっと待った! 撃たないでくれーっ!」
アランとウェズリーが声のする方に振り向くと、そこにはさっき別れたはずの男の姿。
捕まってしまったのだろう。
そして、その後ろには…!
「また会ったな?」
「…チッ、またあんたか。いい加減に引退したらどうなんだ?」
「そうもいかないんだよ、俺は。悪いが今回も相手をさせてもらうぞ。人質もいることだしな?」
「行くぞ、ワイルド・ドッグ!」
宿敵とのバトルが、また始まった。
エリア3
今回は人質を取られている。どうやらあの男も一般人のようだ。部屋が広い分、あまり遠くに行かれると狙いがつけにくくなる。
かといって近づきすぎるとトラクタービームの餌食になる。
難しい相手だ。トラクタービームはジョルジョとエヴァンの事件で知ったので、対処法は知っているのだが・・・。
「くらえっ!」
大きなデスクを投げつけてきたドッグ。武器工場になっているので爆発物もある。
ウェズリーはドッグの側にある、油の入ったドラム缶を撃とうとしたが…出来ない。もし引火して爆発すれば男にまで被害が行きそうだ。
(くそっ)
ウェズリーは小さく舌打ちをし、ドッグの攻撃が止んだところで近づいていく。
しかしその時異変が起こった。何と男がドッグの腕を強引にふりほどき、こっちに向かって走ってきた。
「何っ!?」
慌ててモーゼルで男を撃とうとしたが、それを察知したウェズリーが完璧な狙撃でモーゼルをはじき飛ばす。
続けてアランがドッグの側にあるドラム缶を撃つ。そして…!
「……!」
刹那大爆発が起こり、ドッグは炎の中に消えていった。
ステージ3:全てを終わらせろ
エリア1
「ふう・・やれやれだぜ」
さっきの男を連れて、部屋の外に出たアランとウェズリー。
その2人にさっきの男は自己紹介をする。
「助かったよ、ありがとう。…俺は星沢 慎太郎(ほしざわ しんたろう)っていうもんだ」
「アラン・ダナウェイだ。こいつはウェズリー・ランバート」
「ウェズリーだ。よろしく」
「あんたら…刑事か? それともうお!?」
星沢が言葉を言い切る前に、3人の足下に銃弾が飛んできた。
「まずいな。あんた大丈夫か? 歩けるか?」
「大丈夫だ」
「そうか。なら少し俺達に付き合ってくれ。必ず無事にここから脱出させる」
「わ…わかった。俺銃持ってないからまた物陰にでも隠れてるよ…交戦状態になった時は」
「頼むぜ」
ここに彼を残しておくと危ない。今は星沢を連れて行くしか方法がなさそうだ。
アランとウェズリーはこのまま5階へ行くことにした。
エリア2
5階はまたオフィスに戻る。敵の攻撃も厳しくなってきた。
要するに敵の攻撃が厳しくなってくると言うことは、何か守らなければならない物があると言うこと。
「さっきより敵の攻撃厳しくなってないか?」
「ああ。気をつけてくれ」
星沢に注意を促し、進んでいくアランとウェズリー。
5階は星沢がやられないように注意して進んでいく。
オフィスが1階と2階に比べるとかなり広くなっているため、3,4階で培った戦い方を応用して進んでいく感じだ。
といってもデスクなど隠れる場所が多くなっているため、敵にとってもこっちにとっても好都合といえば好都合だ。
星沢にとっても隠れる場所が多くなったので、少し気持ちに余裕ができた。
と、ここで星沢がある物を発見。
(ん? あれは角材か?)
ホームセンターでよく売っている木の角材。一般的な鉄パイプ程度の長さだ。何かに使えるかもしれないと思い、星沢は持って行くことにした。
(これくらいの長さなら……ちょうど良いか)
「ん? なんだそれ?」
「ああこれ角材。武器になるかと思って持ってきた」
「危険だぜ」
ウェズリーは頭(かぶり)を振った。しかし星沢は自信たっぷりに答える。
「俺は剣道の有段者だ。三段持ってる。だから素手で向かってくるような奴とか、銃じゃなくてナイフ持ってる奴とかなら戦えるぞ。
まぁ、どっちかというとナイフとか持ってる方が、動きが読みやすい分戦いやすいんだけど」
「…ほどほどにな」
アランもウェズリーも星沢の演説に観念し、6階へ進んでいくことにした。
エリア3
6階に上がり敵を倒していく。そして3人は今、このテロ計画を引き起こそうとしていた奴と対峙していた。
「クソ…俺の計画を邪魔しやがって!」
「悪いが俺ら、平和を愛する者なんだよな。だから悪いが、あんたにはここでくたばってもらう」
「フン……おいお前ら、お客さんだぞ!!」
ボスが声をかけると、また新たに敵の増援が。そしてボスはコンバットナイフの二刀流で襲いかかってきた。
「くそっ!」
だが、ここで星沢がアクションを起こす。
「あのナイフ野郎は俺に任せろ!」
それだけ言うと、ウェズリーの制止を振り切って星沢は角材を握ってボスに向かっていった。
「お、おい無茶だよせ!」
「二刀流とはな。だが俺は剣のプロだ。負けるわけにはいかないんだ!」
「面白い、かかってきやがれ!」
ボスがじりじりと迫ってくる。星沢はじっくりとボスを観察。
(二刀流は威力が小さい分隙がない。こっちは一発の破壊力に欠けなければな)
そして相手がナイフを振り上げる。そこを狙って男の腋(わき)に角材を入れようとしたが、それはフェイント。
(やべっ!)
「もらった!」
慌ててとっさに距離を取ったが2回斬りつけられる。更にそこに足払いをかけられ、仰向けに倒れ込む星沢。
……でも、このままやられては芸がない。きっちりこのお返しはするつもりだ。
「終わりだ!!」
星沢にナイフが振りかざされる。
…しかし星沢はこの瞬間を狙っていた。
相手が全精力をもって1つをめがけて2つのナイフを振るってくる時を。
目を見開いた星沢は角材で、寸前で全力の攻撃を食い止めた。
「なっ!?」
「終わるのはそっちだぜ!」
ナイフを受け止めたままの体勢で相手の足を払い飛ばす。そのまま倒れ込んだ相手を尻目に起きあがる星沢。
そして相手が素早く起きあがってくるところを見計らって、渾身のドロップキックをかました。
「うぐあっ!」
ボスは後ろにあった窓を突き破り、真っ逆さまに下に落ちていった。これで全てが終わったのだった。
「・・・お、おい?やったじゃねえか!」
「恐れ入った」
「ああ、俺は勝った。俺は強いんだぜ! 見たか! はっははーっ!」
その後、ボスの身柄と数々の証拠品をVSSEに送り届け、
星沢に空港まで彼の愛車のトヨタ・マークKで送り届けてもらったVSSEの2人。
「それじゃあな…」
そして星沢は興奮のあまり、その夜は飛行機の中で、よく眠ることができなかったという。
完