Secret Data Battle第10話(最終話)


「っ!?」

だけどキースは日本刀を起き上がり様に渡辺に突き出し、それによって渡辺は身を退く。

その間に素早く立ち上がってハンドガンをキースは撃つが、渡辺は銃口の向きを勘で察知して

素早く転がって回避。転がった先にあったキースの両足を掴んで、ジャイアントスイングを

かまして盛大にコンテナにキースを背中からぶつける。

「ぐぇ!!」


今のは流石に効いた様で、キースの動きが明らかにスローモーションになる。

そんなキースを見た渡辺は、うつ伏せに倒れたキースの肩を素早く引っ掴んで立たせて

パンチの連打を入れようとしたものの、キースはその肩を掴む両手を肩を素早く動かして弾き、

コンテナの方に向かって両手で突き飛ばし、距離が開いた所でさっきのお返しのミドルキック。

そしてハンドガンを突きつけて終わり・・かと思いきや、突き飛ばされた渡辺は背中にコンテナが

当たる瞬間に手と足を使ってコンテナを使って勢いをつけてキースの方に身体を跳ね返し、

一気に接近した所で顔面に全力のストレートパンチ。

「ごあ!!」

思いがけないカウンターアタックにキースの身体がもう1度地面に倒れ、今度こそと思い渡辺は

キースを立たせてキースの腹に5発ボディブロー。

続けて右のストレートをもう1度キースの顔面に入れ、最後に左のフックパンチでキースの身体をぶっ飛ばす。

「ぐおっ!!」

キースはきりもみ回転しながら地面に叩き付けられ、起き上がろうとしたものの身体に力が入らず断念。

渡辺の勝ちだ。


「そこまで。……の、ようだな。約束のUSBだ」

なんとか立てている様子の渡辺に近づき、USBを渡す。

キースが伏せていることをいいことに、ざま見ろと言わんばかりにこっそりと舌を出す。

いろいろと憤慨を感じているところがあったからだ。

それを見ていた渡辺とファーレアルに対しては「言外しないでくれ」と伝えるように人差し指を

口に当てるジェスチャーをする。

「ほら、帰るぞ。……っあんた、重いな…」

ふらつくキースを肩で支え、「次はできれば普通に会いたい」と片手を挙げ、溜息をつきながらヘリへと戻っていった。


(何か色々たまってたんだな・・・)

渡辺はマークの申し出に頷いて、キースのUSBと自分が持って来たコピーデータも貰って機密情報入りの

データ「だけ」が入ったUSBを渡す。

「じゃあこれ。俺も疲れたよ・・・」

そう言ってファーレアルに全て終わった事を告げるが、ファーレアルは渡辺の背後を見て「おや?」と言う顔をする。

『あら、先程の相手の方がこちらに来ますよ?』

「え?」

何と、キースがマークを振り切って渡辺の方へやって来た。一体何なのだろうか。


「おい、何を……っ」

疲労の溜まった顔をしながらマークに支えられていたキースだが、はっと何かに気づいた顔をし、マークを振り切って

渡辺たちのもとへ戻っていく。

「まだそれだけの元気があるなら自分で歩けばいいのに…っ」

舌打ちをしそうになりながらも、マークも3人のもとへ向かう。

「ああ、そうだ。忘れていた。お前たちに……観光の案内を頼もうと思っていたんだ。せっかく横浜まで来て、ただ負けて帰るってのも癪だからな」

いいか?と問うキースに呆気に取られながらも、まあそういうことでいいなら、と了承を取り付けられた二人は、

後方からキースを睨んでくるマークを見て見ぬふりでやり過ごした。


後日、中華街で食べ歩きを堪能したり、みなとみらいの夜景に目を輝かせるエージェント二人を苦笑しつつ案内する

渡辺とファーレアルの姿があったという。




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